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2020/02/07
FULL POWER

意志の力は役に立たない
 
意志の力を振り絞って、悪い習慣を断ち切ろうとしても、いつものパターンに戻ってしまうものだ。何度も失敗を繰り返すうちに「目標が達成ができないのは自分が悪いからだと」と思いがちだ。「自分は、目標達成に必要なガッツ、心の強さ、そして意志力などを持ち合わせていない」という具合だ。だが、その評価は見当違いだ。目標達成できないのは、自分のせいではない...

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■今週の選書
■FULL POWER　科学が証明した自分を変える最強戦略
■ベンジャミン・ハーディ
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■■選書サマリー　　
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意志の力は役に立たない
 
【１】
 
意志の力を振り絞って、悪い習慣を断ち切ろうとしても、いつもの
パターンに戻ってしまうものだ。何度も失敗を繰り返すうちに「目
標が達成ができないのは自分が悪いからだと」と思いがちだ。
 
「自分は、目標達成に必要なガッツ、心の強さ、そして意志力など
を持ち合わせていない」という具合だ。だが、その評価は見当違い
だ。目標達成できないのは、自分のせいではない。
 
たとえば「ダイエット」では、がんばっている人ほど、体重を減ら
すのに苦労してしまう。肥満の問題は「遺伝」や「性格」「意志の
弱さ」「悪習慣」など、様々な側面から説明されている。
 
だが、肥満が伝染病のように蔓延しているのは、そんなことが原因
ではない。本当の原因は、急激に変化している「環境」のほうにあ
るのだ。
 
【２】
 
技術の向上は、飛躍的なスピードで進んでいる。だが、この環境変
化に適応できている人間は、ほとんどいない。多くの人が、急激な
環境変化の犠牲になっているのだ。
 
新しいルールに則った世界で自分を律することができず、様々な中
毒に屈している。テクノロジー中毒、炭水化物や糖分などを多く含
む食べ物やカフェイン、仕事などの刺激物に中毒している。
 
現代社会においては、依存状態が当たり前なのだ。そんな自分の人
生をコントロールしたいなら意志力に頼ってはいけない。私たちを
取り巻く環境には障壁がありすぎるからだ。
 
文化的には受け入れられている依存症を克服するために、さらなる
意志を発揮する必要はない。必要なのは、環境を自分で作り出し、
それをコントロールことだ。
 
【３】
 
環境デザインの視点に立つべきだ。つまり成功せざるを得ない状況
を作り出すことだ。仕事に集中したいなら「気を散らせるもの」は、
物理的にも、デジタル的にも仕事環境から排除するべきだ。
 
環境デザインを重視する人は、人の内と外の世界は明確な境界線で
分かれているわけではないことを理解している。たとえば付き合う
人を変えれば、自分の考えや感情も変わる。
 
こうした内面的変化によって自分の価値観や願望が変わる。次いで、
自分の外の環境をさらに変える必要性が出てくる。つまり、環境を
変えることで、自分の姿を積極的に形作ることができるのだ。
 
自分の世界観は、受け取る情報、付き合う人たち、訪れる場所、経
験することなど外部から入ってくるもので変わってくる。だから、
それを自分の手で積極的に形作っていくべきなのだ。
 
とは言え、ほとんどの人が自分の環境に対しては、何も考えず、反
射的に行動している。そのため、効率の悪い行動や被害者マインド
に続く世界観を無意識に作り出してしまうのだ。
 
【４】
 
目的を持って環境を作れば、飛躍的かつ劇的に変化できる。成功の
秘訣は「大変な努力を要する状況」を作ることだ。そして、注意を
払いながら、そこに適応していくことだ。
 
進化論で有名なダーウィンは「生き残るのは、最も強い種でも、賢
い種でもない。最も変化に適応できた種だ」そして、人間の適応能
力は非常に高い。自分が選んだ環境に適応することができるのだ。
 
別の環境への移行がどれほど大変でも、その環境がどれほどひどい
ものであっても、人には適応する能力がある。ネガティブな環境に
適応する代わりに、自分が選んだ環境に適応することもできのだ。
 
人は、大きくも、小さくも変われる。人間は、凝り固まって孤立し
た、変化のない存在ではない。心理的、知的、感情的に、内面にあ
る「育てられる部分」は「生来の本質」よりずっと優れているのだ。
 
そして、自分で育てられる部分に対する全責任は、自分自身にある。
環境を作り上げる戦略を身につけて「なりたい自分」になるべく、
自分を導くべきなのだ。
 
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■■選書コメント
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自己啓発書です。原題は「意志力など役に立たない」です。「自分
を変える上で意志力は役に立たない」とし、代わりに「環境を整え
ること」の有効性とその方法を紹介します。
 
個人的な体験にもとづくものではありません。組織心理学者が、神
経科学から経済理論まで、様々な科学の成果と史実、そして膨大な
実績を分析して導き出した行動能力の新説です。
 
人間の能力に関する画期的な理論として、アメリカで発売された後、
すぐに重版されました。日本でも話題になりました。自分を変える
科学的な方法の指南書と言えます。
 
能力は、才能や出自、まして意志の強さで決まるものではありませ
ん。置かれた状況、すなわち環境で決まるものです。たとえば、経
済的ステータスは住所で、体重は友達の体重で決まると言います。
 
また、引越したことで７歳児の識字能力と睡眠時間が変化した例が
紹介されます。「孟母三遷の教え」と言いますが、本書はその有効
性を科学的に裏付けています。
 
さらに「どんな環境が自分をふさわしい人間に変えるのか」「どう
すれば、そんな環境が作り出せるのか」など、具体的な方法にも踏
み込みます。成功の洞察が詰まっています。
 
読めば、従来の成功法則が間違った俗説であることがわかるはずで
す。そして、正しい一歩が踏み出せるはずです。その結果、人生が
大きく変わるはずです。
 
私もそうですが、そろそろ年初の誓いが怪しくなってきた人も少な
くないと思います。そのたびに、自分の意思の弱さを呪うのでなく、
悪いスパイラルを断ち切る方法を知りたい人におすすめします。
 
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『まぐまぐ大賞2019』（ビジネス部門）第３位選出されました
 
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