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2008/09/12
成功本はムチャを言う!?
成功本を読んで、成功するのは誰?。出版不況といわれる中、成功本のジャンルは数多くのベストセラーを出している。いわゆる「売れ筋」の分野だ。つまり、多くの人々が成功本を望んでいるということだ。では、成功本を読めば、誰でも成功できるのかというと、そんなことはない。当たり前だが、成功本を読んだからと言って必ず成功できるわけではない。
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■■ ビジネス選書&サマリー
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数63,827部>━
■今週の選書
■成功本はムチャを言う!?
■新田義治/青春出版社
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■■選書サマリー
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成功本を読んで、成功するのは誰?
【1】
出版不況といわれる中、成功本のジャンルは数多くのベストセラー
を出している。いわゆる「売れ筋」の分野だ。つまり、多くの人々
が成功本を望んでいるということだ。
では、成功本を読めば、誰でも成功できるのかというと、そんなこ
とはない。当たり前だが、成功本を読んだからと言って必ず成功で
きるわけではない。
21年間の教師生活の後、ライフ&ビジネスコーチ、心理カウンセ
ラーとして多くの人の悩みに耳を傾けてきた。延べ人数は1万人を
超える。
そんな中で、成功を望みながら成功できない事例をたくさん見てき
た。気がついたことは、成功本と成功を希求する人の間には、深く
て大きな溝があることだ。
成功者は、往々にして自分の経験則からものを考える。だが、それ
が一般の人にとって大きなハードルであることに気づいていない。
一方、読者も、成功者の事例が成功者自身のパーソナリティに強く
影響されたものであることを理解していない。だから、成功本のノ
ウハウは、読者の成功に寄与しないのだ。
【2】
多くの成功本は、読者の多くが成功できない理由について「実践し
ない」からだと説明する。しかし、必ずしもそうではない。世の中
には、実践できる人と、できない人がいるのだ。
ほとんどの成功本は、実践するために「目標を明確に設定せよ」と
説く。しかし、成功者にとって当然のことでも、あらゆる人の動機
づけに結びつくかどうかは疑問だ。
心理学では、人が行動を起こす時の動機づけには「外発的動機づけ」
と「内発的動機づけ」の2種類あると言う。高報酬や罰則などは、
外発的動機づけだ。
そのような「外的要因」と違い、自分の興味や好奇心を満たすもの
が「内発的動機づけ」だ。後者のほうが、質の高い行動が続くとい
われている。
「高い数値目標」が、すべての人のモチベーション向上に結びつか
ないのは、多くの人にとって、それが「外発的動機」づけだからだ。
【3】
人のパーソナリティは様々だ。何に行動の価値基準を置くかで、4
つの傾向が見てとれる。それは、おおむね次のようなものだ。
(1)目標達成的傾向―行動を重視する傾向が強い。
(2)親和的傾向―調和することを重視する傾向が強い。
(3)献身的傾向―愛し愛されることを重視する傾向が強い。
(4)評価的傾向―考えることを重視する傾向が強い。
すべての人が、これらの傾向をすべて持つ。どの傾向が強いかで、
考え方や行動が異なってくる。
たとえば、「目標達成的傾向」が強い人は、達成願望が非常に強く、
考えるより先に行動するタイプだ。「年収を3000万円にする」とい
った具体的数値目標がモチベーションアップの材料になる。
「親和的傾向」の強い人は、人との関係性を保つことに価値を置く。
そのため、自分の行為が「みんなの役に立つ」と感じられた時に、
内発的動機が高まる。
「献身的傾向」の強い人は、好きな相手に喜ばれる、大切にされる
ことに一生懸命になる。この場合の好きな相手とは、もちろん恋愛
対象だけを差すのではない。
「評価的傾向」の強い人は、自分が興味を持ち、面白く感じるもの
に対して高いモチベーションを維持する。反対に、興味がないこと、
面白いと感じられないものに対しては、あまり関心を示さない。
【4】
多くの成功本は、こうしたパーソナリティの違いに気づかず、一律
に「目標を明確に設定せよ」「ポジティブ思考せよ」などと論じる。
読者も、自分の傾向を考えずに読むため、行動が起こせない。
読者は、人の成功パターンに乗ることで安心を覚えるが、表面的な
部分だけ見ていると、裏目に出ることもある。たとえば、成功本に
書かれるのは、著者が成功カーブに乗って急上昇している時の話だ。
その前段階にある「試練の時代」はあまり詳しく触れられない。だ
が、成功者が下積み時代に何を考え、行動していたのかを参考にす
ることは、本来とても重要なことなのだ。
成功本には、成功のエッセンスが詰まっている。だが、それを生か
すも殺すも、読み方次第だ。読者も自分のパーソナリティの傾向を
知り、それなりの準備をしなければならないのだ。
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■■選書コメント
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本書は、書店に溢れる成功本を読んでも、それを実践に移せない読
者のために、どこに問題があるのかを明らかにし、どうすれば行動
に移せるかを紹介する、たいへんユニークな本です。
著者は、教育者、出版社の経営者、カウンセラー&コーチという、
本書を書くには、これ以上ないという経歴の持ち主です。その経験
を生かし、概念的でなく、実証的な内容になっています。
特にユニークなのは、膨大な成功本に目を通した上で、それらに書
かれている共通項を選び出し、一つ一つを検証していく点です。そ
れぞれの問題を明らかにした上で、対処法を考えていきます。
そのため、成功本のダイジェストにもなっています。本書を読むだ
けで、多くの成功本に書いてあることのエッセンスを、おおむね押
さえることが出来てしまいます。
また、本書は、読者のタイプを大きく4つに分類し、ノウハウをそ
のまま実践できる人と、そうでない人を明らかにした上で、対処法
を考えます。
これまで成功本を読んでも、どうもしっくりこなかったという人に
は、心強い道しるべになるはずです。新書なので、スラスラ読めま
すし、身近なテーマなので、学びも得やすいはずです。
「これまで嫌というほど成功本を読んできたのに、未だにちっとも
成功できない!」とお考えの方は、読めばすっきりするはずです。
少なくとも、自分の読書を見直す良い機会になるはずです。
「成功本を読むのが大好き」という人、「いくら読んでも、実践に
移せない」とお嘆きの人に「ビジネス書の歩き方」として、読んで
いただきたいと思います。
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