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2008/07/18
3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術

ユダヤ人ネゴシエーターの教え。交渉力とは、自分を相手に印象づけ、ビジネスを成功に導く力のことだ。この交渉力は、人脈づくりにも生きるスキルだ。よく言われる通り、交渉力をつけるには、まず「自分を売る」ことだからだ。

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■今週の選書
■3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術
■マーク富岡／サンマーク出版
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ユダヤ人ネゴシエーターの教え

【１】

交渉力とは、自分を相手に印象づけ、ビジネスを成功に導く力のこ
とだ。この交渉力は、人脈づくりにも生きるスキルだ。よく言われ
る通り、交渉力をつけるには、まず「自分を売る」ことだからだ。

国籍を問わず、一流のネゴシエーターたちは、みな「目の前の相手
に、どのように向き合うか」「自分をどのように印象付けるか」を
常に意識しているものだ。

もちろん、真の交渉力は、自分を売り込むだけでは発揮することが
できない。さまざまな複合的なスキルを備えているからこそ、肝心
の「自分」も生きてくるのだ。

しかし、自分を売ること、すなわち「一目置かれる自分」「印象に
残る自分」になることは、ネゴシエーターにとって、携帯電話やパ
ソコンと同レベルの、なくてはならない最低限のインフラなのだ。

【２】

私の最初の出張先は、ヨーロッパだった。そこでは、ドイツ人、イ
ギリス人から「何もわからない日本人が来た」と見下された。当然
ミーティングでも一方的に主張されっぱなしだった。

私は、ただ慌て、ぺこぺこ、おどおどしていた。交渉どころか、何
一つ成果を挙げられずに帰国した。その時は、ビジネスの失敗以上
に、自分が何者でもなかったことがこたえた。

そこでは、私はただの「何もわからない日本人」だったのだ。個人
としての名前も、キャラクターもない、いわば無名の「お使い」に
すぎなかったのだ。これほど屈辱的なことはない。

結果、戻ってからは、国内の飛び込み営業に配属となった。海外の
交渉など任せられないというわけだ。ここでも門前払いの繰り返し
だった。ますます「自分は軽く扱われている」と自信を失った。

私は自問した。「なぜ、自分は相手から大切に思われないのだろう」
「なぜ、相手は話を聞いてくれないのだろう」「英語が下手だから
か？」などと問い続ける毎日だった。

そして、自分に決定的に欠けているものの正体に気がついた。原因
は、会話力ではなかった。相手に自分を印象付けることができてい
なかったのだ。だから「無名の日本人」として軽視されたのだ。

【３】

モノを売るのは人間だ。コミュニケーションや交渉の相手も人間だ。
誰でもいいような相手なら、代わりになる人が大勢いるのだから、
相手にされないのは当たり前だ。

日本だろうと海外だろうと、交渉をする上で最も大切なのは「一度
会った相手から、忘れられない存在になること」だ。そのことに気
づいてから、私は変わった。

再び海外に行く機会が訪れたとき、今度はそれをチャンスにするこ
とができた。その後、自分を売る方法はもちろん、国籍を超えて人
とつきあい、コミュニケーションができるようになった。

そんな交渉のノウハウを、私は海外で数多く学ぶことができた。ユ
ダヤ人からは、相手を気持ちよくさせながら、交渉をＷＩＮ?ＷＩ
Ｎに導く技術を教わった。

アラブ人からは、理屈でなく感情で交渉をスムーズに運ばせる技術
を、イタリア人からは、親しくなりながら互角に戦う技術を学んだ。

相手の心をつかみ、思わずＹＥＳと言いたくなる交渉をすること、
印象に残るスピーチで相手に一目置かせること、こうしたスキルを、
世界一流のネゴシエーターたちから学んぶことができたのだ。

【４】

中でも、生まれながらの交渉の達人といわれるユダヤ人に巡り合っ
たことが、私の人生を変えた。おかげで「最強の商人」ユダヤ人に
さえ「ＹＥＳ」と言わせる交渉力を身につけることができた。

世界各国のビジネスパーソンを相手に交渉を重ねた私は、独自の交
渉ノウハウを身につけたつもりでいた。しかし、それはあくまでも
タフ・ネゴシエーター相手に強気な交渉をする独善的なものだった。

それに気づかせてくれたのが、一人のユダヤ人だった。彼は「交渉
とは、自分を売ることだけではない。相手を知ることだ」というこ
とを教えてくれた。

変化する状況の中で、自分のゴールはもちろん、相手も納得する
「落としどころ」を見つけなければならない、それが交渉だ。自分
スタイルを通せばいいというような、単純ななものではないのだ。

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■■選書コメント　　
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本書は、世界を股に掛けるビジネスパーソンによる交渉術の本です。
世界76か国にビジネスネットワークを構築した著者が、世界中のエ
グゼクティブから学んだ交渉術を披露します。

著者は、世界を飛び回りながら、相手の心をつかむ交渉術を駆使し
て、数々の難航案件や数十億円単位の商談を取りまとめてきた交渉
のプロです。

あの、世界一の交渉上手と呼ばれるユダヤ人ほか、これまでＹＥＳ
と言わせた欧米人は、のべ１万人にも上るそうです。世界各地にビ
ジネスネットワークをもち、海外マーケッターとして活躍中です。

そんな著者も、最初は英語も交渉もできない、ごくふつうのビジネ
スパーソンだったそうです。そんな著者が、国際交渉に開眼した秘
密を、本書で赤裸々に伝えてくれます。

ユダヤ人をはじめ、世界の一流のエグゼクティブとの交渉を通じ、
実践で学んできた交渉やコミュニケーションのコツやヒントを
ストーリーとエピソードを満載しながら解説してくれます。

楽しみながら読んで、しかも気づけば交渉術が自然に身につく工夫
が随所になされています。たとえば、エピソードの中にさえ、すぐ
に使えるノウハウが盛り込まれています。

「交渉は長きにわたる人間関係を作る過程の一つで、その関係が人
生を成功に導く」との主張どおり、本書は小手先の交渉術でなく、
人間関係づくりのバイブルになっています。

国際畑で活躍する方、国内外問わず日常業務として交渉をしている
方はもちろん、人の心をつかむ手法を習得したいと考える方まで、
すべてのビジネスパーソンにお勧めします。

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