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2009/02/09
「依存症」の日本経済
依存だらけの日本経済。「依存」とは、辞書によると「他のものによりかかって成り立ち、あるいは生きること」だ。反対語は「自立」「自主」「独立」だ。また、医学上の用語に「依存症」がある。アルコールやギャンブルなど、特定の物質や行動がなくなると禁断症状を起こすほど身体的あるいは精神的に依存度合いが高まった状態のことだ。
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■今週の選書
■「依存症」の日本経済
■上野泰也/講談社
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■目次
・お知らせ
・選書サマリー
・選書コメント
・著者セミナー情報
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■■選書サマリー
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依存だらけの日本経済
【1】
「依存」とは、辞書によると「他のものによりかかって成り立ち、
あるいは生きること」だ。反対語は「自立」「自主」「独立」だ。
また、医学上の用語に「依存症」がある。アルコールやギャンブル
など、特定の物質や行動がなくなると禁断症状を起こすほど身体的
あるいは精神的に依存度合いが高まった状態のことだ。
日本経済をさまざまな角度から分析する際、何に「依存」している
のかを考える視点が重要だ。そうすることで「今の日本経済が抱え
る問題は何か」が浮き彫りになるからだ。
同時に、「危機的な世界経済の中で、日本経済をよりよくするには、
いったい何が必要なのか」を考えるヒントも自ずと浮かび上がって
くる。
【2】
日本の個人消費は、このところ変調ぶりが著しい。賃金の伸び悩み
や、原油高・食品高という「悪い物価上昇」により、消費者の姿勢
は生活防衛色を強めている。
そうした消費の悪化度合いを敏感に反映する数字として筆者が注視
するのが、百貨店売上高の内訳の一つ、婦人服売上高の増減だ。
特に「売上高全体よりも婦人服売上高の前年同月比マイナス幅のほ
うが大きい状態が続く場合、消費の状況がかなり厳しい」と見る。
百貨店で婦人服の売上が減少し始めたのは07年7月だ。以降08年
10月までマイナスが続いた。7月はサラリーマン世帯のボーナス時
期だ。このボーナスが、3年ぶりに減少したのだ。
7月は、レギュラーガソリンの小売価格が9ヵ月ぶりに140円台に
乗せ、それ以降高騰を続けた。各種食品の値上げ発表も同時並行的
に累積した。
つまり、07年7月は「悪い物価上昇」が加速していくスタート台に
なった月なのだ。こうした状況変化を察知して、主婦が緊縮姿勢を
強化し、自分のための婦人服向け「歳出」にまで手をつけたのだ。
婦人服の不振は、ショッピングセンターや海外高級ブランドにも波
及した。今後、個人消費が回復するかどうかは、百貨店での婦人服
売上がプラスに転じ、持続するかどうかが一つの目安になる。
【3】
バブル経済崩壊後、相次いで大型経済対策が実施された。これによ
り明らかになったのは、皮肉にも「公共事業の上積みという伝統的
な景気刺激策では日本経済を立て直せない」という事実だった。
このため、公共事業関係費が削られても、さほど問題視する意見は
聞かれなくなった。国全体の建設投資額は92年度をピークに右肩下
がりだ。07年度見込みは、ピークに比べ42%減少している。
もっとも、地方経済における「公共事業」あるいは「建設業」への
依存は根強い。建設投資額の減少率に比べると、建設業の就業者数
の減少率は小さく、淘汰が進むと失業率は6%になる可能性もある。
【4】
経済の世界には「ちょうどよい服の大きさ」という考え方がある。
ところが、現在の日本経済は、建設業のように身体に合わないダブ
ダブの服を着続けているのが実態だ。
表面的には消費者物価上昇率が高くなっている。だがこれは一時的
な現象で「本物のインフレ」でない。実際には、過剰供給体質のも
と、デフレ圧力ないしはデフレ体質が根強く存在しているのだ。
この状態から脱却するには、身体を大きくするか、衣服を小さくす
るかだ。しかし、二者択一でなく、身体を本来の姿に戻しつつ、衣
服を段階的に小さく仕立て直していくという対応が求められている。
これは、大変難しい作業だ。しかし、人口減による内需減少という
大きな流れが変わらない以上、避けて通ることのできない課題だ。
だが、建設会社の多くは中小企業だ。ゼネコンと違い、海外に出る
体力や技術力はない。政策的には、中小企業が自然淘汰されていく
前から、産業構造の転換を推進することが望ましい。
これは「言うは易く、行なうは難し」の典型だ。ただ、農業など他
分野に進出することで生き残りを図る建設業者も増えている。こう
した産業構造の転換に結びつく、経済全体にとって前向きな動きに
対してこそ、公的部門は積極的支援を行うことだ。
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■■選書コメント
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本書は、日本の経済の実情を知る上で参考にしたい本です。世界的
な経済危機の中にあって、日本の経済が抱える問題点や可能性を身
近な事例とエピソードから解説してくれます。
経済の先行きについては、多くの人が悲観的な見方をしています。
世界的な金融危機と景気悪化が、先行きを不透明にしているからで
す。加えて、人口減少、少子高齢化など、根源的な問題もあります。
そんな状況を乗り越えるには、現状を正しく把握することです。し
かし、経済誌や新聞を読んだだけでは「どうなっているのかよくわ
からない」というのが正直なところだと思います。
そんな、複雑な経済を、新進気鋭のエコノミストが、わかりやすく
種明かししてくれます。経済初心者でも、十分に楽しめる内容です。
本書の特徴は、世の中で起きている様々な現象を読み解きながら、
気がつけば日本経済全体が俯瞰できているところです。
難しいマクロ統計などはほとんどなく、身近な事例やアンケート調
査で解説してくれます。
全部で10の切り口から考察が加えられます。お父さんの交際費依存
から「経済全般」を考えたり、子どもの学習塾依存から「教育」を
考えたりするなど、しっかりバランスも考慮されています。
さらに「人口減少・少子高齢化」が進む日本の将来を考えるケース
スタディーとして、秋田県が取り上げられています。これを「10年
先の日本」のモデルとして解説してくれます。
経済の基本を学びたいという人、日本経済の本当のところが知りた
い、考えたいという人はもちろん、自分の進むべき方向を考える材
料がほしいという人にも、お勧めしたい本です。
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