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2013/04/05
はじめる技術 続ける技術
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何が一流と二流を分けるのか?
テニスをしているジュニア選手に「君はどうなりたいの?どうしたいの?」と尋ねるとする。すると「ぼくはウィンブルドンに出たいんです」というような答えが返ってくる。そうしたら、次に「では、ウィンブルドンに行くために、今は何をしたらいいと思う?」と聞く。その時、「頑張って練習するだけです」と答える子は、長続きしない...
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■今週の選書
■はじめる技術 続ける技術(中野ジェームズ修一)
■さくら舎
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■■選書サマリー
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何が一流と二流を分けるのか?
【1】
テニスをしているジュニア選手に「君はどうなりたいの?どうした
いの?」と尋ねるとする。すると「ぼくはウィンブルドンに出たい
んです」というような答えが返ってくる。
そうしたら、次に「では、ウィンブルドンに行くために、今は何を
したらいいと思う?」と聞く。その時、「頑張って練習するだけで
す」と答える子は、長続きしない。
目標をはるか先、それも目いっぱい高いところに設定してしまうと、
「今、何を、どうすべきか」が思い浮かばない。そのため、ただ漠
然と「頑張る」だけになってしまうのだ。
これでは具体的な成果が明確に見えてこない。だから、長続きしな
いのだ。
目標は、夢ではない。決めた時間内に実現可能な範囲で具体的に設
定しなければ、達成感は得られない。それがなければ、楽しくない。
楽しくないから、モチベーションが維持できなくなるのだ。
【2】
「金メダルをとりたい」というのも同じだ。トップアスリートなら、
誰もが「メダルをとる」ことが目標だ。しかし、誰もがそれを目指
して、毎日懸命に頑張っているわけではない。
「メダルをとりたい、メダルがほしい」と思ってがむしゃらにやっ
ている人は、結局、国内予選で1回選敗退など、ほとんど上に行け
ないまま終わる。
理由は、目標設定の仕方が不適当だからだ。たとえば、会社の新入
社員が「僕は、この会社の社長になりたい」と言ったとする。だが、
急にそうなれるわけではない。それと同じだ。
社長になるためには、そこへ行くまでの過程があり、段階的な手順
がある。それを踏んで、一歩ずつ上がっていかなければ、決して社
長にはなれないのだ。
【3】
一流のオリンピック選手なら、メダルに到達するまでに、自分が上
がっていくべきステップが、明確に設定されている。それを1段ず
つ上がる1つひとつが、その選手にとっての目標なのだ。
つまり、メダルそのものが目標ではなく、そうした階段を1段ずつ
クリアすることが、目標なのだ。メダルは、最後にたまたま手に入
る。これが実態なのだ。
そのように、メダルを取るまでの目標を細かく設定していかなけれ
ばならない。これが「はじめる技術」だ。その有無が、1流になる
人と2流以下で終わってしまう人の差なのだ。
「メダルをとる」という目標は、はるか上に置いておき、実際には、
「今日はこの階段を1段だけ上る」というのが、現実的な目標設定
だ。
【4】
たとえば、テニス選手が「4年後のオリンピックでメダルをとりた
い」と思うなら「自分は、いま世界ランキングのどの辺に位置して
いなければならないか」という目標を想定する。
世界ランクで3桁の選手が、急に1桁になることはない。そこで、
まず「今年は世界ランキングを10番上げよう」といった目標を設定
が必要だ。
そのためには、毎月、ランキングを1つ、2つぐらいは上げておか
なければならない。それには、3つぐらいの試合に出て、8割以上
の勝率をあげなければならないはずだ。
そうなると、今月中にこなさなければならない試合数が決まる。さ
らに、その試合で何勝しなければならないかが分かる。これが目標
になるのだ。
その階段を上ることができたら「1つ上ることができた」という達
成感が得られる。これが、次のステップへの強いモチベーションに
なる。これがトップアスリートたちの「はじめる技術」なのだ。
これは、スポーツ以外の分野でもまったく同じだ。高い目標を実現
したいなら、走り出す前に、ゴールまでの道筋を組み立て、それを
毎日達成することをこそ、目標にするべきなのだ。
★本書の詳細、お買い求めは、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/490673233X/tachiyomi
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■■選書コメント
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本書は、何かをはじめ、それを続ける方法を教えてくれる本です。
「継続は力」といいますが、どんなことでも続けなければ、成果に
はつながりません。
しかし、スポーツに限らず、英会話、ダイエットなど「続けたい」
のに「続かない」「途中でやめてしまった」という経験は、誰にで
もあるはずです。
「それは、意志が弱いからでなく、続ける方法を知らないから」だ
そうです。そんな持論を前提に、誰もができる「続けるための簡単
な方法」を、分かり易く教えてくれます。
著者の中野ジェームズ修一さんは、日本を代表するトレーナーで、
プロアスリートのフィジカルとメンタルをサポートしています。卓
球の福原愛選手など、多くのアスリートを成功に導いている方です。
本書の特徴は、個人の体験談でなく、運動生理学やスポーツ医学、
心理学など、さまざまな学問をベースにした独自のメソッドを紹介
している点です。
また、人には様々なタイプがあることを前提にしている点も特徴的
です。著者は、スポーツのトレーナーですが、本書は、スポーツに
留まらず、仕事や勉強など、あらゆる分野を想定しています。
続ける一例として、ランニングとストレッチを取り上げ、その解説
に一章を使っていますが、私も本書をきっかけに、散歩をランニン
グに切り替えることにしました。
この春「何か、新しいことをはじめたい」と考えている人はもちろ
ん、これまで「何をやっても続かなかった」という人が、新しいこ
とを始めるきっかけにする上でも、お勧めです。
★本書の詳細、お買い求めは、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/490673233X/tachiyomi
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発行元:(株)アンテレクト 藤井孝一 Copyright 1999-2013
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