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2010/09/29
ガラパゴス化のススメ
ガラパゴスが日本を救う
秋葉原と原宿の文化が世界中に広がっている。これを二年半あまりに渡って追いかけてきた結果、分かったのは、第二次ジャポニズムの到来だ。まず、中国と韓国での動きを考えてみたい。中国人女性には、日本のファッションが好きなタイプと、韓国のファッションが好きなタイプがいる。私が初めてその「概念」を耳にしたのは2010年1月の北京だった...
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■■ ビジネス選書&サマリー
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■今週の選書
■ガラパゴス化のススメ
■櫻井孝昌/講談社
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■■選書サマリー
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ガラパゴスが日本を救う
【1】
秋葉原と原宿の文化が世界中に広がっている。これを二年半あまり
に渡って追いかけてきた結果、分かったのは、第二次ジャポニズム
の到来だ。まず、中国と韓国での動きを考えてみたい。
中国人女性には、日本のファッションが好きなタイプと、韓国のフ
ァッションが好きなタイプがいる。私が初めてその「概念」を耳に
したのは2010年1月の北京だった。
その後、中国各地を回る中で、中国人女子大生からファッションに
関する「日本式」と「韓国式」という言葉をしょっちゅう耳にする
ことになった。
日本式と韓国式の具体的なファッション形態は、流行に左右される
ため、その時々の感覚で判断するしかないが、おおむね日本式はカ
ワイイ、韓国式はカッコイイと考えていい。
これは、中国だけでなく、世界全体から見た日本のファッションの
印象、さらに言えば日本全体に対する印象であり、魅力ということ
になる。
【2】
中国の女子たちの中にある、ファッション市場における日本式と韓
国式という概念は、表面的には「日本式と韓国式のファッションの
どちらが人気か」ということに見える。
しかし、経済の側面を考えると、ことはそう簡単ではない。実体経
済の上では、「日本VS.韓国」でなく、「中国VS.韓国」ということ
になるからだ。
というのは、中国市場に広がった日本式ファッションは、日本のブ
ランドや企業が販売しているのではないのだ。そのほとんどが、中
国メーカーによって、デザインを真似されて作られたものなのだ。
つまり、イメージは日本式だが、実体経済上は中国という構図なの
だ。いくら「カワイイ」と日本のファッションがもてはやされても、
日本経済には、一円の足しにもならないのだ。
一方、韓国式ファッションの店に行くと、韓国メーカー自身が進出
していることが多い。つまり、韓国式ファッションは、韓国経済に
もしっかり貢献しているのだ。
【3】
日本風の制服ファッションは、世界各地で人気だ。しかし、これが
中国と韓国以外で、実際に店頭に並んでいる光景に出くわすことは
ない。
欧州やロシア、南米の制服ファッション愛好家は、ネットで買うか、
日本で買うか、自作するかの3パターンのいずれかの方法を選択し
ているのだ。
しかし、中国では、デパートで簡単に制服ファッションが手に入る。
北京や上海などの都市部だけではなく、重慶など内陸部の大都市の
デパートでさえ手に入るのだ。
ただ、その制服ファッションも、実際に販売しているブランドは、
韓国メーカーだ。韓国企業は、その市場の大きさに、日本企業より
先に気づいているというわけだ。
【4】
現地に赴き、世界から日本を見て感じるのは、韓国の外に対する強
さであり、したたかさだ。パリ「ジャパン・エキスポ」でも、韓国
の出版社はブースを出し、マンガ家のサイン会を実施していた。
韓国には、アニメという圧倒的な武器がない。そのため「コリアン・
エキスポ」のような巨大イベントが存在しない。だから、韓国は、
日本をテーマにしている場に乗り込んでいるのだ。
この精神は、むしろ日本企業が学ぶべきだ。経済がこれだけ停滞し
ながら、今そこにある海外の日本熱を日本人自身が積極的に感じて
おらず、アクションを起こさないことが不思議でならない。
「メイド・イン・ジャパン」は世界から見捨てられたわけではない。
むしろ「メイド・イン・ジャパン」の熱は高まっている。
ただ「メイド・イン・ジャパン」のイメージが変わったのだ。その
変化の重要なキーワードが「カワイイ」なのだ。
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■■選書コメント
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本書は、アニメやカワイイといった、日本のポップカルチャー文化
と、そこから学ぶ日本論です。タイトルに「ガラパゴス化」とあり
ますが、決してケータイやIT の本ではありません。
著者は、二年半にわたり、日本のポップカルチャーについて、世界
中の若者たちと外交してきました。その取材を総括し、展開される
日本論は、実にユニークです。
膨大な取材を下地に書いてあるため、単に読み物としても面白い内
容です。アニメや「カワイイ」を支持する世界の若い世代のルポと
いうことで、なじみがない分、知的好奇心が満たされます。
もちろん、本書は単に面白いだけではありません。取材を通して、
これからの日本や、日本の産業界が進む道について、著者独自の理
論を展開しています。
すなわち「カワイイ」に象徴される日本が独自の進化を遂げ、世界
から支持されているものに注目し、これを武器に世界に打って出る
ことを勧めるのです。
ガラパゴス化というと、日本の産業界の衰退の原因であり、象徴の
ように言われます。しかし、著者はこの点に異を唱え、むしろ、積
極的にこれを受容し、強みとして打ち出せと主張します。
というわけで、いわゆる若者文化論ですが、全体として、日本のビ
ジネスのヒントになるように書かれています。最後には、これから
の日本の産業界が進むべき道を教えてくれます。
世代や役職を問わず、あらゆる業種のビジネスパーソンが、世界の
潮流を知る上で、自分たちの未来を考える上で、今こそ押さえてお
くべき内容です。一読をお勧めします。
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