2014/09/19
ファーストクラスの心配り
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おもてなしの原点
同じようなことを言っても、好かれる人と嫌われる人がいる。誰もが良かれと思って行動しているのに評価が分かれてしまう。好かれる人は、同時に接客の鉄人なのだ。接客で大切な"おもてなし"とは、相手を気持ちよくする応対だ。たとえば、暗くした機内で他のお客さまが休んでいる中、誰かが、シェイドを開けて明るい外を眺めていたとする。周りは迷惑顔だ...
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■今週の選書
■ファーストクラスの心配り
■黒木安馬
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■■選書サマリー
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おもてなしの原点
【1】
同じようなことを言っても、好かれる人と嫌われる人がいる。誰も
が良かれと思って行動しているのに評価が分かれてしまう。好かれ
る人は、同時に接客の鉄人なのだ。
接客で大切な"おもてなし"とは、相手を気持ちよくする応対だ。
たとえば、暗くした機内で他のお客さまが休んでいる中、誰かが、
シェイドを開けて明るい外を眺めていたとする。周りは迷惑顔だ。
このとき、仮にCAが「お閉めいただけますでしょうか」と言えば、
丁寧に頼んでも、この言葉の根底にあるのは「閉めてください」と
いう命令だ。お客さまは、不快感を味わうことになる。
スマートなCAなら「まぶしくございませんか。お飲み物をお持ち
しましょうか」と婉曲にアプローチする。すると、お客さまは「周
りに迷惑だ」と気づき、自発的に窓を閉めてくれる。
相手を攻撃するだけのドッジボールをするか、受け取やすいように
優しく投げて、投げ返してもらえるキャッチボールをするのか。わ
ずかな態度の違いだが、好かれる人、嫌われる人に分かれるのだ。
【2】
ベテランCAの素晴らしいサービスは、お客さまに感心されるが、
それが、賞賛にまで変わることがある。それは"Only for You"の
サービスをしたときだ。
たとえば「今日は、結婚記念日なんです」と話しかけてきた老夫婦
に「おめでとうございます!」と、機長以下全員の寄せ書きを、周り
のお客様にも聞こえるように渡し、拍手を誘うような演出などだ。
一人ひとりのお客さまを見守って、その人のためだけに心遣いを見
せると、お客さまは心を揺さぶられる。特に、いつもそつのない対
応をするCAが、特別な心遣いをすると大きな感動を生むのだ。
【3】
「○○さま、ご利用ありがとうございます」と、必ず相手の名前を
会話の中に入れて呼びかける「バイ・ネーム」は想像以上に大きな
影響を及ぼす。
なぜなら、名前で呼ぶ行為は、相手に対する関心や親しみの深さを
表すからだ。さらに「私の名前を覚えている」すなわち「大切にさ
れている」といった満足も加わる。だから、効果が大きいのだ。
もちろん、数あるお客さまの名前を正確に把握することは簡単では
ない。だが、知恵を絞ればやり方はいろいろあるはずだ。たとえば、
顧客カードで情報を集めたり、接客時にさりげなく聞き出すなどだ。
さらに、名前と共に外見的特注をメモするなども有効だ。こうして
名前がわかったら「○○様、いつもありがとうございます」と出迎
える。これができれば、大きな満足に変わるはずだ。
【4】
サービスや接客において最も大切なのは「スマートな気配り」より
も「素朴な心配り」だ。ところで、気配りと心配りは、どのように
違うのか。
たとえば、パーティー会場から、道に詳しくない友人が一足先に帰
るとする。外を見ると雨だ。こんな時、傘を貸し、駅までの行き方
を説明してあげる。これは「気配り」だ。
これが、もし田舎から出てきた両親だったらどうか。雨に濡れない
か、慣れない場所で道に迷わないかと心配になり、きっと傘をさし
て駅まで送り届けるはずだ。これが「心配り」だ。
つまり、「心配り」とは、自分の家族を「心配」するような深い愛
情で、相手のことを気にかけることなのだ。この心配りこそが、サ
ービスでは、最も大切なのだ。
実際に、高齢のお客さまに、座席の使い方やトイレ、搭乗ゲートな
どの案内を、それこそ自分の両親にするようにしているCAがいた。
あまりスマートではなかったが、感謝されていた。
このように、「心配り」をすることで「そこまでやってくれるのか」
と思っていただくことができる。「プラスαのおせっかい」、その
「心配り」が、お客さまに伝わた時に、感動が生まれるのだ。
・・・明日につづく
・・・明日の、総集編+書評につづく
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■■選書コメント
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人に好かれる、喜ばれる対人関係の達人を目指す、おもてなしの本
です。ちょっとした物の言い方や、行動の違いが、人間関係を大き
く改善します。
大事なことは、心配りです。プラスαのおせっかいが、相手を気持
ちよくさせ、感動を与えることさえできます。そんな心配りを、わ
かりやすく教えてくれます。
著者は、JAL国際線の客室乗務員として世界の空を飛び、雲の上
で30年2万時間、地球を860周した方です。ファーストクラスのお
客さまを対応しながら培ったサービスの極意を教えます。
たとえば、本書には「スマートな気配り」より「素朴な心配り」と
あります。サービスというと、マニュアルや経験を想像しがちです
が、感動を生むのは、それらを超越した心配りと著者は言います。
確かに、自分にできるベストを尽くして、喜んでいただくのがサー
ビスの神髄です。そういえば、豪雪で閉ざされた談合坂SAでヤマ
ザキパンの運転手が、パンを配って賞賛され、株価も上がりました。
実際、CAの世界でも、高評価を得るのは新人だそうです。ぎこち
なくても「喜んでいただこう」という真摯な思いが心を動かすので
す。本書には、そんなおもてなしの本質がつづられます。
もちろん、それはテクニックの裏付けがあってこそです。そこにも
本書は触れていきます。「1つ聞いて1つ褒める」「共感・質問・
復唱」「アイコンタクトから接客スタート」など多岐にわたります。
サービス業に従事されている方や、これから従事される予定の方は、
本書から接客の極意が学べます。他に「人間関係をもっと良くした
い」と考える方にお勧めします。
★本書の詳細、お買い求めは、
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