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2004/04/23
借金バンザイ!―税理士は教えてくれない「自転車操業」の極意
月商1ヶ月分の預金残高があるかないかの会社は、みな自転車操業
だ。毎月入ってくるお金を待ち、なんとかその月の支払いをしてい
る状態だからだ。
月商1億円を誇ろうとも、仕入れ先への支払いや、家賃などに同じ
くらいの支払いがあるのが普通だ。だとしたら仮に月末の預金残が
3000万円あっても、売上げの入金を待たなければ支払えないのだ。
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■■ ビジネス選書&サマリー
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=今週の選書=
■■借金バンザイ!―税理士は教えてくれない「自転車操業」の極意
■■小堺 桂悦郎 (著)
■■フォレスト出版
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■■ 選書サマリー
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借金には借金の法則がある。中小企業の資金繰り相談にのってきた
著者が、資金繰りの手法を指南。
【1】
月商1ヶ月分の預金残高があるかないかの会社は、みな自転車操業
だ。毎月入ってくるお金を待ち、なんとかその月の支払いをしてい
る状態だからだ。
月商1億円を誇ろうとも、仕入れ先への支払いや、家賃などに同じ
くらいの支払いがあるのが普通だ。だとしたら仮に月末の預金残が
3000万円あっても、売上げの入金を待たなければ支払えないのだ。
月商1億円の会社が月末に500万円しかないとしたら、これは月給
50万円のサラリーマンが、月末には25000円しか手元にお金がない
状態と同じだ。
サラリーマンも毎月盛んに積み立てをし、保険をかけ、カードの返
済をしていたら、リストラなどで給与をカットされたとたんに資金
が回らなくなる。会社もそれと同じだ。
このように考えると、ほとんどの会社が自転車操業だ。ペダルをゆ
っくりこいでいるか、競輪選手のようにめちゃくちゃに漕いでいる
かの違いがあるだけだ。だから何も恥ずかしがることはない。
【2】
自転車操業は悪いことではなく、当たり前なのだから、早くそれを
認め、きちんと準備しておくべきだ。自社が自転車操業だと認識で
きれば、お金が足りなくなるときはあらかじめわかるものだ。
いくら借金をしていても返済が順調なウチは、融資などと呼び、あ
まり気にならないものだ。ところが返済がきつくなったりするから、
その融資が借金になってしまうのだ。
買掛金や手形も同じだ。どんなに金額が大きくても、支払う期日に
預金残があれば借金などとは思わない。経営が順調なときは、金を
借りることを資金調達などと呼ぶが、結局これも借金なのだ。
支払日にお金がなければ、手形のジャンプ、小切手のスキップ、商
工ローンに頼ることになる。そうなると連帯保証人にも迷惑がかか
る。そうなる前にきちんと借金をしておくべきなのだ。
【3】
「ウチは借金が少ない」と豪語する会社も、ツケを仕入れ業者に回
していることが多い。手形や買掛がやたらと多い会社だ。こんな会
社は売上げが前年割れしたらすぐ資金ショートする。
要するに、銀行の借金だけが借金ではないということだ。貸借対照
表の負債の部にある金額は、すべて借金だという認識を持つべきだ。
いくら自己資本比率が2割あろうが、残りはすべて借金なのだ。
無借金経営というのは、自己資本比率100%の会社だけを言う。そ
んな会社は滅多にない。つまり、会社や自営業とは借金を負ってい
るものなのだ。大事なことは、借金の中身と借り方・返し方だ。
【4】
会社が借金するときに、最初に思い浮かべたいのが銀行だ。最近は
頼りにならないと言われている。だが、うまく使えばまだまだお金
を貸してくれる頼りになる存在だ。ただしうまく借りる必要がある。
特に、借りる際に知らねばならないことがある。それは貸す貸さな
いは、あくまでも銀行の都合で決められるという前提だ。いくら融
資実行が正当でも、合理的でも、この前提は絶対に変わらない。
市や県が制度融資や制度資金など様々な公的資金を用意している。
だが、これとて、条件に合致さえすれば借りられるわけではない。
結局、取引銀行が審査をしているからだ。
では、銀行が融資するか、しないかの判断基準はどこにあるのだろ
うか。一言で言えば、銀行が貸したいかどうかで決まる。貸したく
なる状況はいくつかある。
まず、ときどきの状況によって貸したい商品と貸し方がある。派手
な広告打って、ビジネスローンとか○○ローンなどとキャンペーン
をやっている商品はねらい目だ。
次にそれぞれの支店の現場の目標数字がある。ノルマと呼んでもい
い。銀行には、預金獲得のノルマと同じように貸出しのノルマもあ
るのだ。
最後は、相手が貸したい会社かどうかだ。これはまず決算書が融資
条件にあてはまるかどうかだ。ただ最後に貸すか貸さないかの分か
れ目になるのは、社長の第一印象だったりする。心得ておくべきだ。
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■■ 選書コメント
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本書は、今まで誰も書かなかった会社の借金について、実在の企業
をベースに、面白く、わかりやすく解説した本です。借金には悪い
イメージがあるせいか、これまで誰も詳しく語りませんでした。
実は、会社というのは赤字決算を何年続けても潰れません。事実、
日本には、現在約276万社の法人があり、うち72%が赤字と言われ
ています。それでも年間倒産件数は2万件以下にとどまっています。
では、赤字でも潰れない会社が、潰れるのはどんなときでしょう?
それは、銀行口座にお金がなくなったときです。口座のお金がなく
なって、支払いができなくなった時、会社は倒産するのです。
これは個人でも同じです。いくら高額な給料をもらっていて、明日
が給料日でも、今日、住宅ローンやカードの支払いができなければ、
家計は破綻します。
そうならないように、日ごろから家計簿をつけるべきですが、いざ
そうなったら、あとは身内や知人を頼るか、消費者金融に駆け込む
しかありません。
会社の場合には、口座からお金がなくならないようにするために
様々なテクニックがあります。その代表が、銀行と交渉して返済
を遅らせるリスケジュール、略してリスケです。
その他、手形のジャンプ、小切手のスキップ、融通手形などいろい
ろなウラ技があります。本書は、こうした借金の仕方や、返し方の
工夫で、会社の倒産を回避する手だてが詳しく解説されています。
借金の返済に悩む経営者(ほとんどだと思います)が読めば、勇気
づけられるに違いありません。そのほかにも、これから起業したい
人は必読です。
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