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2009/12/18
プレゼントの経済学

プレゼントの経済学

クリスマスプレゼントは必要ですか?クリスマスシーズンになると、人々はプレゼントを贈るために、毎年、多額の支出をする。ショッピングモールには、服や アクセサリー、本、CDなどが並び、ものすごい勢いで売れていく。アメリカ人は、クリスマスプレゼントに年間600~900億ドルも使っている。これは、 世界中で起きている現象だ。2006年の世界のクリスマス支出の世界全体の総計は、なんと1450億ドルにものぼる。


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クリスマスプレゼントは必要ですか?

【1】

クリスマスシーズンになると、人々はプレゼントを贈るために、毎
年、多額の支出をする。ショッピングモールには、服やアクセサリ
ー、本、CDなどが並び、ものすごい勢いで売れていく。

アメリカ人は、クリスマスプレゼントに年間600~900億ドルも使っ
ている。これは、世界中で起きている現象だ。2006年の世界のクリ
スマス支出の世界全体の総計は、なんと1450億ドルにものぼる。

アジアの国々は比較的控えめだが、日本は別格だ。キリスト教徒が
人口の1%に満たない国にも関わらず、商業的なイベントとして、
盛り上がり、大いにクリスマスプレゼントを買っている。

これほど盛んなクリスマスプレゼントだが、もらった相手は、プレ
ゼントの価格ほど満足していない。調べたところ、プレゼントは、
価格の8割以下の満足度しか生み出していないことがわかった。

【2】

これを考えると、毎年12月には、世界中で250億ドル以上の無駄遣
いがされていると考えてよい。これだけの無駄遣いに誰も注目しな
いのはおかしな話だ。

もし、国の政策が、これだけ大きな赤字を生んだら、国民は憤慨す
るはずだ。「無駄遣いはやめろ」と本気で抗議するはずだ。世の中
のために役立つ、他の使い道を考えたほうがよほどましだ。

クリスマスプレゼントの満足度が低い理由の一つは、最終的に消費
する人がプレゼントを選んでいないことだ。だから、受け取る人の
好みと一致していないのだ。

普段、私たちが買い物をするときは、自分のためにじっくり検討し、
たくさんの商品を見た上で、お金を払う価値があるものを選ぶ。つ
まり、使いたいものを自分で選ぶのだ。

ところが、プレゼントに関しては、相手が何を欲しがっているのか、
見当もつかないまま選ぶ。それどころか、誰も欲しがらないのに、
プレゼントのためだけに作られた商品さえある。

これでは、受け取り手が満足いく商品を選んでプレゼントできる可
能性は極めて低くなる。こうして、世界中で、使う人がたいして欲
しくないものが、大量にお金を出して、買われていくのだ。

【3】

私たちが買い物をするときは、商品につけられた価格以上の価値が
あるものを選ぼうとするのが普通だ。ところがプレゼントとなると、
話は違ってくる。

プレゼントを買う人が「価値がある」と思っても、もらった相手が
同じように価値を感じる保証はどこにもない。最悪の場合、何の価
値も感じない可能性もある。

例えば、あなたが50ドルのセーターを贈っても、もらった人が25
ドルの価値しかないと感じたら、25ドル分の社会全体の財産を減ら
したことになってしまう。

それでも、もらった人は笑顔で喜ぶはずだ。こうして、いつまで経
っても、相手は見当違いのプレゼントをしていることに気づずムダ
が繰り返されるのだ。

【4】

「プレゼントは価値を破壊している」というと、「いや、プレゼン
トには感情的な価値がある。それを含めれば、価格以上の価値があ
るはずだ」と反論する人がいる。

しかし、その価値は、プレゼントが本当に欲しい物だった場合と比
較して考えるべきだ。たとえば、あなたが贈った50ドルのセーター
が、相手が本当に欲しいと思っていたセーターだとする。

もらった人が、その喜びに50ドルの価値を感じたら、あなたは50
ドルのセーターに、喜びという50ドル、つまり100ドル以上のプレ
ゼントをしたことになる。

反対に、相手がいらないものをプレゼントすれば、価値のないもの
に、あなたの気持ちが上乗せされただけだ。商品本来の価値を損ね
ていることに変わりはないのだ。

このように、プレゼントを買うことは、価値を破壊することが多い。
これを考えると、結局、どんなに心のこもったプレゼントも、現金
をあげることには、かなわないのだ。

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■■選書コメント
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本書は、経済学者が、クリスマスプレゼントが社会の損失をもたら
していることを嘆き、それを社会の幸せにつなげようとする画期的
な本です。

クリスマスプレゼントに代表される贈り物文化を、「経済的な価値
を破壊して、膨大な社会的コストを生む」と、切り捨てます。その
無駄がいかに大きいものかを、経済学者らしく数字で示します。

具体的には、もらった人の満足度を金額に換算し、プレゼントがい
かにそれを減少させるかを数字で示します。その上で、プレゼント
を慈善活動に結びつけるという画期的な解決策につなげます。

アメリカ人にとって、クリスマスは特別です。家族や親せきが年に
一度、集う場です。だからこそ、小説や映画でも、クリスマスはた
くさん描かれてきました。

そのクリスマスのメインイベントである、プレゼントを「無駄」と
切り込んだことで、ずいぶん非難されたようです。しかし、著者の
真意は、形骸化したクリスマスの無駄の指摘です。

アメリカの話ではありますが、日本人にもなじみ深いクリスマスで
すから、面白く読むことができます。年末年始のにぎやかさは、日
本も同じですから、そのまま当てはめて読めます。

事実、著者も、キリスト教国でもない、アジアの小国日本が、クリ
スマスになるとプレゼントとケーキを買い、第九を歌う点を興味深
く指摘しています。

経済学の本を読みたいが、堅苦しい本は嫌だという方、この時期、
当たり前になった年末年始のイベントを、アカデミックな視点から
分析してみたい人などにお勧めします。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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