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2021/01/08
本には読む順番がある
なぜ「読む順番」が大切なのか?
物事には順番がある。何かを学ぶにしても、仕事をするにも、順番が大事だ。ところが、こと読書に関しては、なぜかこの真理が忘れられがちだ。最初に読むべき本、少し慣れてきたら読んでみる本、基礎がしっかりできて余裕ができた上で、最終的に読むべき本など、本によって色々だ...
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■今週の選書
■本には読む順番がある
■齋藤孝
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■■選書サマリー
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なぜ「読む順番」が大切なのか?
【1】
物事には順番がある。何かを学ぶにしても、仕事をするにも、順番
が大事だ。ところが、こと読書に関しては、なぜかこの真理が忘れ
られがちだ。
最初に読むべき本、少し慣れてきたら読んでみる本、基礎がしっか
りできて余裕ができた上で、最終的に読むべき本など、本によって
色々だ。
ところが、これを理解せず、最初に誤った1冊を手にしてしまった
ために、理解できずに挫折したという人が少なくない。あるいは、
どんどんおかしな方向に読書を進めてしまうこともある。
順番とは、言い換えれば一種の「型」だ。スポーツや武道でも「型」
が重視されている。良い選手、一流の選手ほど基礎がしっかりとし
ていて「型」を身につけている。
読書も同じように「型」がある。たくさんの本を読破し、しかも、
それらの知識がしっかりと身についている人は、例外なく読書の
「型」を身につけているものなのだ。
【2】
「本を読んでも、なかなか頭に入らない」あるいは「けっこう本を
読んでいるつもりなのに、体系的に知識を積み重ねられない」とい
う人は少なくない。
そういう人は、多くの場合、正しい本を選んでいない。それが原因
で内容が身につかないのだ。本には読む順番があるのだ。その順番
を間違えて読んでいる人が多いのだ。
いきなりマルクスの『資本論』を読んでも、理解できる人はほとん
どいない。これが『資本論』の入門書や、新書などの解説本を読ん
だ後に読めば、理解できる。
そして、資本論がどんな内容か、何を目指して書かれているか、大
きな方向性、ベクトルがわかるのだ。難解な本は暗闇と同じで、い
きなり飛び込んでもポイントもわからず、読み進め方もわからない。
まずは、入門書などで用語の意味や本の主旨、大まかな構成などを
知っておくべきだ。一筋の明かりがあれば、それを目指して進んで
いくことができるのだ。
【3】
ガイドブック的な本を最初に読んで、頭の中に"知性の地図"を描
くことだ。どんな時代に、どんな人物が、どんな本を書いていたの
か。思想や文学の流れの中で、どんな位置にあったのか。
全体がわかる地図があれば迷うこともない。「この人の本をこれだ
け読んだから、次はこの人の本を読もう」という風に、興味のつな
がりの中で読書が広がり、知性の視野と地平も広がっていくのだ。
どこにどんな道があるかわからずに進むのと、大まかでも道がどの
ように走り、つながっているのかわかっているのとでは、進むスピ
ードは雲泥の差が出てく。思想哲学書に関しては、特にそうだ。
幸い、入門書、ガイド本はたくさん出ている。単行本でも各テーマ
で出ている。最近では漫画になっていて、より読みやすくまとめら
れている。自分に合ったものを大いに活用すべきだ。
【4】
これに対して、小説については少し違う。要約を読んでしまうと、
内容がわかってしまい、せっかくの面白さが半減してしまうからだ。
要約本は有効だが、小説に関しては一長一短ある。
まったく知らないと興味も湧かない。かといって結末まで知らされ
てしまえば興味を失ってしまう。何より、最後の結末を楽しみに読
み進めるのが、小説の醍醐味だ。
小説に関する良い要約や解説は、興味を持たせつつ、その先どうな
る?結末は?と思わせるものだ。文学に関してはストーリーより、
クライマックスシーンを抜粋して紹介する方が良いのだ。
文学のクライマックスシーンは、作家の渾身のものだ。そこに読者
は心を強く揺さぶられる。そのシーンの一部を知るだけでも、読ん
でみたいという気持ちを強く引き起こしてくれるはずだ。
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■■選書コメント
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本の読み方を教える本です。特に、読む順番の大切さとその方法が
わかります。物事には順番があり、読書についても同じです。それ
なのに、このことに触れることはあまりありませんでした。
そのため、最初に難解過ぎる本を手にしてしまい、内容がまったく
理解できないまま挫折、その分野に対する関心そのものをなくす人
が少なからずいます。もったいないことです。
それを避けるには、読む順番を意識することだと著者は言います。
理解のレベルに応じて本を選び、順を追って読み進めていくことで、
無理なく教養を深めることができると言い、その方法を教えます。
なお、本書が対象にしているのは、哲学や文学、科学などの学問の
分野です。これらの分野では、まずガイドブック的な本で頭の中に
「知性の地図」を描いてから、次の本に進むべきだといいます。
たとえば「経済を学びたい」と、いきなり『資本論』を読んでも理
解できません。まずガイド本で全体像をつかみ、新書などで基本を
学び、その上で専門書に進むなどが必要です。
このように、読む順番の大切さを説いた上で、最初の1冊の選び方
を解説、哲学、科学、歴史など「ジャンル別」さらに夏目漱石、太
宰治ニーチェなど「作家別」の読む順番を解説します。
本書がすすめる順番で読めば、読書の質が大きく変わると思います。
その結果、吸収できる知識・教養が倍増します。これを習慣にすれ
ば、おのずと教養が広がるはずです。
というわけで、これから読書を始めたい人はもちろん、これまで本
を読んで来たものの「あまり身につかない」「理解できず挫折した」
という人にもおすすめします。
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