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2003/10/24
幸せ力をつけるお金持ち練習帳
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■■ ビジネス選書&サマリー
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 18780部>━
=今週の選書=
■幸せ力をつけるお金持ち練習帳
■沢木 遥 (著)
■幻冬舎
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■■ 選書サマリー
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女性だからこそ成功できる戦略満載。動いた分だけ幸せでお金持ち
になれる女性版「黄金の羽根の拾い方」!
【1】
女性は長いこと「専業主婦VS働く女」という、不毛なバトルに振り
回されてきた。前者が「子供を預けて働くなんて、かわいそう」と
言えば、後者は「育児ノイローゼの母親に育てられるほうがかわい
そう」と応戦する。
こうした中「配偶者特別控除」が廃止される。戦後初めての所得税
増税なのに、すんなり国会を通った。結果、専業主婦やパート主婦
がいる世帯年収4?600万円位の家庭で年4?5万円の増税になる。
これに対して働く女性は「今まで専業主婦が優遇されすぎていたの
よ、フン、いい気味。イヤだったら働けば」と思い、専業主婦は「私
たち収入ないし...」と後ろめたく思っている。
しかし配偶者は必ずしも専業主婦ではない。夫がリストラされ、妻
一人で働くことになっても、もはやこの優遇が受けられないのだ。
【2】
女性の多くは、2つの方程式のいずれかにしがみついてきた。
A 一流企業に勤める夫と結婚し、マダム系専業主婦になる
B カッコイイ職業や有名企業のキャリアウーマンになる
戦後、日本の企業が右肩上がりで成長して、夫の収入だけで世帯を
まかなえるようになった。こうして夫のサラリーマン化と妻の専業
主婦化が進んだ。女性にとっては一流企業に勤める夫をゲットする
ことが、成功のポイントになった。
やがて、日本が安定成長の時代に入り、サラリーマンのパパと専業
主婦のママのいる新しいファミリーで生まれ育った、優秀なお嬢様
たちが新しい成功方程式を見つけた。
「私たちも、自分の能力を生かして働きたい」と考えるキャリアウ
ーマンが生まれたのだ。サラリーマンと結婚すれば世帯年収は倍増。
子供をつくらないDINKSなんて言葉が流行語になった。だが、どち
らも盤石な日本の企業社会があるからこそ成立した方程式だった。
【3】
今、戦後の日本を支えてきた企業社会が、音を立てて崩れている。
大企業も倒産するし社員もクビにする。先の見えない変化の時代だ。
専業主婦の頼みの綱である夫の給料は、不景気で伸びが頭打ちだ。
にもかかわらず教育費や住宅ローンなど出費は嵩む一方、そこに相
次ぐ増税、医療費値上げなどの追い打ちだ。
夫婦で経済的リスク分散をするキャリアウーマンは、経済的には専
業主婦より安定しているが、家事労働は女性に押しつけられている。
会社でも家でも働きづめ、自分の時間などほとんど無い奴隷のよう
な状態で、更年期には、疲れて心身を壊す人も多い。しかも、男性
よりもリストラされるリスクは高く、再雇用も難しい。
このように、専業主婦もキャリアウーマンも、女にとっては成功で
も安心でも幸せでもない、最悪の選択肢なのだ。
【4】
将来への不安を反映してか中身のない自己啓発本、成功本の類がも
てはやされている。だが運頼みの本を読んでもじり貧になるだけだ。
一方、実践的な節約本や投資のススメもあるが、そこにある家計を
節約しよう、上手に貯金しよう、投資をしよう、保険を見直そうと
いった話だけで、不安が取り除かれるわけではない。
未来はいくら貯金があっても、全然足りないくらいお金がかかるの
だ。企業の長期雇用が崩れ、会社にいても勤めていても安心できな
いのに、子育てに、親の介護にお金のかかることが目白押しだ。
我々が老いるころには年金制度自体が破綻しているかも知れない。
【5】
今すべき事は、幸せ力をつけることだ。好きなことをして、自分で
自分をお金持ちにする力だ。夫や恋人、家族や友人とフェアで前向
きな関係を築き心が満たされている、そんな人生を作る力だ。
そのためには、お金に関する知識を身につけ、好きで得意なことを
見つけて腕を磨き、それをお金に変えるレッスンを重ねることだ。
投資するなら、負けても損しても授業料になる自己投資だ。試行錯
誤をすること、たくさんの種を蒔いておくことだ。
一つ一つがみんな、あなたの幸せ力を高めてくれる。景気が回復し
たとき、蒔いておいた種がきっと大きな花を咲かせるはずだ。
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■■ 選書コメント
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タイトルでは分かりませんが、本書は女性向けに書かれた本です。
しかし男性にも読んでいただきたいと思い、男性読者の多いこのメ
ールマガジンで、あえて紹介することにしました。
パートナーの気持ちを理解することは、家族の幸せを考える上で不
可欠ですし、経済合理的に考えても、パートナーの人生設計が、家
計に与える影響は大きいからです。(例えば税金は家計単位ですね)
世にある成功本の多くは、経済的成功を最終目的にしたテクニカル
なモノが多いようです。そして男性向け、もしくは男社会で成功す
ることを前提にしている本がほとんどです。
でも人類の半分は女性です。本書はその半分に向けられた「女性の
ための女性の幸せの本」です。でもありがちなフワフワした「幸せ
本」ではなく、かなり実践的な内容に踏み込んでいます。
例えば、節約方法に始まって、オークションやフリーマーケット活
用法、懸賞・公募、小さな起業の具体的な手順まで、取り上げるテ
ーマは多岐に渡っています。
何でも、著者は育児休業を利用して、思いつく限りのお金を増やす
作戦にチャレンジしたそうです。そうした体験から得たノウハウは、
週末起業の発想にも通じるものであり、実践的で参考になります。
男性も「女性向けなら自分には関係ない」などと言わず、ご家族や
パートナー、同僚の幸せのために一読して、今一度、女性の幸せに
ついて考えてみて欲しいと思います。(私も考えます、ハイ)
また、女性の視点から見た幸せのあり方は、行け行け、ドンドンの
オトコ的な幸せとはだいぶ違っています。私自身、自分の幸せにつ
いて深く考えさせられました。ご一読をお勧めします。
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