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2005/09/09
面白いほど身につく論理力のドリルブック
グローバル社会が急速に発展し、論理的思考力が求められている。
職場で直面する様々な問題も論理的思考法に基づいて解決されなく
てはならない。
論理的問題解決のために、最初にしなければならないのが問題の明
確化だ。「問題」とは、自分たちが「期待する状況」と「現状」と
の差のことだ。
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■■ ビジネス選書&サマリー
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数 41,680 部>━
■今週の選書
■面白いほど身につく論理力のドリルブック
■野村るり子
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■■ 選書サマリー
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論理的思考力は、練習すれば身につきます。
【1】
グローバル社会が急速に発展し、論理的思考力が求められている。
職場で直面する様々な問題も論理的思考法に基づいて解決されなく
てはならない。
論理的問題解決のために、最初にしなければならないのが問題の明
確化だ。「問題」とは、自分たちが「期待する状況」と「現状」と
の差のことだ。
例えば、ある男性が会社の健康診断で、医師から65キロある体重を
60キロまで落とすようにと言われたとする。この場合「期待する状
況」は「60キロ」になること、「現状」は「65キロ」であることだ。
これを式に表すと「60キロ(期待する状況)」?「65キロ(現状)」
=「?5キロ(解決すべき問題)」となる。すなわちこの男性が解
決すべき問題は「5キロの減量が必要であること」となる。
このように、ステップを踏んで物事を1つ1つ整理すると「解決す
べき問題」とは、案外簡単に算出できるものだ。
【2】
問題解決における現状分析で重要となるのは次の3つだ。すなわち、
・解決すべき問題の特定
・外部環境分析
・内部環境分析
問題の特定とは「期待する状況」と「現状」との差を明確にするこ
とだ。「外部環境」とは、政治や経済といった自分を取り巻く環境、
「内部環境」とは、自分や自分の組織内の環境のことだ。
問題を解決するうえで大切なことは「期待する状況」と「現状」と
の差を縮めるうえで、短期的に変化を加えることのできないことに
時間とエネルギーの多くを注がないことだ。
なぜなら、同じ時間を使って、変更可能な個所に注力すれば、結果
として、より多くの問題を短期間で解決することができるからだ。
これを式であらわすと(「期待する状況」?「現状」)?(「短期
に変更不能な外部要因」+「短期に変更不能な内部要因」)=「変
更可能要因」となる。「変更可能要因」が多いほど、問題は短期に
解決できる。
【3】
解決すべき問題が明確になったら、次は問題解決の方法を考える。
すなわち期待する状況と現状の差を縮める「方法」だ。方法を探す
には「どうやって?」という「問いかけ」に答えていく必要がある。
この問いかけを、課題(テーマ)と呼ぶ。問題解決作業において、
課題を明確にすることは大変重要だ。なぜなら、この課題に答えて
いくことこそが、問題解決の作業だからだ。
次に「問題解決」について考える。ある状況を期待するが、それが
かなっていない状況を「問題が発生している」と呼ぶ。期待する状
況と現状との差を狭めるプロセスを「問題解決のプロセス」と呼ぶ。
そして、最終的に期待する状況と現状との差がゼロになった状態を
「問題が解決した状態」と言う。これを式で整理すると以下になる。
「期待する状況」?「現状」=0→問題がない状態
「期待する状況」?「現状」=+→問題が発生している状態
「期待する状況」?「現状」=?→問題が発生している状態
「期待する状況」?「現状」+「対策」=0→問題が解決した状態
【4】
問題解決プロセスにおいては、課題が具体的であるほど解決は容易
だ。だから、物事を表現する際は、意識的に5W2Hを使用するク
セを付けるとよい。
5Wとは、WHO(誰が)、WHAT(何を)、WHEN(いつ)、
WHERE(どこで)、WHY(なぜ:どんな目的で)、2Hとは、
HOW(どうやって)、HOW MUCH(いくらで)のことだ。
また、数値化の習慣をつける。「目標は早急に売上げをあげること
です」よりも「○○年度の売上げを前年度より20%増加させること
です」の方が、より明確で、問題の解決案も提案しやすくなる。
このように、生じている問題を具体的に表現することが、問題の論
理的解決のための出発点となる。日常の仕事でも、問題を具体的に
把握し、表現することを心がけることが重要だ。
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■■選書コメント
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これから職場でもますます重要になる論理的思考力、問題解決力を
ビジネスパーソンが身につけることを目指し、雑誌『Think!』
でもおなじみの著者が、わかり易く解説します。
本書は、学習効果を高めるために、構成に工夫がされています。ま
ず、思考法や思考のツールを明快に解説し、ついでその思考法を用
いて解く問題が、タイトル通りドリル形式で出題されていきます。
論理思考というと、苦手意識を持つ方も多いようです。しかしそれ
は、これまでやり方を学んでこなかったからです。本書のような書
籍で学び、ひたすら練習すれば、誰にでも身につくものです。
グローバル化が進んでいます。また職場の雇用形態も多様化してい
ます。結果、職場にも多様な価値観が入り込み、かつてのような「な
あなあ」「つうかあ」「あうんの呼吸」は通用しにくくなりました。
そんな職場で説得力をもつには、論理しかありません。しかし、日
本のビジネスパーソンは論理思考に不慣れです。一見論理的に見え
ても、実は過去の成功体験や感情、多数決で情緒的に考えているこ
とが少なくありません。
最近は、参考書も増えましたが、その質は玉石混淆です。中にはわ
ざと難しく書かれたものもありますし、事例が欧米の事例だったり、
経営者やコンサルタントが考えるような問題ばかりを取り上げてい
たりと、当事者意識が持ちにくいものが大半です。
その点、本書は中学生でも読めるよう配慮したそうで、極めて平易
に書かれています。取り上げられる問題も「マンションの駐輪場不
足を解決するには?」など家族で話題にできそうなものばかりです。
論理力を身につけたいと考える方はもちろん、かつて論理力の修得
に挑戦しながら、途中で挫折してしまった経験をお持ちの方にも、
本書はお勧めできる一冊です。
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