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2003/08/22
チャールズ・シュワッブが教える 定年後資産倍増術
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■■ ビジネス選書&サマリー
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 16900部>━
=今週の選書=
■チャールズ・シュワッブが教える 定年後資産倍増術
■チャールズ・シュワッブ (著)、 中岡 望 (翻訳)
■徳間書店
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■■ 選書サマリー
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世界最大の証券会社のひとつチャールズ・シュワブ証券の創業者が、
定年退職後にも資産を増やす資産運用術を丁寧に解説します。
【1】
お金はいくつになっても絶対に必要だ。今、投資の仕方を知らない
なら、ぜひ勉強してほしい。資産管理のためにアドバイザーを雇う
のもいいが、まず自分自身が勉強するべきだ。
人生において、お金の運用に関して傍観者になってはいけない。参
加者になるべきだ。配偶者に任せている人も、必要な情報は自分で
集めなければならない。
これまで多くの人は、貯蓄するように教育されたはずだ。もちろん
貯蓄の習慣は素晴らしいが「貯蓄をするから投資をしない」という
ことになってはいけない。
貯蓄者であると同時に、投資家でもあるべきなのだ。自分が長期的
な投資を行っていることを理解していれば、株価が下落するたびに
パニックになる、などということはなくなるだろう。
【2】
持っているお金の1部は、いつでも株式と投資信託に投資しておく
ことをお勧めする。なぜなら持っているお金を、死ぬまで確実に持
ち続けるには、インフレ率を上回る運用しなければならないからだ。
かつては債券だけで運用するのが理想的と言われた。元本の安全性
を最も重視していたからだ。できるだけ元本に手をつけず維持すれ
ば、資産を子供たちに遺産として残すことができた。
しかし、その考えはもう役立たない。必要な所得を得るためには、
高い利率の資産に投資しなければ、元本がインフレに追いつかず生
活が破綻するからだ。
50歳になってから増やすための投資をすることは危険だと考える
人もいるが、慎重になりすぎた結果、お金が足りなくなるほど長生
きすることの方が、はるかにリスクは大きい。
これはこれまでの投資戦略が役に立たなくなったことを意味する。
これからは資産を増やすような投資をしなければならないのだ。
【3】
退職後にも資産を増やすためには、株式に投資することだ。株式投
資とは成長する可能性のある企業の所有権の1部を買い、成長した
分だけ配当を受ける、成長を前提にした投資だからだ。
また企業は、投資から得た資金を、成長のためのエネルギーにする。
利益の1部を配当したら、残りは成長のために再投資するのだ。こ
れらが1体となり、株式市場は他の投資と違うものになっている。
短期的な価格変動こそあるものの、株式こそがあらゆる投資の中で
最も長期的に高い潜在的な成長性を持つ金融商品だ。長期投資の対
象としては最も優れていると言える。
【4】
もちろん株式だけに投資しろと言うわけではない、投資の組み合わ
せは注意深く選ぶべきだ。特に自分の資産を、株式、債券、現金相
当物に、どれだけ投資するかの配分を慎重に決めるべきだ。
実は投資戦略の成功に1番重要なことは、銘柄選びでも、専門家探
しでも、規模ではない。買うタイミングや、銘柄選びの影響は小さ
いのだ。長期投資のリターンの90%は、資産配分で決まるのだ。
積極的に考えるなら、できるだけ長期間にわたり、資産全体の少な
くとも50%を株式と株式投信に分散投資するのが理想的だ。
大事なことは、自制心を持ち、感情でなく、情報や分析で決定する
ことだ。そして自分の人生に自信をもち、自分の持てる知識と情報
を駆使して、目的と意図を持って選択することだ。
【5】
自分が望む組み合わせを決めたら、次に各資産について、それぞれ
どのように投資するべきか考える。なおすでに述べたように、増や
すための投資なのだからその大部分は株式投資でなければならない。
その時の配分は、まず投資の核をつくることだ。そのために株式市
場全体のパフォーマンスと同じ動きをするように設定されたインデ
ックス・ファンドを利用すると良い。
残りの資金は、個別銘柄を選び、市場全体のリターンを上回るよう
に設計されたアクティブ・ファンド、または個別の銘柄に投資する。
これにより市場のパフォーマンスを下回る可能性を低くしつつ、リ
スクを避けながら、市場に勝つ可能性を高め、株価上昇の可能性を
最大限にすることができるのだ。
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■■ 選書コメント
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本書は、世界最大の証券会社のひとつチャールズ・シュワブ証券の
創業者が、定年退職後も資産を増やしていくための資産運用術を懇
切丁寧に解説しています。
実は、本書の原題を直訳すると「あなた50歳、何をするべきか」に
なります。この本マガジンの読者層が20?40代であることを考える
と「自分には関係ない」と考える人もいるかも知れません。
それでもあえて本書を紹介するには訳があります。日本の社会保障
の事情がアメリカ流の厳しいものになるのは、これからだからです。
現時点で50歳なら、日本においては何とか逃げ切るかもしれません。
本当に長生きのリスクがあるのは、まさにこのマガジンの読者世代
です。この世代こそ退職後の所得確保のために、本書にあるような
資産運用を真剣に検討しなければなりません。
現在、日本において、シルバー世代の生活費は月額30万円と言われ
ます。男性の平均寿命が80歳、女性の平均寿命が85歳とすると、
退職後に生活費だけで総額9000万円以上が必要になります。
これを公的年金や民間の養老保険で補うことは不可能です。では退
職したら、その金額をどうやって稼ぎますか?この問題は誰も避け
ては通れない問題です。
以前「金持ち父さんの若くして豊かに引退する方法」という本を紹
介しました。しかし事態はもっと切実です。投資は豊かになるため
どころか、もはや生活防衛の防手段の範疇にあります。
退職してからも収入を得るためには、株式投資の他に、ビジネスオ
ーナーとなる、不動産から家賃収入を得る、特許、印税などが考え
られますが、いずれにしても一度全部検討してみることでしょう。
なお、若い世代の最大の強みは時間です。そしてその時間は、資産
運用における最大の味方です。始めるのが早ければ早いほど有利な
リターンが期待できます。
のちのち後悔したくないなら「20年、30年のことなんかわからない」
と計画を放棄するのでなく、着実にしかし積極的に資産を増やす努
力をしましょう。
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