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2022/12/09
ザ・メタバース

ザ・メタバース

ザ・メタバース
 
2021年は「メタバース」一色だった。利益が増える、顧客が喜ぶ、ライバルに勝てるなど、魔法の言葉かなにかのように、誰もが「メタバース」と言っていた。この流れは、米証券取引委員会への報告書にも現れている。昨年10月のロブロックスIPOまで、「メタバース」という単語は5回しか登場しなかったが、2021年は260回以上と急増した...


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ザ・メタバース
 
【1】
 
2021年は「メタバース」一色だった。利益が増える、顧客が喜
ぶ、ライバルに勝てるなど、魔法の言葉かなにかのように、誰もが
「メタバース」と言っていた。
 
この流れは、米証券取引委員会への報告書にも現れている。昨年
10月のロブロックスIPOまで、「メタバース」という単語は5回
しか登場しなかったが、2021年は260回以上と急増した。
 
ブルームバーグは、財務関連のデータや情報を投資家向けに発信し
ているが、同社の記事にメタバースという単語が登場する回数も、
昨年までの10年で7回だったが2021年には1000回を超えた。
 
西側の国や企業以外もメタバースに注目している。中国政府、イン
ターネットゲームの巨人で中国最大の企業テンセント、韓国のゲー
ム大手などだ。
 
【2】
 
「メタバース」という、まだ海のものとも山のものともつかないよ
うなアイデアを世界的な大企業が中核に据えると発表するなど、
前代未聞といえることだ。
 
ここまでもてはやされているのは、今後メタバースがコンピューテ
ィングとネットワークのプラットフォームになっていくと誰もが信
じているからだ。
 
1990年代はパーソナルコンピューターと有線インターネットの時
代だった。そこから、現代のモバイル・クラウドコンピューティン
グの時代へと移行した。
 
このシフトで、ほぼすべての業界が根本的に変化を余儀なくされ
た。社会や政治も大きく変わった。ただ、前回と今回とではタイミ
ングが大きく異なる。
 
モバイルやクラウドの重要性については理解者が少なかった。むし
ろそういう人に対抗したり、変化に反応したりする人が多かった。
ところがメタバースには、早い段階から建設的に動いている。
 
【3】
 
メタバースとは、リアルタイムにレンダリングされた3D仮想世界
をいくつもつなぎ、相互に連携できるようにした大規模ネットワー
クのことだ。人はそこで永続的に同期体験ができるようになる。
 
ユーザー数は実質的に無制限だ。しかも、ユーザーは一人ひとり
が、個としてそこに存在しているかのような感覚になる。つまり、
「センス・オブ・プレゼンス」が持てるようになるのだ。
 
また、アイデンティティ、歴史、各種権利、オブジェクト、コミュ
ニケーション、決済などのデータに連続性がある。これこそが、メ
タバースの包括的かつ有用な定義だ。
 
メタバースを「モバイルインターネットの後継」と考えたり、そう
いうものだと言う人が多いが、その到来はまだまだ先のことだ。し
かも、その影響はよくわかっていない。
 
にもかかわらず、本格的に取り組む企業が相次いでいる。目ざとい
経営者ならプラットフォームが登場するたびに、世界も、企業も大
きく変わってきたことをよく知っているからだ。
 
【4】
 
メタバースについて構築や吸収などの争いが進むのはこれからだ。
その中から勝者が出るのかもしれないが、仮想世界のプラットフォ
ームや技術を部分的に統合する形で進んでいくはずだ。
 
このプロセスには時間がかかる。不完全で、すべてを網羅すること
はできないし、技術的にも大きな制約が生まれるはずだ。それで
も、これこそ我々が望むべき未来だ。実現に向けて努力すべきだ。
 
メタバースが実現しても、インターネットを支えるアーキテクチャ
ーやプロトコルのスイートに取って代わるとか、そういうものを根
本的に変えてしまうことはないはずだ。
 
おそらく、インターネット上で進化・発展し、まったく新しいもの
が生まれたと感じるようになるだけだ。メタバースとはそういうも
のなのだ。
 
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■■選書コメント
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前回に続いてWeb3関連、今回はもっと話題のメタバースです。
新しいメディアの実態と可能性について、戦略的、技術的な基盤を
知ることができます。
 
読めば、未来の可能性を垣間見ることができます。著者は、メタバ
ースブームのきっかけを作った人物です。ザッカーバーグなども著
者の分析に影響を受けたと言います。
 
メタバースがどんなもので、どんな可能性を秘めているのかがよく
わかります。AR,VR、ブロックチェーンなどのキーワードがつ
ながります。変化に乗り遅れないために今読むべき本だと思います。
 
メタバースは、仮想現実ということで、前回紹介したDAOに比べ
ればイメージしやすいと思います。でも、ビジネスなどでの実用性
となると、イメージしにくいかも知れません。
 
実際、これまでも投資を誘うことが目的の夢物語や妄想、あおりは
繰り返されてきました。「またか」と思った人も少なくないはずで
す。私もそのひとりです。
 
本書は、そんな人こそ読むべきです。なぜなら「メタバース」を手
放しで礼賛するのでなく、地に足の着いた話をしてくれるからです。
単なるおとぎ話でなく、現実としてとらえることができます。
 
本書には答えは書いてありません。強いて言えば「答えはまだない」
が本書の答えです。ただし、客観的な事実は集めてあります。読ん
で自分で考え、かかわり方も自分で決めることになります。
 
そのためのガイドとしては、最良であることは間違いありません。
読めば、メタバースの全容がわかり、その結果、妄想でなく、自分
なりの予測ができるようになると思います。
 
経営者や幹部層、インターネット業界の人はもちろん、メタバース
について「今何をすべきか」「何をすべきでないか」を考えたいビ
ジネスパーソンにおすすめします。
 
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発行元:(株)アンテレクト 藤井孝一 Copyright 1999-2022
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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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