2014/01/31
まだ「会社」にいるの?「独立前夜」にしておきたいこと
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独立は、誰でもできる
株価や為替相場に振り回されて安定しない経済、ブラック化する会社の増加、そして、そうした会社に自分を削ってまで奉仕することへの疑問。ここで出てくる選択肢が「独立」だ。一般に、会社を辞めても転職せず、自分で仕事を始めることを「独立・起業」とひと括りにしている。しかし、独立と起業は、大きく異なる...
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■今週の選書
■まだ「会社」にいるの?「独立前夜」にしておきたいこと
■山口揚平
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■■選書サマリー
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独立は、誰でもできる
【1】
株価や為替相場に振り回されて安定しない経済、ブラック化する会
社の増加、そして、そうした会社に自分を削ってまで奉仕すること
への疑問。ここで出てくる選択肢が「独立」だ。
一般に、会社を辞めても転職せず、自分で仕事を始めることを「独
立・起業」とひと括りにしている。しかし、独立と起業は、大きく
異なる。
独立とは、1人で食べていくことやその状態のことだ。起業とは、
新しいビジネスを創ることだ。新しいビジネスで、すぐに食べてい
ければいいが、実際は困難だ。
そこで、これまで会社でやってきたことを、既存のネットワークや
知識を使って、一人で生きていける状態、すなわち「独立」を目指
すのだ。
これなら、昔は誰もがやっていたことだ。総務省統計局の調査では、
今から約50年前は約60%の人が自営業者か家族従業者、つまり独
立事業者だったのだ。
今、独立は、選ばれた人や特殊なスキルを持つ人だけの特権と思わ
れている。だが、本来は「向き・不向き」の問題でなく、誰でもで
きる単なるスキル・技術、そして姿勢の問題なのだ。
【2】
会社を辞めるのは一瞬だ。何も考えずに思い切ればいいのだ。問題
は、その後に襲ってくる孤独感との闘いだ。ただ、この孤独も数か
月で解消する。独立した人同士のコミュニティがあるからだ。
それまで孤独を抱えないためのコツは3つある。まず、自分が安定
するまで、前職の同僚などとは会わないことだ。なぜなら、辞める
前の自分と、辞めてからの自分を比べてしまうからだ。
二つ目は「上と比べずに、同じ状況、または下の人を観察する」こ
とだ。世の中には、自分と同じか、それよりもっと孤独な人がいる
ものだ。そういう人たちの入る場所に行くのだ。
3つ目は旅をすることだ。特に、海外に出るのも、孤独をやり過ご
すことに有効だ。海外の地に降り立つと、皆、自由に、そしていい
意味で雑に生きているものだ。
【3】
独立しても安心してやっていけるのは、上位5~10%に入っている
人だ。40%以内でも、所得を下げればやっていけるとは思う。だが、
その場合は、スキルより「いい人」であることのほうが大きい。
独立後の優秀さには「謙虚さ」も含まれる。今まで「あの会社の人
は」で済んでいた評価も、独立したら「あの人は」という評価にな
る。そうなると、最低限の人間性も、大きな評価の判断基準になる。
なお、自分のスキルの程度を知るなら、同僚や上司、後輩に聞いて
みればいい。相手が言いづらそうな顔をしたら、平均以下というこ
とだ。他の分野で独立するか、しばらく会社で研鑽を積むことだ。
【4】
お金はメンタルを左右する大きな要因だ。まずは、無理しない環境
をセットすることだ。独立するつもりなら、住居費と食費、通信・
交際費などの生活固定費を3分の1にする生活を考えることだ。
その際「引っ越すならどこか」「外食割合をどこまで減らせるか」
「新聞、ウェブ有料会員、保険など、解約できる契約は何か」を洗
い出すことだ。
さらに、18ヶ月分の生活費分の貯蓄があるといい。この貯蓄の有無
で、精神的余裕は大きく変わる。また、単に独立して食っていく上
でも、MBAの知識、特に言葉の意味くらいは知っておくべきだ。
特に、ファイナンス、アカウンティング、マーケティング、オペレ
ーション、アドミニストレーション、IT、組織行動学などは、ど
んな職種でもある程度は役に立つはずだ。
これらの知識は、うろ覚えでもいい。その代り、誰に話を聞けばい
いかを知っておくべきだ。不足分を補ってくれる人がいれば、自分
が多くの知識を持っていることと同じ意味になるのだ。
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■■選書コメント
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会社を辞めて食べていく上で必要な考え方を解説します。いわゆる
業を起こす起業でなく、組織に雇われずに食べていく状態を目指す
独立について、その心構えを解説します。
決して、独立のマニュアル本ではありません。著者が、自ら組織か
ら独立した経験と、そこでの分析をベースに繰り広げる起業観や仕
事観が中心です。
とはいえ、その考え方が大変ユニークで参考になります。特に、仕
事観や、信用やお金に対する考え方は、自ら経験しているだけに、
説得力もありますし、勉強になります。
なお、本書は全編、コラムのように軽いタッチで書かれています。
ただし、構成としては、退職前にはじまって、辞めてからの諸注意
という具合に、ある程度、流れに沿って解説されていきます。
一般に、この手の本は、仕事の取り方や、稼ぎ方が中心です。その
点、本書は、独立のメンタル、人間関係、やりがいなどに紙面を割
いている点がユニークです。しかし本当に大事なのはこちらです。
私も、仕事柄、独立した人にたくさん会いますし、自らも経験して
います。それらの経験から、実はこの手のメンタルや人間関係の面
が、とても大きなインパクトを持っていることを実感します。
特に、独立した直後の不安感や孤独感は、経験した人にしかわかり
ません。これを乗り越えられなければ、仕事どころではありません。
このことを事前に予言しておいてくれるのは、ありがたいことです。
このように、本書には、普通の独立本が触れないか、重視していな
いが、重要なことが書いてあります。独立目前の人はもちろん「い
つかは独立」という人にも、一読をお勧めします。
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