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2003/06/06
できる人ほど上司を使う
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■■ ビジネス選書&サマリー
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━< 読者数15350部 >━━
=今週の選書=
■できる人ほど上司を使う
■マイケル ユシーム (著)、井口 耕二 (翻訳)
■ダイヤモンド社
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■■ 選書サマリー
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【1】
上司を侮辱したり、軽蔑したりすべきではない。もしそうすればそ
の結果は、結局自分の名前を傷つけたり、自分の裁量や権限を制限
することになる。
例えば、上司を蚊帳の外におき、伝えるべきことを伝えずに勝手な
判断をしていると、むしろあなたが周囲からの信頼を失い、ロクで
もない結果を招く。
こうなると自分の権限を拡大するどころか、反逆者のレッテルを貼
られたり、不信感をもたれたりして、かえって権限を剥奪されるよ
うなことになるのだ。
どんな上司でもその地位には敬意を表するべきだ。自分がどんなに
正しくても争えば自分の評価が下がる。だから些細なことで争うべき
ではない。
【2】
公衆の面前で上司とけんかをするようなことは絶対に避けなくては
ならない。自分の名前を傷つけるだけで、いいことは何もない。
必要ならば、上司と2人だけのときに議論すればいいのだ。このほ
うがアイデアに耳を傾けてもらえるし、権力争いへの発展を避ける
ことができる。
批判は2人だけの状態で行い、人前では努めて支持にまわるように
すればいい。こうすればかえって自分の意見に耳を傾けてもらえ、
意見が採用されることも増えるはずだ。
このように振る舞うことは、上司とのいさかいを避け、上司からだ
けでなく周囲からのあなたに対する評価を高める。そして結果的に
会社の発展にも寄与することになる。
【3】
どんな組織においても、上司を自分の見方につけることは、基本中
の基本だ。これを怠ると、たいてい大きな代償を払わされる。
まず上司に対しては、常に敬意を表するべき。そうしないと日頃「自
分は尊敬されていない」と感じている上司から、重大な局面で仕返
しされたり、邪魔されたりする。
また、上司との無用な争いをしていると、あつれきが起きて自分の
判断を曇らせたり、間違った決断をしたりすることになりかねない。
さらに、自分が上司とより効果的に仕事をしようと考えるだけでな
く、上司のほうも自分と仕事をしたいと考えてくれるように、自分
からし向けることが大切だ。
【4】
上司を味方につけるには、自分や自分の部下がしていることを、頻
繁かつ意識的に上司に伝えることだ。こうすれば上司は、自分がど
こまで責任を持てばいいのかいつも正しく知っておくことができる。
常に率直かつ正確な事実を報告しておけば、上司は事実に基づいた
判断が可能となる。そのため事実確認もせずに突っ走ることはなく
なる。
さらに大事なことは、上司に対して適切で信頼度の高い情報を頻繁
に、しかも敬意を持って伝えることだ。これにより自分も上司も状
況判断がしやすくなる。その結果、組織が目標を達成しやすくなる。
上司と部下の間には、緊密な関係を長期にわたり継続させる必要が
ある。そのためには隠し立てせずに情報を流し、尊敬を表現する必
要がある。この信頼と交流がなければ上司は何もしてくれない。
【5】
上司の信頼を勝ち取るには、まず実務遂行に必要なあらゆるノウハ
ウを身につけることだ。そして自分の役割を知り、それを果たすこ
とだ。
特に、成果主義の企業社会では、この点が重要だ。大事なのは、誰
とつながりがあるかや、見た目、イメージではない。自分がどのよ
うに考え、何を実現するかがもっとも大事なのだ。
また上司とは行動を求めるものだ。まず行動を起し、上司の信頼と
支持を勝ち取る必要がある。これを怠れば、上司は行動する気概の
ある他の人間を捜すようになるものだ。
そして上司の信頼を勝ち取るために一番大事なこと、それはまず上
司を信頼することだ。
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■■選書コメント
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本書は、部下の上司に対するリーダーシップを説いた本です。普通、
リーダーシップとは、上司が部下を動かすためのもの。しかし本書
はあえて、部下のほうが上司を動かすことをテーマにしています。
経営コンサルタントとして独立開業した今、私には上司がいません。
また私のお客さんも経営者ばかりで、彼らにも上司はいません。そ
のため本書はサラリーマン時代のことを思い出して読みました。
なんだか耳が痛くなったり、「あのときは、ああすれば良かったんだ
な」などと深く反省したりと、いろいろと考えさせられる本でした。
よく「経営者は孤独だ」と言われています。それは、この上司がい
ないことも一因かも知れません。
私のクライアント(=お客さん)である経営者にある時「なぜ私を
雇うのですか」と尋ねた際「自分には上司がいない。だから上司の
代りにあなたを雇うのだ」と言われました。
その経営者にとって、上司とは指示や命令をする人ではないのです。
自分のペースメーカーであり、客観的な視点を与えてくれる人であ
り、自分がコミットする存在なのです。
彼は、経営者になってそういう存在がいなくなりました。だから経
営コンサルタントである私に、その役割を求めたいと言うのです。
上司はうるさいし、気を遣うし、いろいろと指図するし、と結構煩
わしい存在かも知れません。でもいざいなくなるとお金を出してで
もほしくなる存在みたいですよ。
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