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2010/04/23
未来のスケッチ

未来のスケッチ

スケッチすれば夢が叶う。
旭山動物園は、北海道旭川市にある日本最北の小さな市立動物園だ。正職員は約20人。企業でいえば中堅中小クラス。大都市圏に比べ、商圏も小さい。動物園を経営体として見た場合、旭山動物園が経営環境や市場性の面で圧倒的に不利な環境にあることは否めない。全国的な動物園離れや、94年に発生したエキノコックス症の風評被害で来園者が激減し、廃園の危機が訪れたこともあった。96年には来園者数が過去最低の26万人まで落ち込んだ。だが、彼らは奇跡的な再生を果たした。


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スケッチすれば夢が叶う

【1】

旭山動物園は、北海道旭川市にある日本最北の小さな市立動物園だ。
正職員は約20人。企業でいえば中堅中小クラス。大都市圏に比べ、
商圏も小さい。

動物園を経営体として見た場合、旭山動物園が経営環境や市場性の
面で圧倒的に不利な環境にあることは否めない。

全国的な動物園離れや、94年に発生したエキノコックス症の風評被
害で来園者が激減し、廃園の危機が訪れたこともあった。96年には
来園者数が過去最低の26万人まで落ち込んだ。

だが、彼らは奇跡的な再生を果たした。「伝えるのは命の輝き」と
いう理念を体現した個性的な展示施設が話題を呼び、06年には年
300万人という驚異的な記録を達成した。

もちろん、旭山動物園の再生は「奇跡」ではない。なるべくしてな
しとげられた必然の結果だ。彼らのあゆみは、活力を失いかけてい
る日本や日本企業の新たなお手本になるはずだ。

【2】

旭山動物園の再生を語る上で欠かせないのが「14枚のスケッチ」だ。
今から20年以上も前に、飼育係員たちが理想の動物園像について自
分の思いやアイデアを出し合い、イラストにまとめたものだ。

きっかけは、飼育係員一人ひとりが動物に抱く強烈な思いだ。「自
分が担当している動物は、ここがすごい。この魅力がお客さんにも
っと伝わるといいのに」と飼育係員たちが語り合った。

その姿を見て、当時の園長が、アイデアをまとめようと提案。終業
後に集まり、アイデア出しの作業が始まった。いわゆるブレインス
トーミングを、彼らは自然にはじめたのだ。

現在、来園者に大人気の「もうじゅう館」や「あざらし館」も、ス
ケッチに描かれた原型を具体化した展示施設だ。旭山動物園の再生
は「14枚のスケッチ」から始まったといっても過言ではないのだ。

【3】

注目したいのは「14枚のスケッチ」が誕生した89年は、旭山動物
園にとって冬の時代の真っ只中だったという点だ。苦しい時に夢を
語ることは、なかなかできることではない。

一般的に自社を取り巻く環境が悪化すると、まず口をついて出てく
るのは愚痴であり、諦めであり、後ろ向きの発想だ。だが、後ろ向
きの言葉だけでは現場のモチベーションはずるずる低下していく。

厳しい環境にある時こそ、未来を志向するための「旗」が必要だ。
大変な時だからこそ夢を語り、理想を掲げるのだ。そんなものは絵
空事だと考える人もいるはずだ。

だが、最初は絵空事でも構わない。なぜなら、まず夢を思い描かな
ければ、その実現もないのだ。

【4】

「14枚のスケッチ」が卓越しているのは、思いを語るだけでなく、
「スケッチ」という目に見える形に落とし込み、具象化した点だ。

人の思いは時とともに変容する。思いが熟成されて深まることもあ
るが、たいていは時間の経過とともに薄れていくものだ。思いを形
に変えることで、いつでもそこに立ち返ることが可能になるのだ。

「14枚のスケッチ」の中の1枚、「こども牧場」の実現には、約9
年を要している。思いを抱き続けられたのは「スケッチ」という目
に見える形がいつもそばにあったからだ。

「14枚のスケッチ」にはまた、旭山動物園が開園以来大切にしてき
た独自の「信念」という共通の「軸」がある。スケッチは飼育係員
それぞれの思いを具象化したものだが、バラバラではない。

動物を見世物のように扱うのでなく、彼らが本来持っている魅力を
ありのままに伝えること、それが旭山動物園で代々受け継がれてき
た「信念」だ。それを飼育員全員が理解、共感、実践しているのだ。

どんなに立派な「信念」を掲げても、信じているのが経営トップだ
けでは組織を再生することはできない。現場の一人ひとりが「信念」
に共感し、実践してこそ、本当の競争力を得ることができるのだ。

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■■選書コメント
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本書は、あの有名な動物園「旭山動物園」の成功要因を、経営の視
点から探る本です。「旭山動物園」については、テレビでも取り上
げられ、映画にもなりましたので、ご存じの方が大半だと思います。

その「旭山動物園」は、来場者の伸びや「行動展示」のユニークさ
ばかりで語られがちです。しかし、それだけでは、経営体としての
素晴らしさを見落としてしまいます。

彼らが経営体としてどんな風にすごいのか、それを冷静に分析する
のが本書です。著者は、ベストセラー『見える化』『現場力を鍛え
る』などで知られる遠藤功さんです。

どん底から、様々な知恵と工夫で来場者を十倍以上に伸ばし、見事
再生した動物園のあゆみは、すっかり元気を失った日本企業の処方
箋になるはずです。

なお、本書では、彼らのユニークな取り組みをいろいろと取り上げ
ながら、ビジョン、意識、戦略、現場、人材、顧客、変革といった
切り口から解説されていきます。

経営の世界ではお馴染みの言葉ばかりですが、旭山動物園は、期せ
ずしてこれらを理想的な形で、すべて満たしているところが魅力的
です。

もちろん、彼らの手法だけを真似しただけでは、効果はありません。
手法を生み出した思想や、背景を理解しなければ効果がありません。
本書には、そのあたりが書かれています。

経営者、マネージャーなど組織をまとめる立場にある方で、経営の
ヒントを模索中の方は必読です。また「最近、仕事への情熱が持て
ない」という方は、読めば、きっと熱い思いが蘇るはずです。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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