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2020/07/10
感情はコントロールしなくていい
「ネガティブな気持ち」を味方にする方法
ネガティブな感情は自分を守る情報だ。ところがネガティブな感情を毛嫌いしたり、コントロールしたりしようとして四苦八苦する人がいる。あるいは、必死に耐えようとする人もいる。だが、ネガティブな感情にさらされ続けると、感情そのものに鈍感になってしまう。そうなるとポジティブな感情を感じる心さえ乏しくなってしまう...
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■今週の選書
■感情はコントロールしなくていい
■石原加受子
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■■選書サマリー
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「ネガティブな気持ち」を味方にする方法
【1】
ネガティブな感情は自分を守る情報だ。ところがネガティブな感情
を毛嫌いしたり、コントロールしたりしようとして四苦八苦する人
がいる。あるいは、必死に耐えようとする人もいる。
だが、ネガティブな感情にさらされ続けると、感情そのものに鈍感
になってしまう。そうなるとポジティブな感情を感じる心さえ乏し
くなってしまう。
感情はネガティブであれポジティブであれ、理由なしに起きること
はない。理由があるから、感情は起こるのだ。つまり、感情は自分
の問題点を見つけ出すツールといえるのだ。
だから「感情を抑えたり、コントロールする」ことは間違っている。
自分にとって貴重な情報と考えるべきだ。感情には「目的」がある。
目的達成のために無意識に怒りという感情を使うことさえあるのだ。
【2】
気づいていてもいなくても、誰もが社会から孤立することを恐れて
いる。人は誰しも「誰かと一緒にいたい」「どこかに所属していた
い」という欲求を持っているものなのだ。
では、人と一緒にいればそれだけで満たされるかといえば、そうで
もない。なぜなら、人には自尊心や自負心があるからだ。それを満
たそうとすることを「承認欲求」と呼ぶのだ。
この「承認欲求」は「他者承認欲求」と「自己承認欲求」に分けら
れる。「他者承認欲求」は他者に承認を求めるため、常に自分を認
めてくれる「他者の存在」が必要だ。
一方「自己承認欲求」は、自分で自分のことを「価値ある存在だ」
と認めることだ。他者に依拠していないため、他者の存在を必要と
しない。
だが、現代社会の風潮は、競い合いが激化し、心の豊かさよりも地
位や肩書き、お金、外見などで他の人より優位に立つことを目指し
ている。
その結果「わかってほしい」「認めてほしい」「人より秀でていた
い」と「他者承認」ばかりを追い求めがちだ。自分で自分を認める
ことができない人が圧倒的多数なのだ。
【3】
「他者承認欲求」を抱きながら、人とポジティブに関われず、評価
もされなければ、満足感や充実感や幸福感といったポジティブな感
情を感じる感度は阻害されてしまう。
それでも「孤独になりたくない」「無視されるのが怖い」「自分の
価値を認めてもらいたい」「自分を評価してもらいたい」という思
いに囚われているとやっかいだ。
自分が学んでいる方法で、人と関わろうとするからだ。それが、た
とえネガティブな関わり方でも、少なくとも反応してくれる相手で
さえあれば「孤独」を回避できる。
ネガティブな関係でも、相手が自分に応じてくれれば「見捨てられ
ていない」という安心感が得られる。たとえいがみ合っていても、
優位に立てる時があれば、他者承認欲求が満たされた気分になれる。
【4】
長年の心理療法を通して、独自の視点から「自分中心」「他者中心」
という捉え方で心のメカニズムを語ることを「自分中心心理学」と
いう。
両者の決定的な違いは、文字通り「自分を中心にした生き方」と「他
者を中心とした生き方」だ。他者中心であればあるほど、物事を判
断する尺度は外側に置かれる。
そのため、自分で自分を認められなくなっていく。物事を自分で決
めたり、選択できなくなったりなるのだ。誰かが、その基準を示し
てくれないと自信がもてないのだ。
そんなネガティブな意識は、どんどんネガティブな感情を生成する。
やがて、それを他者にぶつけずにはいられなくなる。これが怒りの
正体だ。怒りは「他者中心」の人たちの専売特許なのだ。
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■■選書コメント
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自分の感情とのかかわり方です。「感情は人生を好転させる心のサ
イン」と考え、それを見逃さず、自分のために利用する方法を教え
てくれます。
現代社会においては、感情を表に出すことは歓迎されません。堪え
たり、コントーロールすることが、クールで良識的な大人とされて
います。しかし、そうすることで感情に鈍感になってしまいます。
大事なことは、自分の感情の意味を知り、貴重な情報源として活用
することだと著者は言います。その方法を教えてくれます。人生を
充実させる「感情のトリセツ」と言えます。
ストレスフルな時代です。誰もが、怒り、焦り、不安、我慢などの
ネガティブな感情にさいなまれています。著者は、これらをすべて
「人生を好転させるサイン」とポジティブに捉えます。
本書では、そうした怒り、我慢、競争心、見栄といったネガティブ
な感情ごとに章を割き、その意味と関わり方を考えていきます。た
とえば、怒りは、他者だけでなく、自分も傷つける感情と言います。
そのことを理解した上で、怒りの原因や理由をじっくりと探ります。
そうすることで、怒りを解消していくべきと言います。その行動が
自分を愛することにもつながります。
このように、ネガティブな感情を、自分を守るため、愛するための
メッセージとして受けとめ、それを味方にする方法を教えてくれま
す。読めば自分のことをもっと好きになれるはずです。
怒りやすい人、我慢してイライラしがちな人、他人と比べて焦って
いる人、すぐに不安になる人はもちろん、「感情は、表に出さずに
抑えるべきだ」と思ってきた人は読むべき一冊です。
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『まぐまぐ大賞2019』(ビジネス部門)第3位選ばれました
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