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2003/05/30
コトラーのマーケティング・コンセプト

コトラーのマーケティング・コンセプト

世界的なマーケティングの権威、フィリップ・コトラーが、マーケティングのコンセプトを取り上げ、アルファベット順に、事例を交えながら、一つ一つコンパクトかつ丁寧に解説を加えます。


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━━━━━━━━━━━━━━━━━━< 読者数15245部 >━━
=今週の選書=
■コトラーのマーケティング・コンセプト
■フィリップ・コトラー(著)、恩藏 直人、大川 修二(訳)
■東洋経済新報社
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■■       選書サマリー

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【1】

今日のビジネス界が直面している問題は、商品の不足ではない。顧
客の不足だ。世界的に、ほとんどの産業が消費者の購買力をはるか
に上回る生産力を持っている。

この過剰な生産能力は、それぞれの企業が市場シェアの拡大競争を
した結果もたらされた。例えば、個々の企業が売り上げ10%増を目
指しても、市場の成長率が3%しかなければ残りは過剰生産になる。

この過剰生産がさらに激しい競争をもたらす。競合各社は、なんと
か顧客を引きつけようと値下げをしたりおまけをつけたりしている。

このようなやり方は、最終的に利ざやの縮小や、利益の減少につな
がる。これが倒産、合併、買収を加速させたりすることになる。

【2】

値下げせずに競争するには、マーケティングを駆使することだ。過
剰な生産能力が問題になっている今日、マーケティングはますます
重要だ。マーケティングは企業の顧客製造部門と言えるからだ。

ところが企業は、マーケティングの役割は、製造部門を助け、製品
を市場に送り出すことだと考えている。しかしマーケティングは生
産した物をうまく処理する技術などではない。

本当は逆なのだ。製造部門がマーケティングを支援するのだ。製造
部門など、いざとなればアウトソーシングすればいい。企業に繁栄
をもたらすのは、企業のマーケティグ・アイデアと提供物なのだ。

また同時に、マーケティングは顧客の生活向上を支援する技術でも
ある。製造、購買、研究開発、財務は、いずれも企業が市場で活動
することを支えるために存在する機能に過ぎないのだ。

【3】

マーケティングはよくセールスと混同される。だがマーケティング
とセールスはむしろ正反対のものだ。セールスは製品が完成してか
らスタートする。

しかしマーケティングは製品が存在する前からスタートする。人々
が求めているものは何か?自社は何を提供すべきか?その答えを探
るのがマーケティングなのだ。

つまりマーケティングは短期的な販売活動でなく、長期的な投資活
動なのだ。製品を製造したり、市場に投入したりする前から始めら
れ、販売活動が終わった後も続いていく活動なのだ。

【4】

マーケティングをとことこん突き詰め、顧客を知り尽くせば、セー
ルスは不要になる。マーケティング(Marketing)とは、的(Mark)
に命中させる能力のことをさすのだ。

製品を売ることだけにこだわると、今日の売り上げと引き替えに、
明日の顧客を失うことになる。目指すは顧客と長期にわたる良好な
関係を築き、その顧客からできるだけ多くの収益を上げることだ。

だから、顧客のニーズにあった商品やサービス、メッセージを適切
な形で、適切な時期に、顧客に提供することが大切だ。そのために
は、顧客を十分に理解する必要がある。

マーケティングの役割は、絶えず変化する顧客のニーズを収益に転
化することだ。そして顧客が製品を探したり買ったりするための時
間や労力を省くことで社会全体の生活水準を向上させることなのだ。

【5】

企業には、普通マーケティング部門がある。だが、こうした部門が
あるために、かえって他の部門が「マーケティングはその部門の仕
事だ」と思いこんでいることも多い。これは大問題だ。

マーケティング部門を作ったり、有能な人物をその職につけたりす
れば、企業にマーケティング文化を根付かせることができると考え
るのは大きな間違いだ。

マーケティングは、単に広告を作ったり、媒体を選んだり、ダイレ
クトメールを送ったり、顧客からの問い合わせに答えたりする活動
をさすのではない。企業活動全般に関連するものだ。

まず、経営トップが顧客志向の必要性を確信していること、そして
社員1人ひとりが顧客への影響を考えて行動していることが大切だ。

そもそも何を作るべきか、どのように顧客に製品を届けるか、引き
続き買いたいと思わせるにはどうすればいいのか、そうした問いに
組織全体で答える大規模なプロセス、これがマーケティングなのだ。

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■■選書コメント  
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世界的なマーケティングの権威、フィリップ・コトラーが、マーケ
ティングのコンセプトを取り上げ、アルファベット順に、事例を交
えながら、一つ一つコンパクトかつ丁寧に解説を加えます。

他にコトラーの代表的な著書と言えば「マーケティング入門」「マー
ケティングマネジメント」「マーケティング原理」「コトラー新・マー
ケティング原論」などがあり、MBA学生や、マーケティングの専門
家の間では必読の書になっています。

本書には「新規客より既存客を大事にしよう」ともあります。これ
は当たり前のことですが、できていないことが多いようです。

たとえば、先日、居酒屋に行ったのです。お客さんが空のジョッキ
を抱えてボーっとしていました。あのテーブルに追加の注文を取り
に行くだけで、あのテーブルの客単価は1割上がったでしょう。

さらにお勘定の前に、デザートやご飯ものをお勧めするだけで客単
価はさらに1割上がる。そのお店は、街頭でビラ配りを懸命にやっ
ていますが、店内でずいぶんと損をしているなと思いました。

従業員に一言言わせるだけですから、コストがかかるわけではあり
ません。都心のビジネス街のような激戦区では、従業員にこうした
教育できるかどうかで勝敗が決まってしまうものなのです。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
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