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2019/12/06
アンチ整理術
アンチ整理術
整理・整頓は不要だ。精神的効果しかないからだ。そんなことをする時間があるなら、仕事を前進させることに使う。無駄なことに時間を使うことは馬鹿げている。整理・整頓すれば「仕事ができるようになる」「発想が生まれる」「効率を高める」などと余計な効果を期待する人が多い。しかし、物理的にも、科学的にもそんな効果はない...
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■今週の選書
■アンチ整理術
■森博嗣
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■■選書サマリー
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アンチ整理術
【1】
整理・整頓は不要だ。精神的効果しかないからだ。そんなことをす
る時間があるなら、仕事を前進させることに使う。無駄なことに時
間を使うことは馬鹿げている。
整理・整頓すれば「仕事ができるようになる」「発想が生まれる」
「効率を高める」などと余計な効果を期待する人が多い。しかし、
物理的にも、科学的にもそんな効果はない。
「片づけながら仕事をすれば、整理・整頓は不要だ」という考え方
がある。これならいつも片づいている状態になる。多くの職場、作
業場が、この手の管理を奨励している。
だが、それが有効なのは多数の人間が入れ替わり立ち代わり、その
場所を使う場合だ。このような共有スペースは、物が整理・整頓さ
れていないと混乱する。だから、非効率になる。
だが、一人で作業をする現場は、おおむね散らかっているものだ。
一人で仕事をしていれば、何がどこにあるのか、だいたい本人が把
握できるからだ。
出した道具をいちいち片づけないのは、すぐに使うからだ。資料が
積み重なるのも、上にあるものほど新しく、また使うものだと意識
をしているからだ。この状態が自分にとって効率的なのだ。
片づけている暇などない。乗っている時ほど、どんどん作業が進む。
現場は凄まじい状態になる。散らかっても作業が進むなら、それが
正解なのだ。
【2】
「なぜ、整理・整頓は必要か」を、いつも意識することだ。「何の
ためにするのか」を自問するのだ。よく「作業の効率がアップする」
という。だが、疑わしいものだ。
整理・整頓には本当に効果があるのかを各人が確認するべきだ。な
にしろ、整理・整頓には、大きなエネルギーを要するからだ。時に
は、経済的負担もある。
もちろん、整理・整頓の精神的な効果が有効な場合がある。特に、
若いうちには、目の前の道が塞がるような感覚に陥ることがある。
そういう時に、部屋を片づけてみるのは効くものだ。
おそらく、問題解決能力は、以前から備わっているのだ。それが片
づけることで、気持ちが落ち着き、冷静な観察力を蘇らせ、本来の
自分に戻れるのだ。その結果「やってみるか」となるのだ。
【3】
片付ければイライラしないでいられるという効果もある。だから、
イライラしたくない人は、整理・整頓に時間を使えば良い。散らか
っていても気にならない人は、その時々で考えればいい。
問題は、イライラすることで、どれくらい悪い事態に陥るのかとい
うことだ。「集中できないからミスをする」とか「考えが進まない」
など、作業性が低下するなら、整理・整頓する効果はあるといえる。
だが、イライラしても作業に影響しないという人もいる。そのほう
が、緊張感があって作業に適していることもある。イライラの反対
は、ゆったり、のんびりだ。これは、むしろ作業に向かない状態だ。
【4】
自分の子供に「片づけなさい」「綺麗にしなさい」と言って叱る時
がある。そういう時は、それより大事なことはないか考えるべきだ。
もしかしたら、整理・整頓すべきは自分の精神のほうかも知れない。
感情には、見境がない。カチンときて「わずらわしい!」と叱るこ
ともある。自分に余裕がない時や、他のことでイライラしている時
はなおさらだ。
いつも気持ちを整理・整頓しておくことだ。「大事なことは何か」
「それほどでもないことに囚われていないか」を確認するのだ。大
事なことを忘れたり、小さなことでカッとすることを防げるはずだ。
整理・整頓は、自分の外側でなく、まず自分の心の中でするべきだ。
これが、最も効果があるはずだ。日頃から、心が散らかっていない
か、とチェックをすることを忘れるべきでないのだ。
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■■選書コメント
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●今週の選書について
整理・整頓を考える本です。タイトルにあるように整理に対する
アンチテーゼになっています。片付けが苦手な人や嫌いな人には、
共感できる内容だと思います。
一般に、整理・整頓することで仕事の効率が上がり、成果が出ると
されています。私もそう思っています。だからこそ、整理術の本が
書店にあふれているのだと思います。
しかし、著者は「物よりも生き方が散らかっていないほうが大事」
といいます。それどころか、ユニークな着想は散らかった場所から
生まれるとさえ言います。そんな逆説的な知的生産のヒントです。
タイトルから「整理術」に関する本と思われたかも知れません。実
際は、どちらかと言うと整理・整頓をテーマにしたエッセイです。
いわゆるノウハウのたぐいは出てきません。
著者自身も、活動場所は散らかり放題で、整理・整頓には懐疑的だ
そうです。本書の執筆も、最初は乗り気でなかったようです。ただ、
需要があるなら、ということで引き受けることにしたようです。
はじめに、整理・整頓に関する著者の見解が述べられています。次
いで思考や人間関係、自分自身の整理・整頓や創作上の整理など、
あらゆる分野の整理・整頓を解説します。
出来上がった本書は、多くのクリエイターに影響を与え続ける人気
作家らしいユニークな考察が散りばめられ、様々な示唆を与えてく
れる内容になっています。
整理・整頓が苦手な人、成功するには整理整頓が大事だと考える人
はもちろん、自分を変えたい人、さらに成長したい人など、整理を
手がかりに自分のことを考えてみたい人におすすめです。
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