HOME > ビジネス選書&サマリー > 無料版・バックナンバー > 会社はこれからどうなるのか

ビジネス選書&サマリー

無料版・バックナンバー

解除ご登録

ビジネス選書&サマリーのバックナンバーをご覧いただけます。


f

2003/05/16
会社はこれからどうなるのか

会社はこれからどうなるのか

本書は、日本の会社が21世紀も生き抜くためにふさわしい会社のあり方を説き、そこで働く従業員の新しい働き方を提案します。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■
■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━< 読者数15132部 >━━
=今週の選書=
■会社はこれからどうなるのか
■岩井 克人 (著)
■平凡社
▼本書の詳細、お買い求めは、
→ http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4582829775/tachiyomi-22
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■
■■       選書サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【1】

会社で働いく経験は、大いに役に立つものだ。ただ日本的な終身雇
用制や年功序列制は解体しつつあり、従業員と会社との関係は変わ
りつつある。

現に、すでに一つの会社で一生勤めあげる気のなくなった従業員は、
起業や転職など、将来会社を離れるときに備え、その会社特有の知
識や技術よりも一般的な知識や技術を修得したいと考え始めている。

かつては「出世コースから外れる」と敬遠されていた専門性の高い
仕事をする部署への配転も、むしろ喜ぶ従業員が増えてきた。

従業員にとって会社とは、すでに一生の職場ではなく、将来の独立
のための修行の場になり始めている。これからの従業員と会社との
関係は、かつての徒弟と親方との関係のようになるだろう。

【2】

もちろん会社も手をこまねいてはいない。会社が利潤を生み出し続
けるためには、新製品や新技術を絶えず生み出す必要がある。

そのために優秀な従業員には、働きやすい環境や、ボーナス、退職
金、昇進などの制度を提供して囲い込むことになるだろう。

だからこれからも、会社に勤務し続け、昇進していく従来型サラリ
ーマンは決して無くならない。

だが会社でしばらく働いて経験を積み、その後自分で会社を興した
り、他の会社に転職するという選択肢も持つ人も増えるはずだ。

【3】

会社から新規の会社に人材が異動することは、今後日本経済が健全
に発展するために重要で、決定的な役割を果たすはずだ。

これまでなら、工場を造れば長い間安定的に利潤を生み出せた。し
かしこれからは新しい製品や技術を開発し、新しい市場を開拓し続
けなければ企業は生き残れない。企業の寿命も短くなるはずだ。

古い会社が撤退したらその後新しい会社が参入してこなければ雇用
が維持できない。また新しい会社が利潤を生まなければ次の会社へ
の投資資金が生まれない。活発な新陳代謝は日本経済の死活問題だ。

【4】

その新しい会社立ち上げの担い手はサラリーマンだ。成熟した会社
で、知識や能力を高め、起業資金や人的ネットワークを創ってきた
サラリーマンこそその主役なのだ。

もちろん全員が会社を起すべきだとは思わない。優秀な人材ほど会
社のほうも手放したくないだろう。それにチャンスは一部の人にし
か訪れてこないものだ。

それでもサラリーマンから会社を起す人が現れ続けることが、これ
からの日本経済の命運がかかっていることは間違いない。

ところが、世界的に起業家の数が大きく増えているのに、日本では
大きく減っている。それは経済の長期的な停滞によるものだ。潜在
的な起業意欲が大きくそがれているのだ。

だが近い将来、必ず日本経済も世界の流れの中に入り込むはずだ。
そこでは新たに会社を起すことがずっと容易になるはずだ。

【5】

もちろん、新しい会社作りに成功することは生やさしいことでない。
起業家の起業意欲に直接働きかける国家の政策は不可欠だ。

例えば、融資条件の緩和、税制上の優遇、叔父号に失敗したときの
破産処理方法の明確化、再挑戦への支援組織などというものだ。欧
米に比べ、日本の企業振興に関連した政策はあまりに貧弱だ。

だが、仮にこうした外的条件が整ったところで、会社を興す意志決
定をするのは、結局人間だ。

日本経済が、今後このまま没落してしまうのか、それとも復活する
のかは、ひとえに日本が、リスクをとって自ら会社を起す気概を持
つ個人を、これからどれだけ輩出できるのかにかかっている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■
■■選書コメント  
■■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本書は、日本の会社が21世紀も生き抜くためにふさわしい会社の
あり方を説き、そこで働く従業員の新しい働き方を提案します。

会社は、われわれ日本人にとっては、文化です。生活のあらゆる側
面に、会社は影を落としています。我々は社会人であるよりも、地
域住民であるよりも、夫や父親であるよりも前に会社人です。

日本の平均的な大人の生活規範は、これまでずっと「良き会社人」
として過ごすということでした。 今、その会社が今、大きく変質し
ようとしています。この先会社はどうなるのかという問題は、この
先日本は、そして日本人はどうなるのかという問題に発展します。

本書の結論は、今後サラリーマンは、どんどん会社を作って独立し
ていくだろうというものです。私は起業支援が専門のコンサルタン
トですから、特に結論部分は共感しつつ読みました。

日本の会社では、従業員は(単純労働者は別として)単に労働の対
価として給料を得る存在と言うより、むしろお金の代わりに知識や
能力、時間といったものを投資する投資家のような存在に思えます。

投資である以上、当然リターンを求めるべきです。ところが会社は
どんなに儲かっても、それを従業員に還元してきませんでした。

それでも従業員ががんばったのは、長い目で見ればがんばりの結果
会社が大きくなり、自分の社会的なステイタスが上がり、社内での
ポジションもあがり、結果的に給料も上がったからでしょう。

しかし、もはやそういうことは期待できにくくなっています。一方
会社はリスクだけは減俸、リストラ、倒産による失業という形でしっ
かり負わせようとしています。

これで従業員の知識や能力が十分に引き出せるとは思えません。こ
れに気づいた人は、自分の能力をできるだけ出し惜しみします。さ
もなくば会社を飛び出して自分の会社を作ることになります。

私はむしろそういう人が作る小さな会社に可能性を感じています。
だからこそコンサルティングの軸足もそちらに移したわけです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ツイートする FACEBOOK いいね! このエントリーをはてなブックマークに追加

主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
東京都千代田区神田小川町3-10 新駿河台ビル4F
Tel.(03)6273-7950
Fax.(03)6273-7951

企業情報はこちら

著者の方へ

広告掲載についてはこちら

TOP