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2014/01/24
満員電車にサヨナラする方法
クラウドソーシング革命が、はじまった
働く人たちの境遇はどんどん厳しくなっている。2013年7月に総務省が発表した就業構造基本調査によると、非正規社員が、初めて2000万人を突破した。その数は、この20年で2倍になり、働く人の約4割を占める。特に女性の場合、結婚、出産などでいったん離職すると、再就職が中々、かなわない。実際、働く女性の6割が、非正規社員だ...
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■今週の選書
■満員電車にサヨナラする方法
■秋好陽介
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■■選書サマリー
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クラウドソーシング革命が、はじまった
【1】
働く人たちの境遇はどんどん厳しくなっている。2013年7月に総務
省が発表した就業構造基本調査によると、非正規社員が、初めて
2000万人を突破した。
その数は、この20年で2倍になり、働く人の約4割を占める。特に
女性の場合、結婚、出産などでいったん離職すると、再就職が中々、
かなわない。実際、働く女性の6割が、非正規社員だ。
すでに所得格差が問題になり始めているのに、これからも、その状
態が続くのだ。そうなれば、働く人はもちろん、企業にとっても深
刻な問題になるはずだ。
今後、景気が回復して給料やボーナスが増えても、正社員が少なけ
れば、インパクトは弱くなる。内需も縮小する。雇用の流動性確保
に、非正規社員を頼るのは、そもそも無理があるのだ。
【2】
いびつな雇用体系がこれ以上社会問題化することは、企業も望まな
いはずだ。かといって今後、正規社員のボリュームを企業が増やし
ていくのも現実的ではない。
この矛盾、いびつな構造を解決してくれるのがクラウドソーシング
だ。クラウドソーシングとは、米国で2000年ごろに誕生したインタ
ーネットサービスの1つだ。
簡単に言うと「仕事を頼みたい人」と「自分のスキルや労働力を売
りたい人」をネット上でマッチングするサービスだ。ネット上でビ
ジネスの「売りたし・買いたし」をマッチングするサイトだ。
このようなサービスは以前からあったが、クラウドソーシングが画
期的なのは、人の能力というリソースをネットの中に詰め込んで、
欲しい時に、欲しい能力を、簡単にチョイスできるところだ。
しかも、要するコストはほとんどゼロだ。仕事を請けてくれる人た
ちを探す手間、労力、コストは限りなくゼロにでき、労働の対価と
して支払う料金もかなり安くすることができるのだ。
【3】
クラウドとは「群衆」という意味だ。アプリケーション開発などの
高度な技術を持った人から、単に空いた時間を有効に使いたい人ま
で、あらゆる背景の人が登録し、まさに群れをなしている。
そこに「こんな仕事をやってくれる人いないかな」と依頼した時に、
「私なら、その仕事、いくらで請け負いますよ」という人がいれば、
そこで仕事のマッチングが行われる。
その逆もできる。「私にはこんな技術がある。誰か買ってくれる人
いませんか」とクラウドに投げかる。「いくらなら買う」という人
が現れると、そこでビジネスのマッチングが行われる。
【4】
企業は、人材を必要とする時、正社員を雇って育てる時間とコスト
をかけず、その時々に必要な労働力をクラウドから好きな時に好き
なだけ調達できるようになった。
働く人にとっても、自分の得意な技術を磨いて、そのスキルを企業
に売り込むことができる。この仕組みが画期的なのは、雇う側と雇
われる側が対等なことだ。
これは人類史上なかったことだ。雇う側と雇われる側の関係がフェ
アになれば、働き方は劇的に変わる。電気や車が発明されたのと同
じレベルの、文化的、社会的な変革をもたらす可能性さえあるのだ。
【5】
2008年、日本で初めてこのクラウドソーシングのサービスを始めた
が、2013年12月現在、当社のサイト登録者数は22万人を超えてい
る。市場が急成長しているのだ。
新規参入の事業者も増えて、認知度が高まり、業界が形作られつつ
ある。業界全体での登録者数は、100万人の大台を超えそうな勢い
だ。爆発的に広がりつつあるのが現状だ。
人々が集まり、群衆の規模が大きくなるほど、威力を発揮するのが
クラウドだ。その膨張はまもなく臨界点に達するはずだ。その時こ
そ、日本人は本当に自由な働き方を手に入れるのだ。
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■■選書コメント
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クラウドソーシング新しいワークスタイルを提唱・解説する本です。
インターネットを介して仕事を受注するクラウドソーシングという
働き方の詳細と、それが社会にもたらす可能性を語ります。
タイトルは、ユニークで魅力的ではありますが、もちろん「早起き
する」とか「会社のそばに住む」など、個人レベルで満員電車を回
避する方法を紹介する本ではありません。
クラウドソーシングという、新しい仕組みの誕生・普及で、仕事の
マッチングが容易になる、フリーランスになってこれを活かせば、
満員電車に乗る必要もなくなるというメッセージです。
著者は、ランサーズという会社の創業者です。とはいえ、ありがち
なPR本ではありません。時間と場所にとらわれない働き方の創出
に対する使命感から書かれています。
この手の本は、個人的な体験に基づく主観的な本も多いのですが、
本書は、業界に身を置いている方だけに、しっかりした論拠と確信、
そして豊富なデータをベースに語っていて、説得力があります。
たしかに、働く上で、時間と場所は大きな制約です。たとえば、首
都圏で通勤時間は、年間500時間を超えるそうです。その時間を、
電車の中で、ボンヤリ過ごしているのです。
通勤時間を仕事に使えば、生産性は格段に改善します。仕事以外に、
レジャーや子育て、介護など、プライベートに充当すれば、もっと
幸せになれるはずです。
若いビジネスパーソンなら、本書の内容が未来の働き方の主流にな
ると思います。中堅の方なら、今の会社でなく、退職後の可能性が
広がります。一読をお奨めします。
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発行元:(株)アンテレクト 藤井孝一 Copyright 1999-2014
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