2014/08/08
努力不要論
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「努力すれば報われる」は本当か?
「努力すれば報われる」という言葉がある。その言葉の裏には「努力は報われてほしい」という願望が含まれている。実際は、半分は本当だが、半分は美しい虚構だ。まず「半分本当だ」の根拠だが、人は力を出し切って生きているわけではない。少し遊びを残しておかないと、回復に時間がかかり、その間、外敵・外圧から身を守ることも、逃げることもできない...
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■今週の選書
■努力不要論
■中野信子
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■■選書サマリー
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「努力すれば報われる」は本当か?
【1】
「努力すれば報われる」という言葉がある。その言葉の裏には「努
力は報われてほしい」という願望が含まれている。実際は、半分は
本当だが、半分は美しい虚構だ。
まず「半分本当だ」の根拠だが、人は力を出し切って生きているわ
けではない。少し遊びを残しておかないと、回復に時間がかかり、
その間、外敵・外圧から身を守ることも、逃げることもできない。
これでは、自分を危険な状態に晒してしまう。だから、自分を守る
ために余力を残している。自動的に働く生物に備えつけられたセキ
ュリティ機能だ。
中でも、脳はサイズに比べて、酸素要求量も栄養の要求量も飛び抜
けて大きい。だから、脳は考えないで済むことは考えないし、覚え
ずに済むことは覚えないようにする。
しかし、これを放置しておくと、やがて本当に考えられない脳にな
ってしまう。負荷がかからないと、どんどん機能が錆びついてしま
うわけだ。
筋肉も同じだ。あるレベルのパフォーマンスを実現したいと思うな
ら、相応の負荷をかけるべきだ。その負荷を「努力」という。努力
しないと発揮できるパフォーマンスはどんどん落ちていくのだ。
逆に、適切な努力をした人は、やればやった分だけ力が引き出せる。
自分が持っている可能性を最大限まで生かせる身体に近づいていく
のだ。
【2】
次に「美しいウソ」の根拠だ。たとえば、月一回まったく運動しな
い、そもそも走ることが嫌いな人が、努力してウサイン・ボルトの
ように速く走れるようになるだろうか?
確かに努力すれば、その人の持つ可能性の最大値まではスピードア
ップできる。しかし、その限界を突破して、ウサイン・ボルトのよ
うに優れた記録を残せるほど走れるかといえば、まず不可能だ。
アスリートとして成功するには、アスリート向きの体で生まれたか
どうかが99%だ。つまり、才能は遺伝的に決まっているのだ。「努
力は報われる」はウソなのだ。
【3】
もちろん、優秀な素質があって、努力もしているのに報われないと
いうケースもある。たとえば、ドラフト1位指名の期待のエース候
補が、数回しか登板がなく、不発に終わってしまうようなケースだ。
これには、2つの原因が考えられる。まず、自分は「努力をしてい
る」と思っていても、単に思い込んでいるだけだったというケース
だ。実際には努力をしているわけではなかったというケースだ。
筋量を増やしたくてトレーニングをしたいなら、普通は負荷をかけ
ればいい。よほどの代謝異常がなければ、ほとんどの人は負荷をか
けた分、筋量は増えるはずだ。
ところが「いくら筋トレをしていても、一向に増えない」と訴える
人がいる。この場合は、トレーニングをしているようでいて、全然
負荷がかかっていない可能性がある。
自分の最大筋力よりも軽い負荷で練習しても筋肉はつかず、むしろ
痩せることさえある。ポテンシャルがあって、努力しているのに、
結果が出ない人は、こんな間違った努力をしている可能性がある。
【4】
もう一つ「努力の方向が間違っている」あるいは「無駄な努力をし
ている」ケースだ。たとえば、元プロ野球選手の清原選手は、現役
時代、すでに備わった実力で十分活躍できた。
それなのに、もっと打ちたいと、余計な筋トレをしてしまい、肩が
硬くなりケガをしがちになり、ポテンシャルを十分に発揮できなか
ったそうだ。これが間違った努力だ。
がむしゃらに努力をすればいいというのは、間違いだ。同じ努力を
するなら、正しい努力をするべきだ。自分が何をしたいのか、その
ために何をすればいいのか。それを知る努力こそが必要なのだ。
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■■選書コメント
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脳科学者が、新しい生き方、働き方のヒントを教えてくれます。特
に、「努力」という言葉の持つ、心理的なワナを解き明かし、無意
味な努力を避け、搾取されることを回避します。
一般に「努力は報われる」といいます。その言葉に熱くなる人もい
れば、白々しい気持ちになる人もいると思います。実際のところ、
どうなのでしょうか?
本書は、メディアでもおなじみ、注目の脳科学者が、専門家の立場
から、世にはびこる「努力信仰」のウソとホントにメスを入れ、解
き明かしてくれます。
「努力は報われる」「努力はウソをつかない」といいます。しかし、
実際には、その多くは、報われずに終わっています。結局、才能や
運のある人には、かなわないことが多いのです。
それでも、努力を信仰してしまうのは、そのほうが、人を動かす上
で都合がいいからです。本書では、そんな努力盲信の嘘を、脳科学
的見地から見破ります。
もちろん、すべての努力が無駄だという「努力否定論」ではありま
せん。それでは、身も蓋もありませんし、単なる「怠惰の勧め」に
なってしまいます。著者は、怠惰を勧めるわけではありません。
「努力するなら、賢く努力をせよ」というのが著者の言い分です。
しかし、その「賢い努力」の見極めが問題です。それは、人による
からです。本書は、そのヒントも示してくれます。
学生時代は「勉強」「スポーツ」「就活」、社会に出てからは「仕
事」に「婚活」と、それなりに努力してきた人が多いと思います。
「それなのに、今一つ報われていない」と考える人にお勧めです。
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