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2010/12/17
結果を出し続けるために

結果を出し続けるために

プレッシャーを味方に
「棋士は、常に先の局面を見通して、次の一手を指している」そんなイメージがあるかもしれない。しかし、将棋は絶対に自分の予想した通りにはならない。10手先の予想でさえ困難だ。そうした中で、結果を出し続けるには「ツキや運」「プレッシャー」そして「ミス」の3つの要素が大きな鍵になる...


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■今週の選書
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プレッシャーを味方に

【1】


「棋士は、常に先の局面を見通して、次の一手を指している」そん
なイメージがあるかもしれない。しかし、将棋は絶対に自分の予想
した通りにはならない。10手先の予想でさえ困難だ。

そうした中で、結果を出し続けるには「ツキや運」「プレッシャー」
そして「ミス」の3つの要素が大きな鍵になる。

次の一手を選択する際、ツキや運、流れを読んで参考にすることが
ある。「今日はツイていた」「今日はツイていなかった」などと思
うことがある。

それは「流れ」、または「バイオリズム」と言える。そうしたもの
を漠然と感じ取ることが少なくない。ここでは、それらをまとめて
「ツキや運」と呼ぶ。

ツキや運を呼び込むには「ツイている人の真似をすること」だ。こ
れれは、基本的なセオリーであり、私もやっている。反対に「ツイ
ていない人の逆を張れ」ともいわれるが、私は絶対にやらない。

【2】

ツキや運は、常に変化する、揺れ動くと同時に、人を魅了したり、
魅惑したりする。だからこそ、ギャンブルや占いは、いつの時代も
流行るのだ。

人は、自分がツイている、その渦中にいるということにとても魅力
を感じる存在だ。元来、人間はツキや運のことを考えるのが、好き
なのだ。

しかし、ツキや運は引力が強い。そのため「ツイているか、ツイて
いないか」に一喜一憂しすぎると、肝心カナメの自分自身の実力、
能力を上げていくことがおろそかになってしまう。

ツキや運は、目に見えないが、確かに存在する。しかし、あまりに
もツキや運にとらわれすぎたり、こだわりすぎたりすると、かえっ
てそれに振り回されてしまう。注意が必要だ。

【3】

人間は、選択肢が多いほど、自分が行った選択に対して後悔しやす
くなるものだ。後になって「ああしておけば良かった」と思いやす
くなる。

だから、後悔しないための考え方、割り切り方を心に持つべきだ。
前向きに進んでいくためにも、自分がその時に選んだ選択肢に対し
て、自信、確信を持つことが重要だ。

自分が行った選択を後悔するより、自分が選んだことの中に、次に
進むために必要不可欠なものがあったと考えるほうが、未来に活き
る。

だから、私は選択する際には、その結果がうまくいくかどうかでな
く「うまくいかないとしても納得できるか」というところに重きを
置く。そうすれば、後悔することは少なくなるはずだ。

【4】

現代は、統計学や確率計算の理論がすごく進んでいる。そのため、
セオリーや定跡、常識が確立・確定しやすい。その通りやっている
と問題も起きにくいので、つい頼りたくなる。

しかし、セオリーや定跡に頼りすぎると、いったんそこから外れた
り、自分で道を切り拓くことが必要な局面になった時、自力で対応
できる力が弱くなってしまう。

また、流れを読む力も弱くなる。気がついたらピンチを招いていた、
ということにもなりかねない。

自分の状況や環境、時代の流れを読んで、未来を切り拓いていく力
を身につけるには、羅針盤が効かないような状況に極力身を置くこ
とだ。そうすれば、自力で考えざるを得なくなる。

ただし、いきなり山奥に行ってサバイバルをしたり、戦地に赴くな
ど極端なことはすべきでない。自分自身の安全が確保できる範囲内
でやるべきだ。

これからの時代に必要なのは、野生だ。現在は昔と違い、生きる環
境からワイルドさが失われている。だからこそ、なおさら意識して、
データや統計に頼らず、自力で解決策を捻り出すことが大切なのだ。

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■■選書コメント
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本書は、結果を出し続けることがテーマの本です。ツキを味方につ
け、ミスやプレッシャーに負けず、勝ち続ける方法を学びます。著
者は、ご存じ、棋士の羽生善治さんです。

もともと講演録ですが、将棋という勝負の世界で、若くしてトップ
の座を勝ち取り、今も勝ち続けている第一人者の言葉だけに、言葉
の一つ一つに、余人では語れない重みがあります。

将棋の世界の話ではありますが、思った以上にビジネスと共通点が
あります。「大局観を持つ」「流れを見極める」「不確実性を楽し
む」などは、そのまま仕事に生かせます。

思えば、将棋もビジネスも、勝負事をルーツにしていることには変
わりがありません。共通点が多いのはもっともです。スポーツも同
じだと思います。

著者自身、テニスなどスポーツなどの分野からもたくさんの教訓を
得ています。「速い球は、力で打ち返さない」ということは、将棋
でも当てはまるそうです。

「ここぞ!」という勝負どころで、プレッシャーに負けてしまい、
ミスをして結果が残せない、そういうことは、誰にでもあると思い
ます。私もその筆頭です。

反対に、プレッシャーを味方につけて、いつも以上の力を出したり、
ミスを巧みにリカバリーすることで、最高の結果が残せる人もいま
す。

そんな、厳しい状況下でベストを発揮し、結果を出し続ける秘訣が
知りたい人にお勧めです。また、ビジネス書には食傷気味で、趣向
の違う分野から学びたい人にもお勧めします。

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発行元:(株)アンテレクト 藤井孝一 (C) Copyright 1999-2010
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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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