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2013/09/20
心配事の９割は起こらない
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さっさと減らそう、手放そう、忘れよう
私は、禅僧という立場から、たくさんの人から相談を受ける。内容は千差万別だが、大別すれば、不安や悩み、迷いといったものだ。だが、そのほとんどが、実は「妄想」や「思い込み」「勘違い」「取り越し苦労」にすぎないのだ。「実体」がない、といってもいい...
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■今週の選書
■心配事の９割は起こらない
■枡野俊明
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■■選書サマリー
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さっさと減らそう、手放そう、忘れよう
【１】
私は、禅僧という立場から、たくさんの人から相談を受ける。内容
は千差万別だが、大別すれば、不安や悩み、迷いといったものだ。
だが、そのほとんどが、実は「妄想」や「思い込み」「勘違い」「取
り越し苦労」にすぎないのだ。「実体」がない、といってもいい。
そういうと「あなたは当事者じゃないからそんなことが言えるん
だ！」「食事も喉を通らないほど悩むことが現実にあるのよ！」と
お叱りを受けるかもしれない。
しかし「幽霊の正体見たり、枯れ尾花」という。幽霊と恐れていた
ものが、ただの枯れたススキだったということもあるのだ。心にわ
だかまったり、心を落ち込ませているものも、実は同じだ。
客観的に見れば「なんでもないこと」に振り回されてしまっている
ことが多いのだ。
【２】
不安や悩みがあって、心が重たかったのに、ふとした言葉や行動が
きっかけで「なんだ、たいしたことないじゃないか」と嘘みたいに
心が軽くなる、そんな経験はないだろうか。
「禅の教え」は、そんなきっかけの宝庫だ。禅というと、深遠で高
邁なもの、難しい世界という印象を持つかもしれないが、その教え
は、日々の暮らしとしっかりと結びついているのだ。
たとえば「喫茶喫飯（きっさきっぱん）」という禅語がある。余計
なことは考えず、お茶をいただく時にはお茶を飲むことだけ、ご飯
をいただく時は、食べることだけに集中しなさいという教えだ。
一見「あたりまえ」のことだが、その「あたりまえ」のことを大切
に丁寧に実践することで「いま」「ここ」だけに集中する。それに
より、余計な不安や悩みを抱えないように心が整っていくのだ。
「いま」「ここ」だけに集中するポイントは「減らす」「手放す」
「忘れる」ことだ。そうすることで、もっとラクに、のびのびと、
前向きに生きている自分に出会うことができるのだ。
【３】
「莫妄想（まくもうぞう）」という禅語がある。意味は「妄想する
ことなかれ」という意味だ。妄想というと、普通は「ありもしない
ことを、あれこれ想像すること」と思うかもしれない。
しかし、禅でいう妄想は、もっと広く深い意味を含んでいる。心を
縛るもの、心に棲みついて離れないものは、すべて「妄想」なのだ。
「あれが欲しい」という我欲も「これを手放したくない」という執
着も、すべて妄想だ。「他人がうらやましい」という気持ちも「自
分はダメだ」という思いも、実はすべて妄想なのだ。
もちろん、心をとらえるあらゆる妄想を断ち切って、一切の妄想と
無縁で生きることはできない。
大切なことは「妄想」をできるだけ減らしていくことだ。これは誰
にでもできる。そのために必要なのが、妄想の「正体」を見極める
ことなのだ。
【４】
妄想を生み出す根源にあるのは、ものごとを「対立的」にとらえる
考え方だ。「勝・負」「美・醜」「貧・富」などだ。他人をうらや
む気持ちや自分を嘆く思いが心をとらわれてしまうのだ。
しかし「比較」することに意味があるのか。禅は、どんなものも、
どんな人も、他とは比べようがない「絶対」の存在と教える。あな
たも、他の人も、比較できない存在なのだ。
比べようがないものを比べようとするから、余計なことや無駄なこ
とがまとわりついてしまい、不安や悩み、心配事が増えるのだ。
比較することをやめたら、妄想の９割は消えてなくなる。心は、ず
っと軽くなる。その結果、生きるのがずっとラクになる。
ぜひ「莫妄想」という言葉を思い出して欲しい。この教えは「比較
などせずに、絶対の自分を信じて生きよ！」というあなたへのエー
ルになるのだ。
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■■選書コメント
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禅の視点から、生き方のヒントを語りかえる本です。他人の価値観
に振り回されたり、余計な悩みを抱えたりせず、毎日をシンプルに
生きることができるようになります。
誰もが、様々な不安や悩み、迷いを抱えて生きています。世の中が
複雑になって、ますますその傾向は増しています。しかし、そのほ
とんどが、妄想や思い込みなど、実体のないものばかりです。
著者は、禅僧でありながら、禅の庭の創作活動から庭園デザイナー
や大学教授としても知られるユニークな方です。その活動は、国内
外から高い評価を得ています。
本書は、複雑さで凝り固まった日常生活を、禅の視点からほぐして
くれます。教えと同時に、さまざまな禅の考え方を、禅語と共に教
えてくれます。
その教えとは、たとえば「妄想しない」「人と比べない」「今に集
中する」「正論を振りかざさない」「朝を大事にする」「情報の暴
飲暴食をしない」などです。
いずれも、当たり前のことばかりです。一言でいえば「シンプルに
生きましょう」ということです。この、ごく当たり前のことが、か
えって心に響きます。
それだけ、現代に生きる私たちは、競争主義や合理主義が行き過ぎ
て、心のよりどころを見失いつつあるのかも知れません。読めば、
きっと心を整えることができるはずです。
多忙で心が荒んでいる人、日々人間関係に悩んでいる人、将来に漠
とした不安を抱えているなど、現代のビジネスパーソンに広くお勧
めしたい一冊です。
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