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2021/12/24
The Number Bias
数字を見た時、考えてほしいこと
現代は、すべてが数字で決まる世界だ。年金支給開始年齢、フェイスブックのクリック数、GDP、平均年収などの数字が、世界のあり方を決めている。数字の力はますます強くなる一方だ。ビッグデータのアルゴリズムは、公共でも、民間でも大きく勢力を広げている。もはや物事を決めるのは、人間でなく数字モデルなのだ...
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■今週の選書
■The Number Bias 数字を見たときにぜひ考えてほしいこと
■サンヌ・ブラウ
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■■選書サマリー
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数字を見た時、考えてほしいこと
【1】
現代は、すべてが数字で決まる世界だ。年金支給開始年齢、フェイ
スブックのクリック数、GDP、平均年収などの数字が、世界のあり
方を決めている。
数字の力はますます強くなる一方だ。ビッグデータのアルゴリズム
は、公共でも、民間でも大きく勢力を広げている。もはや物事を決
めるのは、人間でなく数字モデルなのだ。
人は、数字を根拠に飲むもの・食べるものを決め、住む場所を決め、
結婚相手を決め、誰に投票するかを決め、ローンを組んで家を買う
かを決め、どの保険に入るかを決めている。
病気になったと判断するのも、治ったと判断するのも数字だ。人の
生死さえも、数字が決めているのだ。人間に選択肢はない。数字に
興味がない人も、数字に人生を支配されているのだ。
何もわからずに支配されるべきではない。数字は人が作ったのだ。
数字を必要以上に神聖視してはならない。だが、ゴミと一緒に捨て
てしまうのも間違っている。
【2】
歴史を振り返ればわかるように、政治家は常に数字を悪用してきた。
たとえば、アルゼンチンでは、長年にわたってインフレ率が操作さ
れてきた。実際よりも低い数字になっていたのだ。
政府から独立した統計専門の組織があれば、政治家の数字悪用を防
ぎ、真実を知らせることができる。それでも、数字は人々の生活を
向上させるのと同時に、破滅させる力もあるのだ。
大量の数字を扱う時、最も大切な道具は「標準化」「収集」そして
「分析」だ。しかし、この3つの道具も完全無欠ではない。時には
とんでもない事態を引き起こすこともあるからだ。
【3】
知能のような抽象的な概念を標準化する時、そこは必ず研究者の主
観的判断が介在する。こう書くと数字には何の意味もないのかと思
うかもしれないが、そんなことはない。
数字には、数字がなければ見えなかったような隠れたパターンを明
らかにする力がある。だが、数字に間違った期待を持つのは危険だ。
数字はいつも客観的だと信じ込まないように注意すべきだ。
数字は思考停止の言い訳に利用されることもある。「これは私の責
任ではない。ただ数字がそう言っているだけだ」というセリフを聞
いたことがあるはずだ。
この世界は複雑だ。もし数字を重視するなら、数字の限界も知って
おくべきだ。たとえば数字の裏には、誰かの主観的な判断が潜んで
いることばある。
また、世の中には数値化できないものも存在すr。そして数字が語
らないこともたくさんある。数字は絶対的な真実ではないのだ。た
だ単に真実を理解する助けになってくれるだけなのだ。
【4】
もちろん、数字には、物事の隠された姿を見せてくれる力がある。
たとえば、治療の有効性を検証できる。IQを使えば、子どもの発
達をより詳しく知ることができる。
黒人と白人の間にIQの違いがあることがわかれば、格差を認識す
るきっかけになる。つまり、数字は会話の結論でなく、むしろ出発
点なのだ。数字をきっかけに質問を重ねることなのだ。
たとえば「調査の過程でどんな選択や決断があったのか?」「この
差はどこから来るのだろう?」「この数字は政策にどのような影響
を与えるだろうか?」という具合だ。
そして、もっとも大切な質問は「この数字は、私たちが大切だと信
じているものを正しく計測しているだろうか」という質問だ。この
質問を繰り返すことで、数字は真実を理解するツールになるのだ。
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■■選書コメント
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数字の読み解き方です。数字を正しく読み解いて真実を知る目を養
います。オランダ発のベストセラーですが、世界に拡大中です。識
者たちも絶賛しています。
ビジネスだけでなく、経済、政治、教育、医療など、現代はあらゆ
る分野で数字が重要な役割を果たしています。数字は客観的で、主
観の入り込む余地がないと思われているからです。
でも、それは間違いです。人は数字を曲解しますし、悪用する人も
います。だからこそ、正しく読み解く目が求められます。それを鍛
えてくれるのが本書です。
「数字こそ真実」という思い込みから、かえって事実からかけ離れ
てしまうことがあります。本書では、数字の偏見なくし、読み間違
えない思考と視点を学びます。
はじめに、数字が人の生死を左右するほど強力であること、にも関
わらず、解釈を間違いやすいことを紹介、そのカラクリを教えます。
さらに、ビッグデータの落とし穴にも触れていきます。
その上で、騙されないためにはどこに気をつけるべきかなど勘どこ
ろを紹介してくれます。これらを、コウノトリと赤ちゃんとの関係
やタバコとがんの関係などの具体例を用いて解説しれくれます。
そのため、硬くなりがちなテーマですが、わかりやすく読みすすめ
ることができます。巻末には、数字にだまされないチェックリスト
がついています。これもシンプルですが有用です。
世の中は、数字抜きには成り立ちません。だからこそ、正しく付き
合うスキルが必要です。数字を使いこなしたい人、数字に騙された
くない人はもちろん、すべての現代人にとって必読です。
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