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2012/07/20
負けない力
負けさえしなければ、いつか勝てる
私は40数年にわたり、シェル石油や日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどの外資系企業、いわゆる「グローバル・エクセレント・カンパニー」で働いてきた。ビジネス人生後半の20年は、3社の社長と1社の副社長を務めた。そういうと、強くて、自信満々の人物をイメージするかもしれない。たしかに、そうした面もあるかもしれない...
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■今週の選書
■負けない力(新将命)
■東洋経済新報社
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■■選書サマリー
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負けさえしなければ、いつか勝てる
【1】
私は40数年にわたり、シェル石油や日本コカ・コーラ、ジョンソン・
エンド・ジョンソンなどの外資系企業、いわゆる「グローバル・エ
クセレント・カンパニー」で働いてきた。
ビジネス人生後半の20年は、3社の社長と1社の副社長を務めた。
そういうと、強くて、自信満々の人物をイメージするかもしれない。
たしかに、そうした面もあるかもしれない。
だが、若い頃の私は、内気で恥ずかしがり屋で、人前で話すと緊張
で膝がガクガクと震える人間だった。ビジネスマンとしても、2度
の降格と1度の社長解任という、合計3度の挫折を味わっている。
それでも、わが身を振り返った時、それなりに充実していた。それ
は、若い時から目標を持ち、自分を磨いてきたから、そして、短所
があり、挫折や失敗をしても、負けない力を持っていたからだ。
【2】
たとえば、人には自分でコントロールできることと、できないこと
がある。一生懸命やっても結果が出せない人は、他人の価値や過去
の出来事など、コントロールできないことに囚われているのだ。
できないことにあがいて消耗してしまっている。要するに、努力す
る部分を間違えているのだ。
逆に、成功する人、あるいはハッピーに生きている人は「自分の行
動」や「未来の結果」など、あくまで自分がコントロールできるこ
とに集中しているものだ。
【3】
「勝つ」には2つのタイプがある。勝負に「勝つ」ことと、自分に
「克つ」ことだ。最後に成功する人は、他人との勝負に「勝つ」こ
と以上に、自分に「克つ」ことに執着しているものだ。
なぜなら、他人との勝負は、運や力関係で決まることもあり、必ず
勝てるとは限らないが、自分との勝負はその気になれば100%克て
る。「やるかやらないか」「続けるか続けないか」選ぶのは自分だ。
たとえば、優秀なビジネスマンは、「誰よりも早く出社して、始業
前に仕事の準備を整える」とか「どんなに忙しくても、社外の勉強
を休まない」など、努力を続けているものだ。
たとえ些細な行動でも、自分に克ち続けている人は、長い目で見れ
ば、仕事で安定した結果を出しているものなのだ。
【4】
ビジネスで勝ち続けることは、誰にとっても容易なことではない。
というより、ビジネスでも、経営でも、そして人生も、上手くいか
ないことのほうが、圧倒的に多いのだ。
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は『一勝九敗』という
本を出されている。私が言いたいのは「一勝九分けの働き方」とで
もいうべきものだ。
これは、現実の勝敗を意味するのではない。一勝は「少なくとも自
分には克つ」で、九分けとは「とにかく負けないようにする」こと
だ。仮に、勝負に負けても、心まで折れないようにする」ことだ。
どんなにがんばっても、自分が置かれた環境が悪ければ結果は出な
いのだ。その時々の社会状況や運もある。出世するかどうかまで含
めれば、努力が報われるのは、せいぜい50%ぐらいのものだ。
【5】
だからこそ、不遇の時には、内面を磨き、将来のための種まきをし
て、捲土重来に備えておくことだ。そうすれば、状況が好転した時
に望ましい成果が出る可能性が高くなるはずだ。
今後、否応なしにグローバル化が加速する。そういう時代に求めら
れるのは、次の5つのスキルとマインドだ。
・理念と目標をしっかり作る
・問題発見力を磨く
・グローバル基準のコミュニケーション能力を磨く
・人間的魅力を高める
・理念と目標達成を託せるリーダーを育てるリーダーになる
これらは、経営の要諦そのものだ。つまり、これからの厳しい社会
で生き残るには、自分という会社を経営する社長として発想するべ
きなのだ。
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■■選書コメント
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タイトルからはイメージしにくいかも知れませんが、本書は仕事の
本です。新しい時代に武器になることは何で、どうやってそれを身
に着けるかを語りかけるように教えてくれます。
著者の新将命さんは、外資系のトップを歴任した方です。世代が違
うとか、外資系企業という特殊な活躍をされた方の体験だから、自
分には関係ないとの懸念は無用です。
また、偉い人の書いた本は、観念的な話になりがちですが、本書は、
理念にはじまり、勉強法やプレゼンの方法などのスキルまでを網羅
しており、中身の濃いビジネス書に仕上がっています。
新さんは、これからの時代に必要なスキルを30の武器として紹介し
てくれます。英語や中国語などの語学やITリテラシーはもちろん、
動機向上力や、ユーモア力、胆力などユニークなものも含まれます。
外資で活躍された方ですが、だからこそなのか、意外にも「日本愛」
を感じます。スキルの向上法としても「『紫式部』などの古典を読
め」とか、「落語を聞け」などと言います。
世界に出て、私たちが、まず自分の「売り」や「強み」にするべき
ことは、日本人であることです。そのために、さらに日本を知り、
極めることが重要、との指摘は、納得できます。
これからは、ますます日本もグローバル化の波に巻き込まれていき
ます。いち早くグローバルに活躍した先人の教えは尊く、ぜひ生か
していきたいものです。
外資系で働くかどうか、海外で働くかどうかは関係ありません。ぜ
ひ、仕事を始めたばかり、これから仕事を始めるという若いビジネ
スパーソンに、広くお読みいただきたいと思います。
★本書の詳細、お買い求めは、
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発行元:(株)アンテレクト 藤井孝一 Copyright 1999-2012
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