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2003/09/26
「スモールビジネス」成功のセオリー90!
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■■ ビジネス選書&サマリー
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 17670部>━
=今週の選書=
■「スモールビジネス」成功のセオリー90!
■射手園 達一 (著)
■光文社
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■■ 選書サマリー
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アメリカで約30年間ビジネスをしてきた著者が、経験に裏打ちされ
たスモールビジネス経営のヒントを語ります。
【1】
「ビジネスを始めたい」という人からよく受ける質問が「起業した
いが、何から始めたらいいでしょうか」というものだ。
そういう人は「退屈だから」「お小遣いが必要だから」「会社が面白
くないから」「リストラされたから」という理由で起業を目指す人だ。
しかしこういう人は起業してはいけない。必ず失敗する。
与えられた仕事を立派にこなし、9時から5時まで真面目に働き、
努力すればうまくいくのはサラリーマン社会だ。起業したらそんな
ものは全く通用しない。
起業家は、努力だけでは不十分だ。工夫して結果を出しはじめて成
功できる。決められた勤務時間もなければ、定期昇給、ボーナスも
ない。収入はすべて自分で稼がねばならない。厳しい世界なのだ。
【2】
「こういうビジネスが流行っているのでやってみようと思います。
うまくいくでしょうか?」という質問をよく尋ねられる。だがこれ
は答えようがない質問だ。
そう聞く人の多くは、その仕事の経験もなければ、興味もない。た
だ「うまくいきそうだから」とか「儲かりそうだから」という理由
で「やってみようか」と思っているだけだ。
「将来性のあるビジネスをすれば、自分にも将来がある」というこ
となのだろうが、そのビジネスに将来性があっても、自分がうまく
できるという保証はない。
「こういうビジネスを始めたいのだが、どうすればうまくいくか?」
こういう質問には答えられる。実は「どんな分野で始めるか」はど
うでもよく、むしろ成否を分けるのは「どう経営するか」なのだ。
その証拠に、どんな分野で起業しても成功する人がいる。その人た
ちは、他の人たちとは一味違うやり方をする。だから成功するのだ。
【3】
成功の確率を高めるには、自分の好きなこと、得意なこと、人が求
めること、人からよく頼まれることをビジネスにすることだ。
そういう仕事なら多少苦労があっても、がんばれる。がんばる程度
が高ければ、成功するチャンスも増える。成功したいなら好きなこ
とをビジネスにするべきだ。
私自身、人に頼まれたことを引き受け、その中で直感的にモノにな
りそうなものを選んできた。園芸業界や医療業界に進出したのは「こ
んな商品を探してほしい」と人に頼まれたことがきっかけだ。
たった一つの要望をきっかけに始めた仕事が、その業界全体をカバ
ーするビジネスになった。「人からよく頼まれることは何か?」そう
いう目で周囲を見回せば、チャンスはいくらでも転がっている。
【4】
大小を問わず、すべてのビジネスは、人の一生と同じく、生まれる
とすぐ死に向かって歩き出す。何か延命努力をしない限り、すべて
のビジネスは倒産の運命を抱えている。
だから経営者は、その存続と成長のために、日夜悪戦苦闘すること
になる。このような環境で、特に脆弱なスモールビジネスが生き残
るには、変化を先取りする観察力、機動力、スピードなどだ。
また、常に鵜の目、鷹の目の大手企業の目にとまった場合、どう対
応するかも常に考えておくべきだ。ポイントは「どうお客様を自分
サイドにつけるか」だ。
いつもお客様に満足してもらうための工夫と努力をおこたらないこ
とだ。そしてそのためには、お客様とのコミュニケーションをしっ
かりと確立しておくことだ。
【5】
人は無いものねだりばかりする。手元にあるものを過小評価して、
それを大切にしない。今、自分の手元にあるものが「起業の力にな
る」ことに気付くべきだ。
遠くにあるものは、しょせん遠くにあるもの、他人のものは、他人
のものだ。そんな無い物ねだりをするよりも、今、自分が持ってい
るものを、最大限に活かすことを考えた方がいい。
自分はすでに、いろいろな力を身につけているのだ。自分という財
産を最大限に生かして、どうやって起業したらいいのか、を考える
ほうが、よほど確実に起業できる。
「今の自分には、一体何があるだろう?」その問いに対する答えを
1度、真剣に考えてみてほしい
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■■ 選書コメント
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本書は、ロサンゼルスの若手経営者の集まり「一旗会」のウェブサ
イトに連載された、代表の射手園達一氏の連載Management Tipsの
記事をわかりやすく再構成したものです。
本書で強調している「好きなことで起業」には100%共感します。
でも、実はこれには賛否両論あるのです。ある人は「起業するなら
好きなことをやるな。失敗する。儲かることをやれ」と言います。
これに対し私は、好きなことが出来ないくらいなら、リスクをとっ
てまで起業する価値は無いと考えます。万一、失敗しても「まぁ、
好きなことが出来たから...」と言えなければ、やってられません。
それに、普通は"好きなこと"でなければ、鼻が利きません。だか
ら、好きなことをやらないと"儲かること"も見えず、結果、儲け
ることができないのです。
確かに世の中を見渡せば、誰が見ても儲かりそうなこともあります。
ただ、そういうことにはみんなが集まってきますので激戦区です。
結局「自分は儲からない」ということになるのです。
そもそも「儲かることをやれ!俺もそれで成功した!」などと言う
人は、天性の起業家なのだと思います。どの世界にも天才がいるよ
うに、起業家の世界にも生来の起業家がいます。
そういう人は、どんなことでも大成功させてしまう力を持っていま
す。たとえ自分が好きでないことでも、儲けのポイントに関する鼻
が利き、儲けてしまうのです。
ただ、そういう人も「起業そのものが好き」と言えます。結局、彼
らとて、好きなことをネタに起業している、と言えるのです。
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