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2012/07/06
なぜマッキンゼーの人は年俸1億円でも辞めるのか?
マッキンゼー出身者は、なぜ活躍できるのか
私は、さきごろ株式会社ジェイドの代表取締役に就任した。事業内容は、靴を中心に、バッグやアパレルも取り扱うファッション通販サイト「ロコンド」の運営だ。中学生の頃からの夢が「一流企業に就職すること」だった。大学生のときには、勉強にも、部活にも、アルバイトにも打ち込まない、無気力な、ダメ大学生だった...
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■今週の選書
■なぜマッキンゼーの人は年俸1億円でも辞めるのか?(田中裕輔)
■東洋経済新報社
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■■選書サマリー
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マッキンゼー出身者は、なぜ活躍できるのか
【1】
私は、さきごろ株式会社ジェイドの代表取締役に就任した。事業内
容は、靴を中心に、バッグやアパレルも取り扱うファッション通販
サイト「ロコンド」の運営だ。
中学生の頃からの夢が「一流企業に就職すること」だった。大学生
のときには、勉強にも、部活にも、アルバイトにも打ち込まない、
無気力な、ダメ大学生だった。
当時「日本をよくするのは、政治家や社長」と考えていた。そんな
典型的な無責任人間が、なぜベンチャー企業を共同創業するに至っ
たのか。
それは「マッキンゼー」が価値観や考え方を根本から叩きなおして
くれたからだ。8年間、マッキンゼーに所属したが、そこでは先輩・
同期・後輩から、頭の使い方だけでなく多くの価値観を学んだ。
どうすればこの日本を、そしてこの世界を良くできるのか、それを
愚直に考えて、行動し、貢献できる人材を教育し、輩出する会社、
それがマッキンゼーだ。
「寄らば大樹の陰」の思考を捨てること、そして自らリーダーシッ
プを発揮して、日本や世界にインパクト、すなわち変革を与えるこ
と、これこそがマッキンゼーで学んだ価値だ。
【2】
マッキンゼーの出身者は、各界で活躍している。たとえば、今や変
革の代名詞と言える「大阪維新の会」このプロジェクトには、多く
のマッキンゼー出身者が携わっている。
もちろん、政界だけではない。むしろ「経営」の世界で活躍する出
身者は数えきれない。面識がある人だけでも、南場智子ディー・エ
ヌ・エー創業者を筆頭に、たくさんの出身者が活躍している。
マッキンゼーに入社するのは、年に新卒で10~20名、中途入社を入
れても30人程度だ。にもかかわらず、多くの「志士」が生まれてい
るのはなぜか。理由は三つある。
1つ目は「自信」だ。マッキンゼーで何年か働くと「会社に頼らず、
志に向けて戦う」自信が芽生えるのだ。
マッキンゼーで働き続けることは楽ではない。毎晩、真夜中、時に
は朝まで働いていた。有給休暇はプロジェクトの復習期間に充て、
朝から晩まで仕事のことを考えていた。
これは、働かされているのではない。プロの義務を果たし、自分の
成長に真正面から向き合っているのだ。このような厳しい環境で働
くから、他の会社の同世代に比べ、圧倒的スピードで成長できる。
【3】
第2の理由は「価値観のマインド・コントロール」だ。マッキンゼ
ーのコンサルタントは、会社の売上や利益を気にする必要がないし、
そもそも売上や利益が幾らなのか、知らされていない。
彼らが気にすべきことは、プロジェクトの中で「自分がどれだけ価
値を生み出し、インパクトを生み出せるか」だけだ。価値やインパ
クトを出せる人は偉いし、出せない人はクビ。非常にシンプルだ。
第3の理由は、マッキンゼーの懐の大きさだ。たとえば採用面接で
「数年後にはNPOで働いて、NPOの世界でインパクトを創り上
げたい」と学生が言ったとする。
【4】
普通の会社なら「愛社精神が無い」という理由で落とされるかも知
れないが、マッキンゼーでは全く問題視されない。むしろ、その
「志」と論拠が明確なら、称賛される。
また、重要な人材は、マッキンゼーを辞めても、会社のパーティー
には幾度となく呼ばれる。出戻りも許される。だから「会社にしが
みつく」人間は少ない。外で思い切りチャレンジできるのだ。
今の日本人に欠けているのは、知識ではない。英語は不得意かもし
れないが、大した問題ではない。論理的思考能力は弱いかもしれな
いが、それもアメリカ人が群を抜いているわけでもない。
今の日本人に欠けているのは、自分の人生に責任をもち「志」を向
けて突き進むことだ。その一歩を踏み出せる人間が何人出てくるか
で、これからの日本の姿は大きく変わってくるはずだ。
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■■選書コメント
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マッキンゼーで育ち、起業家に転身した著者による、マッキンゼー
の解説本です。ロジカルシンキングなどの手法の類でなく、おもに
社風や文化、価値観などを、実体験を交えながら教えてくれます。
マッキンゼーといえば、すごい人材を多数輩出する会社として知ら
れています。大前研一さん、南場智子さん、勝間和代さんなど、数
え上げればきりがありません。
そんな志の高い人材を量産し、自社で抱え込むのでなく、社会に送
り出せる会社とは、一体どんな会社なのか、その秘密が、本書を読
んで明らかになりました。
本書を読んで、マッキンゼーが、会社の文化として、志の高い人材
を猛スピードで育てていることが良くわかりました。起業家を量産
してきた、かつてのリクルートのようなものかもしれません。
たとえば、売上・利益目標は社員に知せず「クライアントにバリュ
ーとインパクトを与える」「最高の人間に成長する」という、ミッ
ション・ステートメントだけが共有されるそうです。
また、懐の深さを感じます。普通の会社は、辞める人間には冷たい
ものですが、マッキンゼーは、インパクトを出すためなら「辞めて
も称賛される」し「出戻りもアリ」とのことです。
なお、マッキンゼーが人材育成に熱心なのは「提供できるものが「人」
しかないから」ということです。本来、多くの会社がそうあるべき
です。参考にすべき点が大いにあります。
外資系、コンサルティング・ファームということで、憧れと反感の
ないまぜの感情を持つ方がいるかもしれません。そういう人こそ、
読めばマッキンゼーがスゴイ会社ということがわかるはずです。
特に、コンサルタント志望者や、起業志望の人を中心に、若いビジ
ネスパーソンには、ぜひ読んでもらいたいと思います。きっと勇気
づけられ、ヒントがもらえると思います。
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発行元:(株)アンテレクト 藤井孝一 Copyright 1999-2012
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