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2018/02/23
遠ざけの法則
「愛される」ための「嫌われる」勇気
会社や店、商品は、顧客を選んでいる。「選ぶ」という表現が違うなら、顧客から「選ばれて」いる。しかも、選ばれたい顧客に選ばれている。「相思相愛」という言葉がある。お互い、本当に理解し合った同士が創り上げる強固な関係のことだ。この時「お互いが」という部分が味噌だ。一方通行ではないのだ...
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■今週の選書
■遠ざけの法則
■中山マコト
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■■選書サマリー
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「愛される」ための「嫌われる」勇気
【1】
会社や店、商品は、顧客を選んでいる。「選ぶ」という表現が違う
なら、顧客から「選ばれて」いる。しかも、選ばれたい顧客に選ば
れている。
「相思相愛」という言葉がある。お互い、本当に理解し合った同士
が創り上げる強固な関係のことだ。この時「お互いが」という部分
が味噌だ。一方通行ではないのだ。
「選び、選ばれ」の世界。これこそがブランドだ。これが実現する
と「もめ事」が起こらなくなる。「あなたを信じる」と言う人だけ
が集まるから、値引きも、クレームも起こらない。
それどころか「売ってください!」となる。「選び、選ばれる」には、
いくつもの切り口がある。選ばれるには、選ばれるに足る理由や根
拠があるのだ。
たとえば「好かれる」には「嫌われる」ことも必要だ。こだわり、
尖り、ぶれないからこそ、反作用として「嫌い」が生まれるのだ。
これは素晴らしいことなのだ。
【2】
店なら「たくさんの顧客に来てほしい」と思う。商品やサービスを
提供する会社なら「多くの人に利用してほしい」と思う。理解でき
るが、むやみに引き寄せればいいものではない。
入るべき店を間違うことは、顧客にとっても、店にとっても不幸だ。
「辛い料理しかない店」に「辛いものが苦手な人」が入ったら、客
は食事ができない。「最初に言ってほしかった」と落胆する。
店も「当店はこういうコンセプトで」と説明をしなければならない。
「食べずに帰る」と言われれば、頭を下げなければならない。その
時間や労力は無駄だ。
双方に利がないミスマッチは、避けるべきだ。それには、誰彼構わ
ず引き寄せることをやめることだ。共感してくれる人だけを引き寄
せることができれば、ミスマッチの悲劇は起こらない。
【3】
どうすれば共感してくれる人だけを引き寄せ、そうでない人を遠ざ
けることができるのか。大切なことは「何に共感してもらいたいの
か」をきちんと規定することだ。
共感とは何もないところから自然発生的に湧いてくる感情ではな
い。提示されている物に生まれる感情だ。ポリシーや会社の理念、
コンセプトなどが提示されなければ、共感は生まれようがない。
「伝えたいものは何か」「ポリシーや理念、コンセプトはきちんと
言語化あるいは視覚化されているか」「自分たちの強み、提供する
商品・サービスの特徴、差別化策は整理できているか」
「伝えたいこと」が、きちんと伝わるように、時には客観的な視点
も交えながら、必要な情報をまとめることだ。「万人受け」を狙う
必要はない。共感してくれる人だけが共感してくれれば良いのだ。
【4】
ポリシーやコンセプトを提示した時の反応は、「共感」「無関心」、
そして「アンチ」の3つだ。「自分は苦手」「利用したくない」な
ど「受け入れがたい」という感情を抱く人がいるのだ。
考え抜いたキャッチフレーズやポリシーを否定されるのは悲しい。
だが、アンチを炙り出すことが大事だ。最初に特徴を明示すれば、
面倒なトラブルは避けられる。言わば「踏み絵」だ。
もろもろ知った上で「それでも良い」と思った人は買い、「嫌だ」
と思った人には去ってもらう。このフィルターをかけることが「踏
み絵」の役割だ。
お金を払ったり、サービスを利用したりする前に去ってもらうのだ。
これが、トラブルを未然に防ぐ上で重要だ。「万人受け」はアンチ
が出にくい代わりに共感も得にくい。踏み絵としては弱いのだ。
「唯一無二」「エッジが効いた」「ターゲットを絞り込んだ」もの
は「熱狂的ファン」と「アンチ」を同時に生み出す。だからこそ、
「共感する人」だけを引き寄せ、「そうでない人」を遠ざけるのだ。
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■■選書コメント
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ビジネスを成功に導く発想法です。万人受けでなく、熱狂的なファ
ンに支持されるビジネスの作り方を教えます。「愛される」には「嫌
われる」必要がある、そう著者は言います。
会社の側が、まず不要な顧客を排除することで、本当に自分を信じ、
支持してくれる顧客を引き寄せます。結果、お客様に選ばれ、愛さ
れるビジネスができ上がります。本書はその方法を教えてくれます。
すべての人にいい顔をする代わりに、本当に求めている人に他の追
随を許さない商品やサービスを提供するからこそ、ビジネスは成功し
ます。そのやり方を、事例を紹介しながら、解説してくれます。
顧客を選べば、その分減ってしまいそうです。むしろ、お客様に合
わせて、より幅広くお客さまを取ることが、ビジネスの成功につな
がるような気がします。
しかし、現実は違います。実際、多くの成功事例が、顧客を選別す
ることで成功しています。私の周りでも「何でも屋」ほど失敗して
います。成功するのは、顧客を絞りに絞った「専門家」です。
そんな成功事例を色々と紹介しながら、解説するのが本書です。は
じめにメカニズムを紹介した上で「視覚で分ける」「敵を作る」「キ
ャッチフレーズで分ける」など様々な手法を教えてくれます。
登場する事例は「レクサス」から「理系ミステリー」「蒙古タンメ
ン中本」まで事業規模も業種業態も多岐にわたりますから、色々な
視点から考察することができます。
というわけで、小さな会社の経営者や幹部社員、商品企画や営業、
マーケティングに関わる仕事をしている人はもちろん、すべてのビ
ジネスパーソンにお勧めします。
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