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2009/03/11
現場力復権
日本の強さは、やっぱり現場だった。米国発の資本の論理や株主資本主義といった考え方が日本企業にも導入され、かつてと比較にならないほど株主を意識した経営が求められている。ただ、顧客価値を生み出すのはあくまで現場だ。現場起点の経営をしてきたからこそ、トヨタやホンダ、ソニーなど一流のグローバル企業が誕生したのだ。
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■■ ビジネス選書&サマリー
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■今週の選書
■現場力復権
■遠藤功/東洋経済新報社
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■■選書サマリー
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日本の強さは、やっぱり現場だった
【1】
米国発の資本の論理や株主資本主義といった考え方が日本企業にも
導入され、かつてと比較にならないほど株主を意識した経営が求め
られている。
ただ、顧客価値を生み出すのはあくまで現場だ。現場起点の経営を
してきたからこそ、トヨタやホンダ、ソニーなど一流のグローバル
企業が誕生したのだ。
株主資本主義と現場主義は、決して相対立する概念ではない。価値
創造主体である現場を重視し、現場の力を高めることは、株主を重
視することにもつながるからだ。
米国に端を発する今回の金融危機は、こうした現場起点の経営の重
要性を再確認するようになった。
【2】
日本企業がもつ「現場力」は独自の優位性の源泉であり「日本の宝」
だ。日本企業の現場ほど自ら知恵やアイデアを生み出し、創意工夫
しながらオペレーションを進化させている例は極めて稀だ。
このような日本の現場が持つ高い当事者意識、チームワーク、問題
解決能力は、単なる日本人の特性ではなく、経営における競争上の
優位性として捉えるべきだ。
しかし、屋台骨であるべきこの現場力に、企業間の「格差」が生じ
ている。トヨタやコマツ、花王など日本を代表する企業では、経営
と現場が一体となった現場力の強化に継続的に取り組んでいる。
製造業だけでなく、流通業やサービス業においても、現場力を起点
に競争力を高めている企業は存在する。一方で、そうした地道な努
力を怠り、長年培ってきた現場力を喪失した企業も少なくない。
【3】
日本企業の競争力は、現場を単なる「コスト」として見てこなかっ
たことから生まれている。一見すると、人や設備は「コストのかた
まり」だ。だが、人には知恵がある。アイデアは人から生まれる。
現場が生み出す知恵やアイデアによってコストダウンが図られ、品
質が高まり、サービスが改善されるのだ。現場は「価値創造の起点」
と認識することで、日本企業の競争力は生まれてきたのだ。
現場を「バリューセンター」として位置づければ、現場には強烈な
「当事者意識」が芽生える。「結果を出すのは自分たちだ」という
強い自負や誇りが、現場発の知恵やアイデア、創意工夫につながる。
しかし「言われたことしかやらない」「決められたことしかやらな
い」という、極めて陳腐な現場が増えた。当事者意識低下の要因は
さまざまだ。
たとえば、非正社員の増加、協力会社やグループ会社などへの過度
の分業、外注による現業部門のブラックボックス化など。これによ
り、現場は「分断」され、一体化とは程遠い状態となってしまった。
【4】
高コスト体質に苦しんでいた日本企業の変革において、よく使われ
るキーワードが「固定費を変動費化せよ」という言葉だ。人や設備
を大量に抱え込めば、総コストに占める固定費部分が増大する。
そのため、従業員を固定費としての正社員でなく、契約社員やパー
ト・アルバイトという変動費に変えることで、経営としての柔軟性
を担保しようという考え方だ。
しかし、この考え方は、こと人に関しては必ずしもプラスの側面ば
かりでない。「変動費化」の追求によって根幹の競争力にマイナス
の影響を及ぼしているのだ。
人は、たとえ100のコストがかかっても、120の価値を生み出すこ
とができる存在だ。それを生み出すことこそが、本来は経営の知恵
なのだ。
もちろん、固定費をやみくもに膨らませ、高コスト体質に戻せと言
うのではない。ただ「変動費化」という甘い言葉が、現場の品質を
毀損している現実を直視するべきだ。
経営の目的は、変動比率を高めることではない。付加価値を高める
ことだ。現場の競争力を高めることで、それは可能なのだ。
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■■選書コメント
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ロングセラー『現場力を鍛える』『見える化』『ねばちっこい経営』
の「現場力三部作」に続く書籍です。中でも本書は、著者のこれま
での書籍の中で最も具体的かつ実践的な書籍です。
ご存じ「現場力」は、一世を風靡し、ビジネス界のキーワードにな
りました。しかし、実際には導入したものの「計画倒れ」「掛け声
だけ」で終わったケースもあるようです。
そこで、本書では、たくさんの事例を紹介しながら、現場力の実践
に失敗する原因を示し、どうすれば落とし穴を避けながら、現場力
の強化を実践できるかについて明らかにしてくれます。
世界が金融危機に陥り「実体経済」回帰の動きが進んでいます。日
本の現場力にも注目が集まる可能性があります。その現場力を復活
させ、危機を乗り切る秘策を紹介するのが本書です。
現場の強さは、日本が世界に誇ってきたことですが、時代は変わり、
前提条件が変わりました。結果、現場の信頼が揺らぎつつあります。
マスコミで報じられる安全性の軽視や不祥事などに表れています。
そんな中、旧来のやり方を、そのまま押し通そうとしてもうまくい
きません。まずは、現場に潜む問題点を明らかにすることです。そ
の上で対策を講じることが現場力の復権に必要なプロセスです。
特に、著者が問題視するのは「しつけ」と「くせ」の不徹底です。
その前提条件を取り戻すことで、現場は必ず蘇ります。本書には、
その取り戻し方も解説してあります。
現場の底力で組織を変えたいと考える経営トップはもちろん、現場
発信で組織を動かしたい現場の人まで、製造業にとどまらず、あら
ゆる職種のビジネスパーソンにお勧めします。
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