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2003/03/14
営業マンは断ることを覚えなさい
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■■ ビジネス選書&サマリー
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━< 読者数12153部 >━━
=今週の選書=
■営業マンは断ることを覚えなさい
■アスカビジネス
■石原 明 (著)
▼本書の詳細、お買い求めは、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4756906281/tachiyomi-22
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■■ 選書サマリー
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【1】
?なぜ売れないのか
それは、この売れない時代に、営業マンが間違ったスタイルでお客
様に接しているからだ。
人は、営業の仕事をしようとすると、その人のイメージする営業マ
ンをやろうとする。しかし、たいていそのイメージは間違っている。
それは、テレビドラマに出てくる営業マンだ。あの「お客様にペコ
ペコ頭を下げて何とか買っていただく、言われたことは何でもやり
ます」というあれだ。
彼らは、会社に入るずっと前から、テレビドラマなどで営業マンが、
「買ってもらうために何でもします」
「お客様は神様です」
と言っているのを見てきた。だから「今日から君は営業マンだ」と
言われるとこれをやってしまう。
【2】
ぺこぺこして売れたのは、経済的に余裕があった時代の話だ。「まあ、
いいや」と思ってもらえたのだ。今や、不必要なものを買う時代で
ない。このやり方は全く通用しない。
もし、あなたが何かを買うときに、どういう営業マンから買いたい
だろうか?ペコペコして「何でもします」という営業マンだろうか?
それとも聞いたことにしっかり答え、できないことは「できない」
とはっきり言う営業マンだろうか?
大半の人は後者から買うという。ところが、いざ自分が売る立場に
なると、前者をやってしまう。
【3】
お客様は、皆「売れている、優秀な営業マンから買いたい」と思っ
ている。そのほうが安心だからだ。優秀な人なら買った後も専門家
としてアドバイスしてくれたり、手配してくれたりする。
また会社の中でも一目置かれた存在だろうから、会社に強く言って
自分を優先的に対応してくれる。何より、その人は辞める可能性が
低いから安心だ。
お客様はこのように考えている。こうしたお客様の心理がわかって
いないと、間違った努力をしてしまう。結果、かえって売れなくな
ってしまう。
例えばお客様のために無理なスケジュールに都合をつけて会いに行
ったとする。するとお客様は心の底で「この人、よっぽど暇なのか
しら?」と思う。こうして売れない営業マンだと思われてしまう。
また、お客様との値段交渉でがんばって値段を下げたとする。その
ときお客様は「下がるなら、何で最初からこの値段にするって言わ
ないの?ばかにしているわ」と思っている。こうして信用をなくす。
【4】
お客様のこうした要求に「それは無理です」と断ることで売れるよ
うになる。こうすることで、売れている営業マンのように見えるか
らだ。
売れている営業マンは、お客様から無理に「スケジュールを変更し
てくれ」と言われても変更しない。スケジュールが詰まっているか
ら、本当に都合がつけられないのだ。
また、無理な要求に対しても「じゃあいいです。無理に買ってもら
おうと思いませんから」と答える。これも本当にそう思っているか
らだ。
こう言うと「そりゃ、売れている人はいいけど、自分は売れていな
いから、そんな風には言えない」と言うのが聞こえてきそうだ。こ
うして売れる人はますます売れ、売れない人はますます売れなくな
っていく。
【5】
問題はお客様から見て「売れている営業マンに見える」か「売れて
いない営業マンに見える」かだ。だから売れている営業マンの真似
をすればいいのだ。
お客様も「営業マンはぺこぺこするもの」というイメージを持って
いるから、断ると勝手に「この人、売れる営業マンだ」と錯覚して
くれる。
また、お客様は「営業マンはうまいこと言って、お客をだまして売
ろうとする」と思っている。断ることでこのイメージも払拭できる。
もっと言うと、人は「相手に好かれたい」という感情を持っている。
断られるとお客様は「嫌われてしまうどうしよう」と思う。
「別に、買ってもらわなくてもいいですよ」と断ることで、あなたは
お客様に対し主導権を取れるようになる。まずは勇気を持って断って
みることだ。結果は必ずついてくる。
▼本書のお買い求めは、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4756906281/tachiyomi-22
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■■ 選書コメント
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本書は、もともと自費出版され、口コミで17,000冊以上売れて話題
になったものです。これに大幅加筆して書店発売されました。内容
は自費出版のものに比べて、さらに充実したものになっています。
お客を「断る」やり方自体は、これまでもベストセラー『売り込ま
なくても売れる!』(ジャック・ワース/フォレスト出版)などでも
紹介されてきました。
ただ、本書では著者自らの営業経験で得た心得やテクニックを盛り
込んでいる点が魅力です。営業マンや営業マネージャー、そして売
上げを上げたい経営者の手引きになる、読みごたえある1冊です。
▼関連図書
『売り込まなくても売れる!』(ジャック・ワース/フォレスト出版)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894511371/tachiyomi-22
私は、営業マンではありません。経営コンサルタントをしています。
でも断ることが大事なのは、この商売でも同じです。
特に、最近はやりたいことしかやりません。嫌な仕事は断ります。
なぜなら、嫌なことをやると、やりたいことをやる時間が犠牲にな
るからです。時間は1日24時間しかなく、やむを得ません。
そうすると「仕事が減ってもったいない」という人もいます。でも
そんなことは全くありません。それを身を持って体験してきました。
最初は、来た仕事は全部引き受けていました。迷わず、ありがたが
って、文字通り何でも引き受けていました。でもあるときそれが間
違いであることに気づいたのです。
好きなことは、効率よくこなせます。だから、より多くの仕事がこ
なせます。また出来上がりもよくなり、次につながります。そして
何より、それをやっている間は楽しく、活き活きと過ごせます。
反対に、嫌なこと苦手なことは手間取り、時間を食います。時間が
一杯一杯だと後から好きな仕事が来ても、泣く泣く断ることになり
ます。
また嫌いなことは出来上がりも不満足で、相手の期待に応えられな
いこともあります。結果、自分の評判を落としてしまいます。
まあ私の場合は、そう言って「嫌なことはやらない」と断り続けた
結果、会社まで辞める羽目になってしまったわけですが...。
ただ、注意が必要です。それは「自分は何が好きなのか?」がわか
らないうちに、仕事を選びすぎると、自分の可能性を狭めてしまう
ことです。
「これぞ、自分の生きる道」というものが明確にある場合はともか
く、そうで無いなら、それを見つけるつもりで、少々嫌なことでも
試しに一度はやってみたほうがいいと思います。
なお「断る」のは、人間関係も同じです。好きな人、付き合いたい
と思う人としか付き合いません。理由は、嫌な人に会うことで、好
きな人と過ごす時間が減るからです。
付き合いで飲み行き、家族と過ごす時間が犠牲になるなんて真っぴ
らごめんです。でもこれが難しいのが日本の社会です。職場でこれ
を露骨にやる
と、居場所がなくなったり、変人と呼ばれます。
それでも私は、断るほうを選びます。その価値は十分あると思って
います。まあこのあたりは、価値観になってくるのですが...。
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