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2006/03/31
80対20の法則を覆すロングテールの法則

80対20の法則を覆すロングテールの法則

あなたは顧客を切り捨てている。これまでのマーケティングの根底
にある考え方は、まさに顧客の切捨てなのだ。「パレートの法則」、
別名「80対20の法則」という理論はご存じだと思う。
これが「売上の8割は2割の優良顧客が生み出す」という考え方の
基礎になっている。現代のマーケティングは、この理論をもとに優
良顧客を優遇し、リピーターへと育てる仕組みを追求してきた。


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■今週の選書
■80対20の法則を覆すロングテールの法則
■菅谷 義博/東洋経済新報社
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ネット業界で話題の「ロングテール現象」を解説した、本邦初の本
です。

【1】

あなたは顧客を切り捨てている。これまでのマーケティングの根底
にある考え方は、まさに顧客の切捨てなのだ。「パレートの法則」、
別名「80対20の法則」という理論はご存じだと思う。

これが「売上の8割は2割の優良顧客が生み出す」という考え方の
基礎になっている。現代のマーケティングは、この理論をもとに優
良顧客を優遇し、リピーターへと育てる仕組みを追求してきた。

しかし、8割の顧客が切り捨てられてきた理由は、「すべての顧客
とコミュニケーションをとると、コストがかかるから」だ。長い間、
顧客とのコミュニケーションは、従量制コストで成り立っていた。

営業マンの人件費、電話代、DMの印刷費と発送費、テレビCMの
予算など、どれをとっても、ターゲットの範囲が広く、層が厚いほ
どコストがかかる。

限りある経営資源は効率的に投入したい。だからこそ、8割の顧客
をあえて切り捨て、2割の顧客に集中するという、現代マーケティ
ングの基本戦略が生まれたのだ。

【2】

インターネットの登場と爆発的な普及により、コスト従量制の時代
は終わりを告げた。通信インフラの高速化と低価格化は、コミュニ
ケーションコストを限りなくゼロへと近づけた。

こうした状況で生まれたのが、eマーケティングだ。これは、単に
インターネットを使ったマーケティングを意味するのではない。「80
対20の法則」のパラダイムを覆す、劇的なマーケティングなのだ。

コミュニケーションコストがゼロなら、もはや切り捨てるマーケテ
ィングは無用だ。2割の見込み客だけでなく、10割の顧客をすべて
ターゲットにする戦略をとることが可能になる。

新時代のマーケティングは、顧客を「切り捨てる」でなく、「創造
する」方法なのだ。

【3】

そこで注目したいのが「ロングテール現象」だ。ロングテールとは、
2004年末頃から米国を中心に話題となっている言葉で「逆パレート
の法則」と言い換えてもよい考え方だ。

たとえば、これまでのリアル店舗の書店では、陳列できる本の数に
は限りがあった。したがって「80対20の法則」により、いかに売れ
る本を店頭に並べるかが売上を左右した。

ところが、インターネット書店のアマゾンでは、陳列できる本の数
は事実上無限だ。ここでは「80対20の法則」が適用できない状況が
発生している。

年に数冊しか売れないような「売れない本」の売上があまりに多い
ため、「売れない本」の売上が、「売れる本」の売上を上回ってし
まっているのだ。

写真などのデジタル素材をネット販売するデジタルアーカイブ・ジ
ャパンという会社がある。協力を得て検証してみたところ、よく売
れる素材の上位20%がもたらす売上は、全体の41%に過ぎなかった。

つまり、残りの80%のロングテール部分が過半数の59%を占めてい
たのだ。この現象を逆手に取れば、新しい時代にふさわしいマーケ
ティングが誕生する。

【4】

今まで、売上は勘とセンスが左右してきた。これからは、論理的で
再現可能なマーケティング戦略を練ることによって、売上はコント
ロール可能なものとなる。

企業活動において、生産や物流に比べると、営業やマーケティング
の世界は、決して進んでいるとはいえなかった。生産現場の世界を
21世紀とするなら、マーケティングの世界は、中世の暗黒時代にと
どまっていたといってよいくらいだ。

だが、モノを売るための、きわめて効率のよい確実な方法は、たし
かに存在する。まったく売れない商品やサービスも、ニッチなニー
ズを顕在化させれば、売上に大きく貢献するロングテールへと変え
ることができるのだ。

物足りない?そんなあなたは、こちらです!
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■■選書コメント  
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本書は、近年米国などで話題になっている「ロングテール現象」に
ついて詳しく説明し、企業がその現象に適応して実績をあげていく
にはどうしたらよいのかを解説する書籍です。

ロングテール現象とは、これまで支配的だった「2割の商品が売上
の8割を稼ぐ」という、いわゆる「20:80の法則」が、インターネッ
トの登場で成り立たなくなりつつあるという考え方です。

ネットのビジネスでは、販売、流通、在庫にまつわるコストを、従
来のビジネスに比べて圧倒的に低く抑えることができます。余計な
間接コストがかからないのですから、ニッチなアイテムをかき集め
て売上を上げても、きちんと利益をとることができるのです。

このようなロングテール現象が、各所に見られるようになった今、
企業は自社のマーケティングをどのように考え、どのように取り組
んでいったらいいのでしょう。これが本書のテーマです。

取り組みにあたって必要な知識として、インターネットのマーケテ
ィングについても要領よく解説していますので参考になります。ま
た現時点ですでにロングテール現象に対処しつつある、先進的な企
業の事例を多数取り上げている点にも注目です。

言葉というのは、知っているだけでしばらくは優越感に浸れます。
「ロングテール現象」という言葉も、今なら知っているだけで、感
心される言葉のひとつかも知れません。

しかし、ビジネスの世界では、言葉を知っているだけでは何の価値
もありません。それをどのように自分の行動に結びつけるか、そこ
に真価が問われます。

「ロングテール現象」を追い風に、自社や自分がどのようなアクシ
ョンをとるのか、その手がかりが欲しいという人に、本書はぜひお
読みいただきたい一冊です。

★本書の詳細、お買い求めは、→ http://tinyurl.com/hmbd5

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

東京事務所:
〒101-0052
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Tel.(03)6273-7950
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