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2006/05/12
ヤバい経済学 - 悪ガキ教授が世の裏側を探検する
1995年、犯罪学者ジェイムズ・アラン・フォックスは、アメリカ司
法長官に詳しい報告書を提出した。その中で彼は「ティーンエイジ
ャーによる殺人が急増するだろう」と重々しく予測してみせた。
だが、現実には犯罪は激減した。ティーンエイジャーによる殺人率
は、彼が警告した100%の増加ばかりか15%の増加さえ見せず、5年
間で50%以上の減少となったのだ。
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■■ ビジネス選書&サマリー
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■今週の選書
■ヤバい経済学 ?悪ガキ教授が世の裏側を探検する
■スティーヴン・レヴィット、スティーヴン・ダブナー/東洋経済
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新進気鋭の経済学者が、膨大なデータをもとに常識をひっくり返し
ます。今のところ、今年のマイ・ベストです。
【1】
1995年、犯罪学者ジェイムズ・アラン・フォックスは、アメリカ司
法長官に詳しい報告書を提出した。その中で彼は「ティーンエイジ
ャーによる殺人が急増するだろう」と重々しく予測してみせた。
だが、現実には犯罪は激減した。ティーンエイジャーによる殺人率
は、彼が警告した100%の増加ばかりか15%の増加さえ見せず、5年
間で50%以上の減少となったのだ。
2000年には、アメリカ全体の殺人率はついに35年来の水準にまで下
がった。結果的に専門家たちは犯罪の減少を予測できなかったこと
になる。
犯罪率減少の原因については、いろいろと取り沙汰された。たとえ
ば、1990年代経済の活況や、ニューヨーク市が導入した画期的な取
り締まり戦略、銃規制などなど様々だ。
こうした説は専門家からジャーナリストの耳へ、そして一般人へと
あっというまに流布し、手っ取り早く通念として定着してしまう。
だが、たいていは嘘っぱちだ。
【2】
犯罪率減少の本当の原因は「中絶の合法化」が行われたことだ。数
十年にわたる追跡調査によれば、家庭環境の悪い子どもは、そうで
ない子どもにくらべ、罪を犯す可能性がずっと高いのだ。
実際、中絶が全国的に合法化した後、十数年経ってから犯罪発生率
は激減したのだ。このように、現代の日常の上っ面を一枚か二枚、
引っぺがすと、実に意外な事実が浮かび上がる。
真実の答は、他でもないデータの中にあるものなのだ。道徳的な建
前は脱ぎ捨て、数字と真っ正直に向き合ってみるべきだ。新しい、
驚くような発見にたどり着けるはずだ。
道徳は、世の中が「どうあってほしいか」を表すものに過ぎない。
世の中が本当は「どうなっているのか」を表すのは、道徳でなく、
経済学のほうなのだ。
【3】
経済学とは、雇用や不動産や銀行や投資に関する情報を把握するた
めだけのものではない。もっともっと面白いことにも使える。ただ
し、いくつかの基本的な考え方はおさえておく必要はある。
たとえば、現代の日常はインセンティブ、すなわち人が自分の欲し
いものをどう手に入れるのか、が左右することが多いことを知るべ
きだ。これが、凶悪犯罪からスポーツの八百長、出会いサイトまで、
あらゆる問題を解決する際の鍵になる。
また、通念はだいたい間違っていると思った方がよい。1990年代に
犯罪は急増しなかったし、お金だけでは選挙に勝てないし、毎日水
を8杯飲むことは健康にいいという証拠はどこにもないのだ。
さらに「風が吹けば桶屋が儲かる」なんてことはざらに起きるとい
うこともおさえておくべきだ。答えは目の前にあるとは限らない。
また、専門家は犯罪学者から不動産屋まで、自分の情報優位性を自
分の目的のために利用するものだ。だが、インターネットのおかげ
で、最近は彼らを打ち負かすこともできるようになっている。
あとは、何をどうやって測るべきかを知っておくことだ。これがで
きれば、混み合った世界もずっとわかりやすくできるはずだ。
【4】
データの正しい見方がわかれば、解けそうになかった問題も解決で
きるようになる。数学の力を駆使すれば、折り重なった混乱と矛盾
を拭い去ることもできる。
そんなことから、ひとつの学問分野を打ち立てた。名付けて「フリ
ーエコノミクス(ヤバい経済学)」だ。
古典派経済学の始祖、アダム・スミスも、もともとは道徳主義者に
なろうとしていたそうだ。彼は、数字が人に与える影響に興味を持
ち、個人の欲求と社会規範の衝突について考えたのだ。
「インチキしたり盗んだりする人と、しない人がいるのはなぜだろ
う?」こんなことを調べているうちに、気がついたら彼は経済学者
になっていたのだ。
同じように、私たちも人々の行動を検討してみよう。これを繰り返
せば、日常世界から裏社会まで、あらゆるナゾが解けるはずだ。
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■■選書コメント
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本書は、アメリカの新進気鋭の経済学者によるベストセラーです。
100万部を超える売上を記録した本書がきっかけで、全米では経済学
ブームが巻き起こったといいます。
経済学というと難解な印象を持たれるかも知れませんが、本書には
難しい数式はおろか、数字もほとんど出てきません。経済について
予備知識の無い人が読んでも十分に楽しむことができるはずです。
「難しいことを簡単に、面白く表現できる人こそ一流」と言います
が、本書を読むとそれが本当であることを実感できるはずです。
世の中には、常識とされながら、実は間違いということがたくさん
あります。理由は、誰にとっても当たり前すぎて、まともに検証さ
れてこなかったからかも知れません。
または、伝言ゲームのように、人づてに伝わるうちにゆがめられた
のかも知れません。発信元の人間が、最初から自分の利益のために
偏った情報を流す場合もあるでしょう。
いずれにしても、実は、常識ほどあてにならないものはありません。
常識と言われたら、まず疑うくらいでちょうどいいくらいです。本
書で著者は、そんな世の中の常識をいくつも取り上げ、膨大なデー
タと、経済学でおなじみの手法で覆していきます。
たとえば「勉強のできる親はどんな人か」「アメリカの犯罪件数が
激減した本当の理由は何か」など、誰もが感心を持つ疑問に、予想
を裏切る意外な答えを、データから導き出してくれます。
自分の計数感覚が会社の命運を左右する経営者や幹部、日夜数字と
格闘しているマーケティング担当者はもちろん、数字を味方につけ
たいすべてのビジネスパーソンに、一読をお勧めします。
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■■昨日、読んだ本
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『鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール』(野口嘉則)
→ http://www.coaching-m.co.jp/ama.htm
※読んだ人の9割が涙したほどの感動のストーリーです。たしかに
泣けました。アマゾンランキング総合1位になっています。5月17日
まで2大プレゼント進呈キャンペーン中ですから、買うなら今。
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