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2009/08/28
逆説の仕事術

良薬口に苦し。耳ざわりのよくない成功法則。「頑張っているのに、思いどおりの成果が出ない」そんなふうに悩んでいるなら、それはビジネスについて誤った 「常識」を信じ込んでいるからかも知れない。最近は「今のままでいい」「誰でもできる！」「簡単にできる！」といった耳ざわりのいい話、快適な話ばかりが 支持されている。

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良薬口に苦し。耳ざわりのよくない成功法則

【１】

「頑張っているのに、思いどおりの成果が出ない」そんなふうに悩
んでいるなら、それはビジネスについて誤った「常識」を信じ込ん
でいるからかも知れない。

最近は「今のままでいい」「誰でもできる！」「簡単にできる！」
といった耳ざわりのいい話、快適な話ばかりが支持されている。書
籍や雑誌のタイトルもそんなものばかりだ。

そして、耳の痛い話は影を潜めている。だが、それが今の厳しい実
情を招いている。その他大勢から抜け出し、トップ３％を目指すな
ら、一握りの成功者だけが知る、新「常識」を実践すべきだ。

それは、一般に信じられている「常識」とは全く異なるものだ。む
しろ対極にあるものも多い。耳触りのいいものばかりでなく、抵抗
を感じるものも少なくないはずだ。

だが、だからこそ成果が出るのだ。ここでは、成功者だけが知り、
実践している具体的な方法を「逆説の仕事術」と呼び、紹介してい
きたい。

【２】

まず「虎の威を借る狐になれ」ということだ。起業当初、私の会社
は中目黒の古びたビルの会場を借りて、参加費3000円のセミナーに
30人ぐらいを集めるビジネスをしていた。

しかし、それすら苦労の連続であった。ところが、３ヶ月後には、
大ホールで1200人を集めたセミナーを開催することができた。

それはセミナーの講師がジェームス・スキナー氏だったからだ。彼
は、スティーブン・コヴィー氏の『７つの習慣』を日本に紹介した
人物で、ベストセラー『成功の9ステップ』の著者でもある。

「有名人のセミナーなのだから当たり前だ」と思うかもしれない。
だが、多くの人は、それが分かっていながら、人の力を頼らず「自
分の」ビジネスを始めようとしてしまう。

消費者は、無名の商品の魅力をわかってくれるほど「賢く」ない。
私たちの場合、すでに有名人であるジェームス・スキナー氏のセミ
ナーだったからこそ、それだけたくさんの人が集まったのだ。

【３】

最初は自分たちの商品のこだわりを捨てることだ。そして、すでに
ブランドや信頼感を市場で確立した商品の「虎の威を借りる」こと
だ。そのほうが、うまくいくのだ。

消費者は、自分が抱いている「幻想」に従ってモノの価値を判断す
るものだ。たとえば、ホームレスからマンガ誌や週刊誌を買っても、
手作り弁当は買わないはずだ。

また、どこの誰かもわからない人物が汚いジーンスを「ヴィンテー
ジだ」と言って売っても信用されないが、ＳＭＡＰの木村拓哉が売
るなら客が殺到するかもしれない。

どこの誰かもわからない人物が、なじみのない商品を売っても売れ
ないが、なじみのある商品なら、誰が売っても売れる。または、よ
く知っている人物が売るなら、なじみのない商品もよく売れるのだ。

【４】

では、自分の暖簾や商品は、いつまで経っても売れないのかという
とそんなことは決してない。やり方は、ふたつある。まず、市場の
中でブランドが確立された人の商品を売ることだ。

その上で、自分なりの「ひねり」を加えて顧客に提供していくのだ。
こうすれば、もともとはブランドに向けられていた信頼を、あなた
に向けることができる。

たとえば「イトーヨーカドー」と「イオン」は、まずナショナルブ
ランドの商品を提供する小売店としてブランドを作り上げた。その
上で、プライベートブランド商品に力を入れたから、成功したのだ。

最初からプライベートブランドを売ろうとしても、品揃えも足りな
いし、品質の上でも疑問をつけられてしまい、今のように成功でき
たかは分からない。

どうしても最初から自分の商品を売りたいなら、売ってくれる大企
業やプロデューサーなどの虎の威を借りることだ。いくら素晴らし
い商品でも、見知らぬあなたが売ったのでは、売れないものなのだ。
 
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■■選書コメント
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本書は、セミナーのポータルサイト「セミナーズ」を立ち上げ、短
期間に急成長を遂げたベンチャー企業の幹部が、仕事の成功法則を
説いた本です。

タイトルに「仕事術」とありますが、時間術や話術などを書いたも
のではありません。ステップアップ、プロデュース、プロモーショ
ンといった、もっと本質的なノウハウを紹介するものです。

仕事の世界では、真実とは反対のことが信じられていることが少な
くありません。常識の逆バリをしたほうがうまくいくことはよくあ
るのです。それがタイトルに「逆説」とある理由です。

最近のビジネス所にありがちな、行間を空けまくった、スカスカし
たものではありません。約300ページの紙面に、20の法則が、図版
など添えられず、ぎっしり詰まっています。

ぎっしり感の秘密の一つが、自社の体験談が散りばめられているこ
とです。そこで、起業から業界最大の集客を誇る会社に成長する著
者の実体験が余すところなく紹介されています。

不況と騒がれています。実際、厳しい状態です。しかし、著者の会
社のように、お客さんを集めているところは、集めています。他が
弱っているだけに、好況時より一層元気なくらいです。

その秘密を本書では明らかにしています。欧米の洗練されたノウハ
ウを自社で実践して、自分流にアレンジしたことで新しい、日本流
のノウハウに昇華させているところが読みどころです。

さらに、自社にあてはめるためのエクササイズまでついています。
同業者はもちろん、あらゆる業種、あらゆる職種の起業家から中小
企業の経営者、ビジネスパーソン全般に大いに役に立つはずです。
 
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