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2009/06/26
雇用の常識「本当に見えるウソ」

雇用の常識「本当に見えるウソ」

雇用の常識は、本当か?雇用に関して、あまりにも無責任な風評が世間に流れている。何の根拠もない無責任な風評が、半ば常識と化してしまっている。そのため、本当に大切なことがわからなくなってしまっている。


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■今週の選書
■雇用の常識「本当に見えるウソ」
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雇用の常識は、本当か?

【1】

雇用に関して、あまりにも無責任な風評が世間に流れている。何の
根拠もない無責任な風評が、半ば常識と化してしまっている。その
ため、本当に大切なことがわからなくなってしまっている。

例えば「終身雇用は崩壊した」と言われている。しかし、この噂は
本当なのか?その前に、そもそも終身雇用という仕組みは日本の企
業に古くから存在していたのか?

終身雇用という言葉はアベグレンの『日本の経営』が初出だという
のが定説だ。しかしこの邦題は翻訳者の意訳にすぎない。原著は、
『The Japanese Factory』つまり日本の工場だ。

しかも、アベグレンは典型的な大資本の大工場しか調査していない。
日本社会でのほんの一部での慣習を『日本の経営』と謳ってしまっ
たのだ。

【2】

では「長期連続型社会」は、よく言われるように、昨今急激に変化
したのだろうか?実は、公的データは、どれも雇用の長期化を示し
ている。

厚生労働省の調査では、90年から2004年の14年の間に、男性の40
代正社員に占める勤続15年以上の割合は、66・3%から62・7%に
微減したに過ぎない。50代で勤続25年以上は8%以上増えている。

一方、女性に関しても、厚生労働省のデータからは、雇用の長期化
が読み取れる。これらのデータからは、長期雇用慣行は、強化こそ
すれ、崩壊などまったくしていないことがわかる。

【3】

「転職が一般化した」と言われているが、その噂は本当だろうか?
総務省「労働力調査」によると、転職する人は女性が1990年5・4%
から7・8%に、男性は3・6%から5・2%と上昇傾向にある。

しかし、それは比較開始年の90年が異常に低くく、直近の2005年
が高い数字だからだ。少し基準年をずらせば大差ない数字になる。
転職率は、過去と比べて1~2ポイント程度増えただけなのだ。

では、雇用形態別の転職率はどうか?パートアルバイトは異常に低
い数値の90年を除くと、男女とも上下2ポイント以内の増減だ。

正社員も男女とも変わらない。年に30人に1人しか転職していない。
雇用形態別の転職率では上昇傾向は見られないのだ。

全体で1~2ポイント上昇したのは、非正社員や女性社員の増加で、
男性正社員の比率が低下したからだ。

【4】

「転職社会の浸透」という世評が浸透し、電車の車内広告やインタ
ーネットのバナー広告で、求人広告会社や転職エージェントが盛ん
に「転職で年収アップ」と宣伝している。

では本当に「転職は収入の面で不利にはならない」のか?平成18
年版「労働経済白書」によると2000年代でも、転職者の入職時賃金
は同年齢の勤続者の上限と下限におさまっていることがわかる。

これをもって「年齢にかかわらず、転職は収入に有利にも不利にも
働かない」という解説がなされる。しかし、この解説は的外れだ。

まず、転職者を受け入れる会社は経営状態が良いのが普通だ。だか
ら、その会社の賃金自体が、平均賃金レンジから見て上位に位置す
る可能性が高い。

また、転職者の取り合いで条件合戦が起こる。だから、最初は賃金
が高く設定されている場合が多いのだ。以上から、転職者の入職時
点ではなく、入社して時を経た時の収入を比べるのが適切だ。

この手法でリクルートエージェントがホワイトカラーに行った調査
がある。これによると、ほぼどの年齢においても、過去に転職経験
のない人が最高の収入になっている。

そして、転職を繰り返すにつれて、年収がダウンすることが見て取
れる。転職回数と年収は、きれいに逆比例しているのだ。

生涯賃金を考えるなら転職はあまりすべきではない。「せいぜい二
回程度までにとどめておくべき」というのが、正解なのだ。
 
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本書は、誰もが大きな関心を持つテーマ、雇用に関連する本です。
メディアや有識者のコメントで常識になっている雇用に関する理屈
や考え方に、ズバリ斬り込みます。

電車の中吊りや、テレビや新聞の報道見ていると、サラリーマンを
取り巻く環境はトンデモないことになっています。終身雇用は崩壊
し、明日にでも全員が路頭に迷いそうな勢いです。

こうした主張を、学者や専門家など、権威のある人たちがデータを
駆使して裏付けています。私たちは、言われるままに信じています。
しかし、本当に鵜呑みにしていいのでしょか?

実際、街に失業者が溢れているわけではありません。終身雇用が崩
壊したと言っても、世のサラリーマンが、バンバン転職しているよ
うにも見えません。

本書は、誰にとっても身近で、だからこそ関心のある雇用の問題で
す。労働関連の本というと、統計や論説ばかりの学術論文風の堅苦
しい内容を想像しがちです。

しかし、本書に関しては、まったく心配無用です。普通のビジネス
パーソンが普通に理解できるように書かれています。統計も、必要
最低限のものだけがわかりやすく紹介されています

著者海老沢嗣生さんは、転職エージェント漫画『エンゼルバンク』
の海老沢康生のモデルになった方です。漫画のモデルになるくらい
ですから、そのわかりやすさは折り紙つきです。

それでも、雇用問題の核心をズバリと突きます。日ごろ「おかしい」
とモヤモヤしていたことが、スッキリします。

雇用問題に関心のある方、雇用の本当が知りたい方はもちろん、現
役で働くすべてのビジネスパーソンにお勧めします。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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