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2005/04/22
商経(しょうけい)?無一文から1兆円稼いだ中国商人の教え
中国の豪商、胡雪岩(こせつがん)は、古代の「商聖」と言われる
陶朱公(とうしゅこう)に匹敵する重要人物で、しばしば「第2の
商聖」と呼ばれている。いったい、彼はどんな人物だったのか。
胡雪岩は貧しく賤しい家に生まれ、乱世に身を置きながらも、自ら
の知恵と才能を駆使し、権勢を握る人々の勢力を利用して、莫大な
財産を築き上げた。
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■■ ビジネス選書&サマリー
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 32,600部>━
■■商経(しょうけい)?無一文から1兆円稼いだ中国商人の教え
■■監修 守屋洋 著者 史源原 翻訳 和泉裕子/インプレス
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■■ 選書サマリー
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貧しい家に生れながら、莫大な財産を築き上げた胡雪岩の成功と失
敗に、ビジネス界で縦横無尽に活躍する秘訣を学びます!
【1】
中国の豪商、胡雪岩(こせつがん)は、古代の「商聖」と言われる
陶朱公(とうしゅこう)に匹敵する重要人物で、しばしば「第2の
商聖」と呼ばれている。いったい、彼はどんな人物だったのか。
胡雪岩は貧しく賤しい家に生まれ、乱世に身を置きながらも、自ら
の知恵と才能を駆使し、権勢を握る人々の勢力を利用して、莫大な
財産を築き上げた。
大平天国の乱をはじめ戦乱が頻発し、混迷を極めた当時の政情のな
か、胡雪岩は時代の方向を見定めると同時に、清の朝廷に巨額の資
金を援助し、その見返りとして事業に対する支援を引き出した。
さらに幾多の紆余曲折を経て、一介の銭荘(せんそう・金融機関の
こと)の小僧から、中国歴史上唯一の「紅頂商人」になった後は、
自ら銭荘や質屋を創設し、全国的な金融網を構築するとともに、「胡
慶余堂」(こけいよどう)という薬局を設立した。
当時の欽差大臣(きんさだいじん・特命全権大使)であった左宗棠
(さそうとう)は、そんな胡雪岩を指して「商人にして豪侠の気質
がある」と賞賛し、大文豪である魯迅(ろじん)も「胡雪岩こそ、
中国封建社会最後の偉大な商人だ」と激賛を惜しまなかった。
【2】
胡雪岩がビジネス界で縦横無尽に活躍できたのはなぜか。それは、
彼に、次のような資質があったからだ。
・「人材の使い方を知る」用人観、
・「時宜を得て物事を運ぶ」機運観
・「大勢にうまく順応する」時勢観
・「政府を味方に付けて利を追求する」官商観
・「果敢な知謀と素早い行動を優先する」謀略観
・「市場を活性化させ場面をつける」営業観
・「鋭い洞察力で人情や世事を正確に把握する」処世観
また、胡雪岩の成功は、商人として備えるべき4つの徳目、すなわ
ち「智・仁・勇・信」をすべて兼ね備えていた。
【3】
胡雪岩は「信念なくして大商人になることはできない」という。事
実、彼は、商人でありながら、天下を憂えることを知っていた。
彼が、生きたのは、中国史上で最も混乱していた時代だった。アヘ
ンが輸入され、貴重な銀が大量に流出するとともに、外国勢力の侵
略に無防備にさらされ、朝廷にも国を守る力がなかった時代だ。
暴政に耐えられなくなった農民たちを率いて、洪秀全(こうしゅう
ぜん)が太平天国を叫んで乱を起こした。そのとき、彼は胡雪岩を
通して西洋商人から武器を購入しようとした。そして、見返りに利
益を保証すると申し出た。
しかし、胡雪岩は申し出を丁重に断わった。彼には国が様々な内憂
外患に直面している時こそ、いつにも増して安定した政府と官員の
体制が必要であるという認識をもっていたからだ。
こうした認識があったからこそ、商人の地位が低かった清朝末期で
ありながら、胡雪岩は当時の人々からだけでなく、後代の人々から
も賞賛を一身に集めているのだ。
【4】
胡雪岩は大言壮語を吐くような人ではなかった。そんな彼から、今
日の経営人が学ぶべき重要な教訓がある。それは、商人であれ官吏
であれ、必ず社会的責任感を持たなければならないということだ。
そして、不正な手段で私利を得ようとする「貧官」(どんかん)や
「奸商」(かんしょう)には、決してなってはならないということ
だ。これこそが、まさに胡雪岩の信条だった。
この信条のおかげで、胡雪岩は一介の賤しい徒弟から、豪商に成長
することができた。さらに、豪商になったからも、多くの人の尊敬
と信望を一身に集めることができたのだ。
平和な世の中ならともかく、清朝末期という、国力が衰えつつある
中国に生きながら、このように高い見識を持つにいたったことは、
高く評価されるべきだ。
事業をしようとする人、特に、大きな事業を成就させようと夢見る
人は、いつの時代でも、どんな国にあっても、このように高尚な信
条を、必ず持たなければならないのだ。
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■■ 選書コメント
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本書は、無一文から一兆円を稼いだ中国商人、胡雪岩の商道一代記
から、商売成功の秘訣を学ぼうとするものです。胡雪岩は金貸しの
便所掃除から、紫禁城を馬で乗り入れる豪商にまで出世した人です。
日本では、あまり知られていませんでしたが、中国ではテレビでド
ラマ化されるなどして、広く知られるカリスマです。他にアジアの
一流経営者にも尊敬されていて、たとえば韓国などで本書は19ヶ月
連続のベストセラーになっています。
彼自身は書物を残していませんが、彼の物語や語録からは、現代に
も通ずるビジネスの原理原則と経営哲学を読みとることができます。
胡雪岩のみならず、そもそも中国商人に学ぶという趣の本は、これ
まであまり日本で紹介されてきませんでした。ユダヤ商人に学ぶと
いうたぐいの本が、多数紹介されているのとは、対照的です。なぜ、
お隣りにいる商売の天才たちにもっと学ばなかったのでしょう。
本書が面白いのは、松下幸之助やアメリカの石油財閥アーマンド・
ハマーなど、胡雪岩的な経営者の事例を、世界中から集めて取り上
げている点です。
結果的に本書は、400ページの超大作になっています。ただし、テ
ーマが14に分かれ、それぞれ3セクションに分かれていますので、
つまみ食いができ、読みやすい本に仕上がっています。経営者や成
功本が好きな方なら、いつもそばに携えておく本としてお勧めです。
さらに、本書は中国ビジネスを学ぶという観点からも、たいへん参
考になる本です。官との密着や友人を大切にする文化など、中国的
な事情がよく分かります。
ビジネスの面で、日中間はますます距離が近くなっており、中国関
連の仕事に携わる人も増えているはずです。そういう方が、中国と
中国のパートナーを知る上で、ためになる一冊だと思います。
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