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2010/05/07
成熟市場の価値創造

成熟市場の価値創造

お線香より、癒しを売れ

日本香堂はお線香を売る会社だ。お線香に対する日本人のイメージは、明るいものではなかった。「抹香くさい」などという表現もあるくらいだ。私たちは、裏通りを歩いてきたのだ。お線香は「不幸の象徴」だったのだ。死別・葬儀・別れ・永遠の旅立ち。いずれも別離の悲しみと切っても切れない関係にある。お線香の香は、負の記憶を思い起こさせるものだったのだ。



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■今週の選書
■成熟市場の価値創造
■小仲正久/東洋経済新報社
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お線香より、癒しを売れ

【1】

日本香堂はお線香を売る会社だ。お線香に対する日本人のイメージ
は、明るいものではなかった。「抹香くさい」などという表現もあ
るくらいだ。私たちは、裏通りを歩いてきたのだ。

お線香は「不幸の象徴」だったのだ。死別・葬儀・別れ・永遠の旅
立ち。いずれも別離の悲しみと切っても切れない関係にある。お線
香の香は、負の記憶を思い起こさせるものだったのだ。

今日でこそ、お線香はデパート、スーパー、ドラッグストアなど普
通の店で売られているが、昔は店頭には並べられていなかった。注
文があると店の奥から出してくるのが通常だった。

それが店頭に並べられるようになったのは、我々が「青雲」のテレ
ビCM展開をしたころからだ。お線香が大手を振って店頭に並べら
れ出したのは、わずか四十数年前のことなのだ。

【2】

もともと、お線香には「陰の部分」だけでなく、ポジティブな側面
もある。1400年前、仏教が日本に伝えられた時「祈りの香」として
伝えられたことから、今日の発展の歴史を歩み始めた。

それが、平安王朝には貴族の生活文化になった。室町中期からは、
「華道」や「茶道」と同じように「香(こう)道」として形になり
はじめた。いわば、香(こう)は芸術の域に達したのだ。

文化である以上、それを狭く限定してはいけない。私たちが扱う商
品も、法要のためだけでなく、広範な使用シーンを想定するべきだ
という考えに至った。

そして、香(こう)がどんな場面で、どんな動機で求められるのか、
すなわち、我々がどんな使用シーンを提供することができるのか、
を徹底的に考え抜いたのだ。

【3】

使用シーンを提供するとは、お線香という「モノ」を売るのではな
く「心」を売るということだ。お客様に「心の満足」を買っていた
だくことだ。つまり「癒し」を提供するのだ。

現代社会は、心の豊かさとは逆の方向に歩んでいる。そんな中、一
日10分の「お線香タイム」あるいは「お香の時間」で、無機質な日
常生活に瞑想の時間、ムダな時間を持つことは重要だ。

これこそが、お線香あるいは「香の商品」による新たな価値を創造
し、生活のシーンとしてお客様に提供することだ。殺伐とした世の
中で香に触れてもらい、精神的満足を得ていただくのだ。

「心の豊かさ」という、お線香の新たな価値を得る場面では、必ず
しも仏壇はなくてもいい。日常生活の中に「香の商品」としてのお
線香を根付かせたいのだ。

【4】

「新しいもの」を創造する場合、二つの方向がある。一つは、文字
通り新しいものをつくり出すことだ。従来なかった新たな商品、サ
ービスを作ることだ。これが、一般的な意味でのイノベーションだ。

もう一つは「従来のものに新たな価値を付加する」あるいは「従来
のものを新たに組み合わせる」という方向だ。「モノ」自体は従来
と同じでも、新たな価値が加わればイノベーションになる。

たとえば、ユニクロは、ファッションにうるさい人も支持している。
それは、ユニクロの商品に価格以外の点でも、価値を見出している
からだ。

お線香も、外観は今までと同じでも、法要に欠かせないという従来
の価値に加え、「心の平穏や癒し」という新たな価値を提供するこ
とで、新たな顧客や市場が創造される。

企業経営には、新たな価値の創造が不可欠だ。そうでなければ、企
業は立ち行かない。

商品・サービスの価値について言えば「従来の商品・サービス」に
新たな価値を付加するだけでいい。要は、新たな価値を創造するこ
とが重要なのだ。

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■■選書コメント
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『毎日香』『青雲』など、誰もが知っているお線香のトップブラン
ド、日本香堂の会長が、成熟市場における新しい会社のあり方、経
営を語ります。

日本香堂は、老舗の家族企業というイメージですが、実は、すごい
会社です。ニッチな市場とはいえ、何と国内のシェア五割を押さえ
ています。経営としては、ゴールに到達した状態です。

そんな日本香堂を、かのピータードラッカーはファミリー経営の理
想形として、ダニエル・ベルは日本文化の伝道師として、高く評価
していました。

もちろん、本書は、単に日本香堂のあゆみと業績を紹介するだけの
PR本ではありません。日本香堂というエクセレントカンパニーを
題材に、日本企業の新しいあり方を模索する本です。

特に、ブランディング、グローバル化については、多くの紙面を割
いています。不幸の象徴だったお線香を、癒しの商品に仕上げた実
績は、ブランディングを学ぶ上で大いに参考になります。

また、グローバル化に関しても、かなり初期から生産拠点や販売拠
点を海外に作りグローバル化に成功しています。さらに、マーケテ
ィングの面でも成功しています。

こうした先駆的な会社のトップの洞察は、大いに参考になります。
他に、社員観、仕事観、教育観などにも独自の視点が披露されてお
り、こちらは、個人の働き方、キャリア形成を考えさせます。

経営者、会社幹部から、一般的なビジネスパーソンにいたるまで、
すべてのビジネスパーソンが、多くの学びを得ることができると思
います。お勧めです。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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