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2011/01/29
ライフネット生命社長の常識破りの思考法

非常識な成果が欲しいなら、常識は破れ
私は、海外旅行が大好きでこれまでに50カ国以上、1000以上の都市を訪れている。世界各地で暮らす人々や、その文化に多く触れれば触れるほど、日本人のあいだで一般に語られる意見や考え方が、極めて珍しい特殊なものだとわかってくる...

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■今週の選書
■ライフネット生命社長の常識破りの思考法
■出口治明／日本能率協会マネジメントセンター
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■■選書サマリー　　
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非常識な成果が欲しいなら、常識は破れ

【１】

私は、海外旅行が大好きでこれまでに50カ国以上、1000以上の都
市を訪れている。

世界各地で暮らす人々や、その文化に多く触れれば触れるほど、日
本人のあいだで一般に語られる意見や考え方が、極めて珍しい特殊
なものだとわかってくる。

島国根性とよく言われるが、世界ではたくさんの日本人が活躍して
いる。ところが、国内の状況は、いまだに鎖国中ではないかと思う
ほど閉鎖的だ。

大きな理由は、他人の意見をうのみにしやすいこと、自分の頭で考
えないことではないかと私は考えている。日本ほど「社会常識」が
幅を利かしている国も少ない。

数字や事実から論理的に積み上げた考えではなく「みんなの常識的
にはこうだ」という発想だ。そこには数字もファクトも、ロジック
もない。

しかも、その常識は、短期間でころころ変化する。だから、哲学や
道徳や宗教とも違う。いわば即席の常識だ。短期的という意味では
「空気を読む」の「空気」に近い。

【２】

日本国内の「社会常識」は、海外に出るとその多くが「非常識」に
なる。そっくり同じことは「業界の常識」や「社内の常識」にも当
てはまる。

私は、2008年にインターネットで販売する生命保険会社、ライフネ
ット生命を創業した。この会社は、業界では「型破りな会社」「非
常識な会社」と言われている。理由はいくつもある。

一番の特徴は、日本では74年ぶりの独立系生命保険会社ということ
だ。つまり、親会社に内外の保険会社をもたないで創業したという
ことだ。

【３】

ライフネット生命を準備するにあたって、３つのビジョンを掲げた。
すなわち「保険料を半額にする」「保険金の不払いをゼロにする」
「生命保険商品の比較情報を発展させる」だ。

保険料を半額にするためには、セールス・レディーや保険代理店を
介して販売するようなコストはかけられない。商品説明や加入申込
みをインターネットに限ったから、大手生保の半額にできたのだ。

ネット生保は、販売員が対面で商品説明をするわけではない。その
ため、商品はシンプルでわかりやすくなくてはならない。「内容が
複雑で、読んでもわからない、読む気にならない」では困るのだ。

これは、複雑化した生保商品へのアンチテーゼでもある。消費者に
理解できないほど商品が複雑化し、中身がわからないまま、義理・
人情・プレゼントで販売されてきたのが日本の生保なのだ。

【４】

ライフネット生命の設立準備に入った2006年は、ちょうど保険金不
払い問題が取り沙汰されたころだ。生命保険会社に対する不信が、
日増しに膨らんでいた。

そこで、保険金の不払いをゼロにするのは当然として、情報公開を
徹底し、透明性の高い生命保険会社、消費者に対して真っ正直な生
命保険会社を作りたいと思った。

多くの生命保険会社は、販売している「商品の内容」や「商品の値
段」を開示していない。消費者は、それらを比較検討して契約する
ことが難しい状況のだ。

ライフネット生命では、保険約款と保険料表をウェブサイトで公開
している。そのため、消費者は、他社商品と自由に比較できる。

さらに、秘中の秘と言われてきた「生命保険の原価」すなわち「純
保険料と付加保険料の内訳」も公開している。これは、同業他社か
ら見れば、非常識極まりない経営になる。

しかし、生命保険の原点を率直に見つめれば、このやり方こそが「常
識的な経営」なのだ。このことは、いずれ理解してもらえるはずだと
私は確信している。

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■■選書コメント
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思考法を鍛えます。社会常識が幅を利かせる日本では、自分の目で見
て、自分の頭で考えることが大切であることを説き、その思考法を習
得する方法を解説します。

著者は、ライフネット生命の創業社長、出口治明さんです。ロンド
ン駐在に加え、五十もの国々を旅して見てきた経験から、日本人の
閉鎖性や大衆に流されやすい点を指摘します。

その上で、自由に、自律的に考える思考力を育むにはどうすればい
いのかを教えます。特に、読書と旅行を勧め、その具体的なやり方
を詳しく解説します。

前半は、自らの体験を交えながら、読書や旅行を通して、いかに思
考力を鍛えるか、ユニークな発想で解説し、その習得の秘訣を解説
します。

後半では、自らの体験をベースに、お勧めの都市や、お勧めの書籍
などを紹介します。といっても、旅行について、ガイドブックのよ
うに、都市のデータや訪問法などが書いてあるわけではありません。

著者が、その旅行で、何を、どう学んだかが書いてあります。書籍
に関しても、綴られるのは、いわゆる書評でなく、極めて私的な感
想です。著者がそこから何を得、何を感じたか書いてあります。

社会人になっても「学ぼう」という意思を持つ人が多いと思います。
かといって、英会話や資格取得など、ありきたりな、いわゆる勉強
では、もはや物足りないという人も少なくないと思います。

そんなワンランク上の勉強法を求める人や、経営者や企業のトップ
マネジメントなどで、さらに勉強を続けたいと考える人に、ヒント
をくれる本です。

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発行元：（株）アンテレクト　藤井孝一 Copyright 1999-2011
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