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2008/09/26
ジョブズはなぜ天才集団を作れたか

ジョブズはなぜ天才集団を作れたか

カッコいい会社の、かっこ良さの秘密。アップル・コンピュータ社の共同創業者スティーブ・ジョブズは、1983年1月、同社の基幹となることを期待されたコンピュータ、「LISA」を披露した。それは、机の上に乗る大きさであり、商業ベースで初めて画像ユーザー・インターフェイス機能を備えるなど、当時としては画期的なコンピュータだった。


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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数64,129部>━
■今週の選書
■ジョブズはなぜ天才集団を作れたか
■ジェフリー・L・クルークシャンク/講談社
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★本書の詳細、お買い求めは、→ http://k.d.combzmail.jp/t/7fof/70kciuy0dd4jwht90x
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■■選書サマリー  
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カッコいい会社の、かっこ良さの秘密

【1】

アップル・コンピュータ社の共同創業者スティーブ・ジョブズは、
1983年1月、同社の基幹となることを期待されたコンピュータ、
「LISA」を披露した。

それは、机の上に乗る大きさであり、商業ベースで初めて画像ユー
ザー・インターフェイス機能を備えるなど、当時としては画期的な
コンピュータだった。

しかし、問題もあった。独立系ソフト会社のほとんどがLISA用のソ
フトを開発しておらず、他のコンピュータとの互換性もなかったの
だ。さらに深刻なのは、価格がおよそ1万ドルと高額だったことだ。

LISAは結局、売上不振のため、1年半で販売ストップとなってし
まった。売上総数は、8万台とも、6万台とも言われているが、
いずれにしろぱっとしない数字だ。

そのころ、IBM社の「IBM5150PC」は、面白味こそないが、機能
的で、価格も3000ドルとLISAの3分の1以下の安さで売られていた。
これは、最初の1ヵ月で25万台売れた。

【2】

時は進み、2001年10月、紆余曲折を経てアップル社のCEOとなっ
たスティーブ・ジョブズは、再び画期的な製品を発表した。片手に
収まる小型デジタル式音楽プレーヤー、iポッドだ。

当時の携帯式デジタル音響装置の分野は、ソニーのウォークマンに
代表される小型CDプレーヤーが圧倒的シェアを持ち、同市場への
新規参入の余地はないと考えられていた。

しかし、iポッドは、コンパクトなデザインや簡素な機能、操作性
などが支持され、爆発的に売れた。さらに、ウィンドウズ対応製品
も発売されると、伸びは加速した。

また、ネット上から楽曲を合法的に1曲99セントでダウンロードで
きるシステムを開発したことで、楽曲とiポッドの販売が相乗的に
伸びる好循環が生まれた。

これを受け、アップル社の株価は急上昇した。03年に16ドルまで下
がっていた株価は、04年6月までに倍増、さらに11月までの5ヵ月
間で底値から4倍増を上回る68ドル半を達成した。

これに伴って、コンピュータ部門の売上げも伸びた。05年の総売上
は、前年比70%増となり、純益は530%の増大となった。

【3】

83年と01年のアップル社は、会社名は同じだし、経営の中心にいる
のもジョブズだ。経営理念もあまり変わっていない。だが、LISAと
iポッドの業績は、天と地ほども違う。

確かに、急激に変化するデジタル業界において、20年もの長い歳月
を経ているのだ。どんな会社も、共通点など見当たらなくなって当
然かもしれない。

しかし、それは間違った考え方だ。今日のアップル社の大成功は、
同社が過去の経験から学んで変化した結果なのだ。LISAの失敗があ
るからこそ、今のiポッドがあるのだ。

あるビジネス誌は「最も自給自足的な会社だったアップル社さえ変
化した。メモリーチップの原料の砂の品質までコントロールしよう
としていたのに、今では他社と平気で協力している」と言っている。

【4】

どれほど頭が良くても、一人で全部やることなどできない。多くの
天才が、多くの時間と資金を技術革新に投入しているのだ。市場の
変化は早く、テクノロジーはどんどん複雑化している。

そんな中で成功するには、たとえ天才でも、他人と手を組まないわ
けにはいかないのだ。アップル社が苦労して身につけた知恵は、こ
のように要約できる。

他にも、アップル社は試行錯誤の中から様々なことを学んだ。もち
ろん、変化しなかったものもある。たとえば「直感に訴える分かり
やすさ」「一貫性」「信頼性」「使っていて楽しい」などだ。

一貫性と頑固さは、アップル社に良い結果も、損害をもたらした。
一貫性を追求することが難しいのは、それが単に一貫性を尊ぶ態度
に変質してしまうからだ。

たとえば「業界一のパソコン、マニアから愛されるパソコンを一貫
して作ること」は良いことだ。だからといって、パソコンにお金を
使いたくない、大多数の消費者を他社に与えるのは間違いだ。

このように、アップル社は、過去の失敗から、試行錯誤を経て学ん
できたのだ。それがiポッドの躍進につながっている。ここから得
られる教訓は、私たちに大きな示唆とヒントを与えてくれるのだ。
(つづく)

★本書の詳細、お買い求めは、→ http://k.d.combzmail.jp/t/7fof/70kcmuy0dd4jwht90x

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■■選書コメント
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本書は、アップル社の魔力の秘密を探る本です。同社は、iポッド
やiフォンで世界を席巻しています。創業者スティーヴ・ジョブズ
の発表は、いつも世界中からの注目を集めます。

そんなアップルの歴史をひも解きながら、彼らの成功の要因を探っ
ります。会社の軌跡をあらゆる角度から分析し、経営に投資に、さ
らには起業に役立つ洞察と教訓を導き出していきます。

これまでにも、アップルを描いた本が、たくさん出版されてきまし
た。しかし、それらの類書の論調は、結局「ジョブズはすごい」と
いう結論に落ち着いてきます。それでは役に立ちません。

本書は、そうした類書とは一線を画します。ジョブズ解任劇や、不
在時代にも触れ、後任のCEOや、他の従業員なども描くことで、会
社としてのアップルを浮き上がらせます。

本書は、アップル教信者による、手放しの絶賛をつづったものでは
ありません。アップルに対する愛情をにじませながらも、一企業と
してのアップルの姿を客観的に描いています。

そのため、会社としてのしたたかな一面もしっかり描写しています。
たとえば、いつもIBM、マイクロソフトなどを悪役に仕立て、自
らを白馬の騎士として売り込んできたことなどです。

なお、本書は350ページにもわたる、ハードカバーの分厚い本で、
読み応えがあります。ただし、難解な内容ではありませんので、気
軽に読み進めることができます。

また、ありがたいことに、章末にエッセンスが、教訓としてまとめ
られています。忙しい人は、そこだけ読んで、気になったところだ
け本文で補足するという読み方もできます。

IT企業従事者から、アップルファンはもちろん、経営者や幹部、
経営企画系の仕事をする社員から経営コンサルンタントまで、仕事
柄、経営に携わるすべての人にお勧めです。

★本書の詳細、お買い求めは、→ http://k.d.combzmail.jp/t/7fof/70kcuuy0dd4jwht90x

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

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