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2010/09/17
断らない人は、なぜか仕事がうまくいく

断らない人は、なぜか仕事がうまくいく

断らない人は、なぜか仕事がうまくいく
20~30代の人たちと話していると「僕、それはやらないと決めているんです」とか「私にはできません。そんなタイプじゃないので」と、最初から断る前提で物事を決め付けている人がいる。そういう人を見るたびに「もったいないなあ」と思う。特に断る理由がなくても、自分自身で枠を作ってしまい、そこから一歩も踏み出そうとしないのはもったいないことだ...


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■今週の選書
■断らない人は、なぜか仕事がうまくいく
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断らない人は、なぜか仕事がうまくいく

【1】

20~30代の人たちと話していると「僕、それはやらないと決めてい
るんです」とか「私にはできません。そんなタイプじゃないので」
と、最初から断る前提で物事を決め付けている人がいる。

そういう人を見るたびに「もったいないなあ」と思う。特に断る理
由がなくても、自分自身で枠を作ってしまい、そこから一歩も踏み
出そうとしないのはもったいないことだ。

若い人たちが「断る」傾向にあるのは、就活時のやや行き過ぎたキ
ャリア教育の影響がありそうだ。「自分探し」の末に「自己実現」
するのが理想とたたき込まれているのだ。

そのため、何もかも自分で判断することが正しいと思い込んでいる。
しかし、適性や適職などはは、自分ではよく分からないということ
のほうが多いものなのだ。

僕の周りで仕事ができる人の共通点は、人から誘われたり、依頼さ
れたりした時に「やってみましょう」と引き受けることだ。

同じように、成功者と呼ばれる人たちの多くが、目の前に現れた機
会を断らずやってみて、それをきっかけに大きな成果を挙げている。
大切なことは「まず、断らずにやってみる」という姿勢だ。

【2】

頼まれることの中には、ただ働きもある。報酬など受け取らずに人
を紹介したり、アドバイスをすることも大事だ。仕事を経済効率だ
けで選ぶと、スキルや知識が先細りしてしまう。

私は「相談に乗ってくれませんか?」「ちょっと協力してもらいた
い件があって」という話をよくいただく。そうして引き受けた案件
の半分くらいは、報酬をいただいていない。

そもそも、企画を立ち上げ、内容を練っても、結果的に流れてしま
うものも多い。だが、それは「割が合わない」ことではない。「た
だ働き」の中にこそ、宝が埋もれているからだ。

【3】

一般に、すぐにお金になる仕事は、アウトプット型の仕事だ。私の
場合、たとえば、雑誌や新聞に原稿を書くこと、講演会や企業研修
の講師などがそれに当たる。

一方「ただ働き」の仕事はインプット型だ。映画や本の企画をゼロ
から立てるには、下調べや勉強などが必要だ。そうした企画が成立
する確立は高くない。結果的に、ただ働きになる。

しかし、それが結果として新しい知識を増やし、今までにない人脈
を広げる。通らなかった企画書も、将来活用されるかもしれないノ
ウハウとして蓄積されていくのだ。

つまり、インプット型とは「報酬をもらわなかった代わりに、自分
の中に知識や経験やノウハウや人脈を吸収する」仕事だ。だから、
「ただ働きになるかもしれない仕事」でも、なるべく断らないのだ。

特に、人脈はインプット型の仕事の中に眠っている。どんな小さな
案件でも、一緒に仕事をしたことがあるという関係こそが、本物の
人脈といえるのだ。

【4】

仮に月に30万円を稼ぐ力があるとする。スキルや経験や人脈などを
ひっくるめた能力だ。その能力を使い、アウトプット型の仕事だけ
をしていれば、月30万円は稼げるはずだ。

だが、その間、チャレンジが必要な新しい仕事や、お金になりにく
い割に合わない仕事を断ると、インプットができず、いつまでたっ
ても30万円しか稼げないことになる。

逆に、割に合わなくても「断らない」姿勢でチャレンジすれば、一
時的には収入は減るかも知れない。しかし、新たな知識やスキル、
人脈が手に入る。その結果、やがて月40万円稼げるようになる。

これは、フリーランスだけでなく、会社員にも当てはまる。たとえ
ば、新入社員の時期は何から何まで教わりながら一人前に育てても
らう。その間、大した働きもない。つまりインプットの時期だ。

だが、プロの社会人として成長すると、会社に稼ぎをもたらす。こ
れがアウトプットの時期だ。このインプットとアウトプットを繰り
返しながら、会社は成長していくのだ。
 
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■■選書コメント
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人に頼まれた仕事は「断らない」ことを勧める本です。キャリア形
成やスキル向上のために、人から頼まれた仕事は、極力断るべきで
はないと著者は言います。

著者自身、自ら仕事を断らず、何でも引き受けてキャリアを築き、
好きな仕事にたどりつきました。そういう方が、自分や周囲の事例
を交えながら力説しますので、説得力があります。

頼まれた仕事に意外な面白さを発見したり、自分に適性があること
に気づいたりすることは、よくあるものです。たとえば「不本意な
配転で思わぬ力を発揮した」という話をよく聞きます。

だから、食わず嫌いをせず、頼まれたら、まず引き受けてみること
です。多少は苦労しますが、成し遂げれば感謝され、自分も活動の
舞台を広げることができます。

少し前に、断ることを推奨するベストセラーが生まれました。それ
を真に受け、断りまくった結果、周囲から声がかからなくなり、す
っかり仕事がなくなったという人が、私の周囲に何人かいます。

仕事を出す側からすれば、一度断った人には、二度との頼まないの
が普通です。気持ちよく引き受けてくれる人は、いくらでもいると
いうことです。そういう人が夢をかなえていきます。

本書には、各章の終わりに「まとめ」、そして「宿題」という形で
質問が投げかけられます。これを考えることで、本書の内容を自分
の問題として、じっくり考えることができます。

今の仕事が、自分に向いていないと考えている人、自分のやりたい
仕事がわからないという人、周囲に認めてもらえていないと感じて
いる人など、仕事とキャリアに迷う人に、特にお勧めします。

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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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