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2021/08/13
アーノルド・ベネットの賢者の習慣
頭は肉体より、はるかに鍛えがいがある
体調を常に一定に保つことは容易ではない。人間の体はやっかいなもので変調をきたしやすい。だが、鍛錬すればすぐに体調を保てるようになる。頭の調子を一定に保つことは、それにも増して難しい。体調と同様、すぐに変調をきたしてしまう。だが、おそらく体調以上に鍛錬の効果は顕著に現れるはずだ...
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■今週の選書
■アーノルド・ベネットの賢者の習慣
■アーノルド・ベネット
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■■選書サマリー
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頭は肉体より、はるかに鍛えがいがある
【1】
体調を常に一定に保つことは容易ではない。人間の体はやっかいな
もので変調をきたしやすい。だが、鍛錬すればすぐに体調を保てる
ようになる。
頭の調子を一定に保つことは、それにも増して難しい。体調と同様、
すぐに変調をきたしてしまう。だが、おそらく体調以上に鍛錬の効
果は顕著に現れるはずだ。
われわれは、知識を豊かにし、趣味を洗練させて、自分とその人生
をより豊かなものにしたいと願っている。にもかかわらず、多くの
人がそうしないのは知識欲がないからではない。
まず、意志の力がないからだ。何かをはじめるのは意志の力ではな
ない。継続して行おうとする意志の力がないからだ。そして、頭脳
がほったらかされて錆びついて調子が悪くなっているからだ。
つまり、改善点は2つある。意志の力を養うことと、頭脳の諸器官
をよい調子に戻すことだ。しかも、これらは並行して行われる必要
がある。
【2】
頭の柔軟体操がある。これはたとえるなら、楽器の演奏に不可欠な
テクニックを磨くための練習だ。たとえば立派な詩や散文を暗誦す
ることだ。これほど、頭の体操になるものはない。
半年間、一週間に20行の割合で暗誦することだ。それだけで、不活
発な頭脳のすばらしい治療となる。頭の体操として暗誦すれば集中
力が必要になる。
自己啓発をする際に備えておくべき重要な能力は、精神を集中させ
る能力だ。なんでもいいから1ページ読み、すぐに読んだことにつ
いて思い出せることをすべて書き記してみることだ。
これを続ければ、必ず頭の体操になるはずだ。自分の言葉でも、筆
者の言葉でもかまわない。一日15分で充分だ。その効果たるや、魔
法のごとしだ。
【3】
頭を効率的に働かせるべく真剣に努力するなら、ものを書く訓練を
やるべきだ。文を作り、その努力を継続するなら、書く内容はなん
でもいい。
ただし「日記」は、よい方法ではない。日記は、最小限の知的努力
しか払わずに書かれがちだからだ。同じ日々の記録という点では、
日誌のほうがまだましだ。
違いは、日記が自分の事柄や自分のしたことを取り上げるのに対し、
日誌はもっと広範なことを取り上げることだ。人が興味深く観察し
た事柄を書き記すことだ。
日記や日誌がいやなら、エッセイを書くのでもいい。読んだ書物に
ついての簡単な覚え書きでもいい。さらに、自分が特別に感銘を受
けた文章を集めた文集を作るのでもいい。
【4】
書くということではじめて思考が働く。オックスフォード大学講師
によると「頭脳の効率的な働きというのは、たえず思索に耽ること
で得られるものだ。
たとえば、毎日10分間でいいから、きっちり規則的に、できるだけ
高邁な思想に頭脳を集中させることだ。こうすることで頭脳の効率
的な働きが得られるはずだ。
実際にはじめてみて、自分の決意の強さにある程度確信がもてるは
ずだ。しかも、自分の考えていることを文章に書き表せる人なら、
実行しても、うまくいくはずだ。
自己啓発というと、文学のことを考えがちだ。しかし、蝶や葬儀の
習慣、国境や通りの名前であってもいい。自分に興味があるものな
らなんでもいいのだ。
あまり深く考えない人のほうが、幸せになれるといわれる。だが、
それは大きな間違いだ。間違いなく、より思索する人ほど、幸せに
なりやすいのだ。
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■■選書コメント
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自己啓発書です。タイトルの通り「習慣」の力を用いて人生を切り
開きます。特に、頭の使い方や読書、自己研鑽など、知的生活を改
善する習慣を中心に教えてくれます。
本書は100年以上前に書かれた本です。著者は、英国の作家アーノ
ルド・ベネットです。いわば古典的名著といえます。これまで世界
の一流人たちがヒントにしてきた本です。
「頭は肉体よりはるかに鍛えがいがある。思考を重ねる人ほど、幸
せになれる」そんなベネットが、習慣の力で自己実現する方法を教
えてくれます。座右の書になるかもしれません。
本書も言う通り、古典はおすすめです。なぜなら、多くの人に読み
継がれている本だからです。ダメな本はどこかで消えています。残
っているだけで良書の証です。時間の審判を経ているわけです。
そういう本書が今では古典になっています。時代も国も違うので現
代の日本に暮らす私たちには、多少そぐわないところもあると思う
かもしれません。でも、まったくそんな事はありません。
著者は「人生を変えたければ習慣を変えろ」と言い、その方法を教
えます。また「頭を働かせることで生きている実感が持てる」とも
いいます。その通りだと思います。
具体的な内容としては「読書で自信を育てる」「1日10分の高邁な
思想に頭脳を集中させる」「立派な詩や散文の暗誦で集中力を鍛え
る」などです。いずれも現代でも実践できます。
自己啓発書が好きな人はもちろん、生き方を変えたい、知的レベル
を高めたいなど、もっと前向きに生きるために、新しい習慣を身に
着けたいと考える人におすすめします。
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