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2003/06/20
コツコツ働いても年収300万、好きな事だけして年収1000万■シリコンバレーで学んだプロの仕事術
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■■ ビジネス選書&サマリー
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=今週の選書=
■コツコツ働いても年収300万、好きな事だけして年収1000万
■シリコンバレーで学んだプロの仕事術
■キャメル・ヤマモト
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■■ 選書サマリー
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稼ぐ人になるには、シリコンバレー型のしたたかなサラリーマンに
なること。今週はそのための仕事術、そして生き方を説く本です。
【1】
あなたがずっとやってきた仕事を、半分の値段で、しかも同等以上
の品質で提供する人が競争相手として突然現れたら?実は、こうし
たことが、3つの理由から現実化しつつある。
まずグローバルな人材競争だ。中国の資本主義の結果、安くて強い
競争相手が登場した。中国で工場の工員達は週末出社して技術を磨
く。週末働けない工場は「技術を磨けない」と辞めてしまうそうだ。
彼らは安いだけはない。給料は半分だが、性能は1.5倍だ。日本の
大手企業の中にも日本人の大学新卒者採用を徐々に減らして、中国
人の採用を増やそうと考えるところが出てきている。
次に情報革命だ。コンピュータは私たちの仕事を助けてくれるが、
同時に私たちの仕事を奪う面もある。例えば秘書を雇うならコンピ
ュータを使いこなした方がいいという人も増えていている。
【2】
さらにコンピュータのおかげで、遠隔地であってもコストパフォー
マンスの良い場所の人材を使えるようになってきた。欧米の企業は
コールセンターやデータ処理の仕事はインドや中国に移している。
第3に、日本の給与制度の変化だ。ここ数年で、日本の給与制度は、
年功主義から成果主義に大きく変わった。成果主義とは、個人が生
み出す成果に応じて給与を払うと言うことだ。
だからこれを徹底すれば、人材は3タイプに別れていく。高い成果
を出し続けて稼ぐ年収1000万円超の人と、成果が出ずに年収300
万円程度に降給される人、そしてリストラされる人の3つだ。
成果主義が進めば、さらに会社の業績の変動が社員の給与の変動に
直結するようになる。そのため、好業績を続ける会社には稼ぐ人材
が、業績低迷を続ける会社には安い人が増えようになる。
【3】
ここ数年、企業はリストラを繰り返したため、仕事は減った。つま
り私たちは、減りつつある仕事をめぐり「半値で、もっといい仕事
をしますよ」という中国人やコンピュータと競争しているのだ。
こうした競争にあなたが打てる手には次の3つの選択肢しかない。
・仕事の品質を飛躍的に上げる
・仕事の対価を下げる
・仕事を辞める
つまり年収1000万円超を稼ぐ人になるか、年収300万円以下の安い
人になるか、競争から脱落する余る人になるかのいずれかだ。
【4】
こうした危機に気付いて行動を始めた人もいる。例えば、資格の取
得を考える人が増えている。専門知識を身につけ自分の仕事の質を
飛躍的に高めようと言うわけだ。なかでもMBAは資格の横綱だ。
実際にMBAを取得する人ばかりでなく、ロジカルシンキング、戦
略的思考、問題解決、ゲーム理論などMBAで学ぶ内容に関する書
籍が書店に所せましと並び、飛ぶように売れている。
だが、仕事の品質を飛躍的に高めるために必要なのは、このような
ことをまじめに勉強することではない。稼ぐ人になるために必要な
のは決められたことをきちんとやるまじめさではない。
まじめさの戦いをする限り、日本人よりもっと勉強している中国人
やインド人、韓国人にかなわない。彼らは年収300万円より安くて
もがんばれる。彼らとの賃下げ競争に巻き込まれるのがオチだ。
【5】
では、1000万円超を稼ぐ人とはどういう人か?それは、決められた
ことをきちんとできるまじめな人でなく、新しいものを次々と生み
出すことができる、いわばしたたかな人だ。
したたかさとは、状況を変える技と、自分を変える技の2つで成り
立っている。また、自分が置かれた状況に対する見方をかえること
と、自分に対する見方を変えることから生まれる。
もちろん状況と自分の両方を変えれば、新しいものが生まれる確率
はさらに高くなる。日本人大リーガが米国で活躍できるのは、まさ
にその好例だ。
状況と自分を変えるうちに人脈も広がるはずだ。仮にある会社をク
ビになっても自分を助けてくれる友人や知り合いが増える。またそ
の人脈は、会社を辞めても持ち運べる自分の資産となるはずだ。
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■■ 選書コメント
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本書は、稼ぐサラリーマンになるための仕事術を紹介する本です。
著者のキャメル・ヤマモト氏には他に「稼ぐ人、安い人、余る人」
というベストセラーがあります。これは2年前に出た本ですが、あ
まりにセンセーショナルなタイトルが話題になりました。
とくに「安い人はともかく、余る人はないだろう?」とみんな思っ
たはずです。それが今では否応なく失業者した人が400万人の時代。
余る人は誇張などではなく、現実のものになってしまいました。
本書で「やりたいことをやっている人の多くは、はじめからそれが
やりたかったというより『やってみたらおもしろかった。だから今
もやっている』という人が多い」というくだりがありました。
これは私の周りの起業家にも当てはまります。とにかく始めてみた。
がむしゃらにやってきた、気付いたら、思っていたのとは全く違う
形だが、成功していた、という「できちゃった起業」が多いのです。
一方、起業する前に壮大な夢を語る人、綿密なプランを立てる人、
何をやったらいいか悩み続け、自分探しに明け暮れる人もいます。
そういう人は、結局いつまでも始められずにいます。
何でもいいから、とにかく走り始め、走りながらいろいろ考えてい
く人のほうが成功する確率が高いようです。最初からかっこよく失
敗せず、うまくやろうったって、できるわけがないのですから。
それに、実際に始めたからこそ気付くことはたくさんあります。そ
こから素晴らしいアイデアが見つかることがあります。
また始めると知り合う人が増えます。その中から思わぬ支援者が現
れたりします。それで夢だと思っていたことが、現実のものになっ
たりします。それもこれも、始めなければお話になりません。
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