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2006/01/27
直伝 藤巻流「私の個人資産」運用法

直伝 藤巻流「私の個人資産」運用法

これから、ご紹介するのは、一般投資家の方々がそのまま真似する
にはふさわしくない資産運用の考え方だ。損することに慣れたリス
ク大好き人間の話と思って、聴いてもらいたい。
私の資産運用例は以下の通りだ。


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■■       ビジネス選書&サマリー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数48,209部>━
■今週の選書
■直伝 藤巻流「私の個人資産」運用法
■藤巻健史/講談社
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伝説のトレーダーは、なぜ今、積極的に借金をするのか?

【1】

これから、ご紹介するのは、一般投資家の方々がそのまま真似する
にはふさわしくない資産運用の考え方だ。損することに慣れたリス
ク大好き人間の話と思って、聴いてもらいたい。

私の資産運用例は以下の通りだ。
(1)長期の固定金利のお金を銀行から借りられるだけ借りる。
(2)自宅を含めて、不動産に投資する。
(3)株を買う。米国株が中心。
(4)流動性はなるべくドル建てMMF等のドルにする。
(5)円預金は皆無に等しい。

以上の中は、特に「借金をすること」に最も興味があり、最も力を入
れている。借金をするのは難しい。しかし、運良くお金を貸してくれ
る銀行があるので、喜んで借りているのだ。

銀行は、株を買うためにはお金は貸してくれない。だから、借金は
不動産投資とセットだ。あくまでも長期・固定金利で借金をする。
今の長期金利は異常に低い水準だから、あと数年経てば、この超低
金利でした借金は「銀行からのギフト」になるはずだ。

【2】

お気づきだと思うが、私が構築しようとしているポートフォーリオ
は「インフレ対応型」だ。私は、遅かれ早かれインフレが来ると思
う。世の中がインフレになるのならば不動産や土地を持ち、長期固
定金利の借金しなければ、自分の財産を守れない。

なぜ、遅かれ早かれインフレが来るのか?理由は、国の財政赤字が
あまりにもひどいからだ。国は税収等で毎年44兆円の収入がある。
一方、毎年84兆円近くを支出している。

したがって、毎年40兆円ずつ赤字が出る。それを国債発行等で補っ
ているのだ。累積赤字は増え続け、貯まりに貯まった借金は、つい
に800兆円(2005年6月末)にもなってしまった。

取りうる政策は合法的徳政令しかない。それがインフレ政策だ。イ
ンフレは経済弱者に対して厳しいが、インフレが来なければ財政は
破綻、国が破産してしまう。もはや、選択の余地はないほどに財政
は悪化している。

【3】

ここで、現在の日本国、銀行、個人そして日本銀行のバランスシー
トを考えてみる、

国は、財政出動でインフラを作り大量の国債を発行している。個人
は相変わらず銀行預金が多い。銀行は預かった預金で国債を大量に
買っている。日本銀行も大量に国債を買っている。

この一連の関係からなにを読み取るべきか?1つ目は「国が財政出
動で借金を重ね、それを個人が銀行を通じて尻拭いしており、日本
銀行もその尻拭いを手伝っている」ということだ。

この日銀の行動でインフレリスクが高まっている。日銀が国債購入
のために紙幣を増刷する。「品物」の量が同じで「お金」が3倍流
通するのだから、お金の価値は当然下がる。これがインフレだ。イ
ンフ"ラ"のためにインフ"レ"が起こるのだ。

また、中央銀行のバランスシートが巨大化してくると、日銀の信用
が崩れるリスクも出てくる。それは円の信用力の下落に繋がるのだ。

【4】

2つ目は、国のバランスシートと個人のバランスシートは正反対だ
からだ。国は「インフレ期待型」、個人は「デフレ対応型」なのだ。

個人は預金という、デフレ時に最適な資産で、資産の大半を運用し
ている。一方、国のポートフォーリオは「インフレ期待型」だ。国
は日本で最大の借金王だ。インフレは借金している人に資するのだ。

また、国の資産サイドは、橋、道路や相続で物納された不動産等が
多い。インフレになればそれらの価値は上がる。フローの面でも国
に資する。急増した税収で満期の来た国債等の借金は簡単に返せる。

国と個人がぶつかれば、勝つのは間違いなく国サイドだ。政策を決
めるのは国であり、国は、国に都合のよい政策を取るはずだ。

このように、国と個人は、「インフレ期待型」と「デフレ対応型」
でガチンコ勝負をしている。それならば、私は迷わず「強い国サイ
ド」に付く。だから私は借金をするのだ。

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■■選書コメント  
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本書は、ご自身の資産運用を考える際に考えなくてはならない、経
済環境や大きな経済のうねりについて、為替、株、不動産、円金利、
米国経済、中国経済などの側面から予測、解説するものです。

タイトル通り、著者の個人資産の運用法を開示し、なぜそのような
運用をするのか、経済動向の予測や、スタンスをきめ細かく説明し
ていくというユニークな論旨展開になっています。

著者の藤巻健史氏は、モルガン銀行時代「伝説のトレーダー」と呼
ばれたほどの人物です。そのような人が、今、自分の個人資産をど
う運用しているのかは、誰しも関心のあるところだと思います。

もちろん、著者の個人的なことだけを書き連らねた内容ではありま
せん。個人のポートフォリオを紹介しつつ、それを題材に経済の仕
組みを解説しようとしています。

世の中には、色々な人が色々な予測をし、色々な投資を推奨してい
ます。受け手としては、迷うばかりですが、まずその人自身が、持
論通りに投資しているのかどうかは、知っておきたいことです。

その点、著者は本書にある通りのやり方で個人資産を運用している
そうですから、信用度が違います。「私の真似をして損をしたら、
一緒に泣きましょう」と言っているくらいです。

とは言え、この本の通りに運用すれば絶対に儲かるといったことは
ありません。著書も「本代くらいで責任は取れない」と言っていま
す。投資活動はあくまでも自己責任です。最後は自分の判断です。

ただし、判断にあたっては、良質な判断材料が必要です。そのため
に、投資を取り巻く環境を、まず広く浅く、手軽に学びたいという
人に、本書はお勧めの良書です。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
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Tel.(03)6273-7950
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