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2005/07/15
パーソナルブランディング
終身雇用によって仕事が保障されたのは、過去の話だ。会社から離
れることを余儀なくされたとき、あなたはどうやって将来の保障を
手にするのだろうか。
ビジネスを順調に進めたければ、自分自身の強力なパーソナルブラ
ンドを作り上げておくことだ。われわれはまず、うわべの印象によ
って他人を判断する。
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■■ ビジネス選書&サマリー
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 39,037部>━
■パーソナルブランディング
■ピーター・モントヤ(著)、本田 直之 (訳)
■東洋経済新報社
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■■ 選書サマリー
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同じような実力で同じようなサービスを提供していても、収入や影
響力に差がつくのはなぜでしょうか?
【1】
終身雇用によって仕事が保障されたのは、過去の話だ。会社から離
れることを余儀なくされたとき、あなたはどうやって将来の保障を
手にするのだろうか。
ビジネスを順調に進めたければ、自分自身の強力なパーソナルブラ
ンドを作り上げておくことだ。われわれはまず、うわべの印象によ
って他人を判断する。
そのイメージを左右するのが、パーソナルブランドだ。たとえば、
次のような人々に対し、あなたはこんなイメージを抱いているに違
いない。
マイケル・ジョーダン...時代を超えた偉大なバスケットボール選手
マドンナ...自己変革と自己宣伝の天才
トム・ハンクス...映画で普通の人を演じるならこの人
彼らのように、自分の価値や能力、行動について強い印象を与える
ようにしたいものだ。人々があなたのことを考えるたび、強力かつ
明晰な人物像が心に浮かぶようにしなくてはならない。
【2】
あなたが築いてきたパーソナルイメージは他人の手を借りて、消極
的に作り上げられたものにすぎない。それでは競争相手との差別化
は図ることなど到底ムリだ。
「自分は誰か」「何をしているのか」「マーケットに対し、どんな
価値を提供するのか」この3つを伝えることができれば、ビジネス
チャンスは格段に広がる。一貫して自分のパーソナルブランドを発
信している限り、安定した仕事が入ってくる。
専門分野のリーダーとして、それなりの報酬が請求することができ、
収入も増える。ひとたびブランドが確立されれば、業界においてダ
ントツの地位を築くことができる。
このほか、信頼性や知名度が高まり、有益な人々を引き付けられる
ばかりでなく、何かのリーダー役を果たすことになったり、時代の
トレンドに乗ったりすることも可能だ。
【3】
パーソナルブランドが与える基本的な印象には、以下の3つがある。
1.差別化
「新しさ」と「オリジナル性」は、もっとも重要なパーソナルブラ
ンドのポイントだ。
2.優位性
最高レベルの仕事をしよう。スピードでも、サービスの質の高さで
も、最新技術でもいい。業界リーダーの地位を獲得しなければ、個
人的にあなたを知らない人の信頼は獲得できない。
3.信憑性
あなたが誰で、どの程度の力を持っており、どんな部分で優れてい
るのかが正確に把握されなくては、パーソナルブランドは確立され
ない。軽薄な誇張は簡単に見破られてしまうのだ。
【4】
パーソナルブランドを築くため、すぐできることがある。まず、同
業者や顧客、スタッフに、あなたがどう見えるか尋ね、専門分野に
おいて強みとなっている特色やスキルをリストアップする。そして、
あなたのリストの内容と他人が言っていることを比較する。
また、ライバルのリストを作成し、彼らのパーソナルイメージをリ
ストアップする。そして、あなたがライバルに対し、差別化してい
るものをリストアップする。
さらに、あなたが顧客と共有している価値や利益、その特色を書き
出す。紹介を受けた顧客に、仲介役があなたについてどう言ってい
たかを尋ねる。同業者ですばらしいパーソナルブランドの持ち主が
いるなら、そのブランディングを調べてみるのもいいだろう。
車であれ、コンピューターであれ、ブランドとは人に期待感を抱か
せる。買ったものが期待通りであれば、人々はリピーターとなって
くれる。これが「ブランドロイヤルティ」だ。
もし、あなたのブランドが正しいメッセージを発信し、実際に顧客
の期待に沿うことができれば、彼らはあなたのオフィスに押しかけ、
電話は鳴り続けることだろう。
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■■選書コメント
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企業でなく、個人がビジネスの分野において自分をお客様に印象づ
けるために構築するブランドを「パーソナルブランド」と名付け、
その構築方法と活用法を具体的に指南するマニュアルが本書です。
ブランドというと、一般的には企業が作るものと考えられています
が、企業がブランドを作るのは顧客からライバルでなく自分を選ん
でもらえるなど、ビジネス上の効果が大きいからです。
効果があるなら、個人がマネをしない手はありません。仕事が必要
なのは、個人であっても同じだからです。しかし、これまで個人は
自分のブランド構築に無頓着でした。
理由は、構築したところで、それを広めるために広告を載せる余裕
はないし、そもそも「ブランド構築にお金がかかる」という考え方
が一般的だったからです。
しかし、ブランド構築とは立派なロゴやキャッチ・コピーを、お金
をかけて作ることだけを意味するわけではありません。周りが自分
に対して抱くイメージを意図的にコントロールして、仕事に結びつ
ける行為は、すべてブランド構築の一環です。
そう考えると、むしろ余裕がない個人こそ、しっかりしたブランド
が欲しいところです。営業マンを雇える企業と違って、売り込まず
とも自分を雄弁に語ってくれるブランドがあれば、助かるからです。
弁護士、会計士、医師、経営コンサルタント、デザイナー、プログ
ラマー、ライターなど、会社や組織に頼らずに仕事をしている人は
必読です。
組織に属する人でも、その他大勢の一人でなく、お客様から名指し
をされて仕事をしたいと考えるなら、参考になるところがたくさん
あると思います。
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