テーマ :耽読日記 読書術
目次は、著者の頭の中身を書きだしたもの
「はじめに」は、本の内容の判別に便利です。すでに読者の中にも、書籍の選定の参考にしている人が少なくないはずです。
しかし、そこに目を付けて、悪用する書き手もいます。本を売らんがために、この「はじめに」を本の宣伝スペースさながらにセールストークを散りばめる著書がいるのです。
このような本は、買ってもらうことが唯一の目的になっているケースが少なくありません。または、本全体が著者のビジネスの宣伝になっている場合もあります。注意が必要です。
そこで、さらに中身を見ていく必要があります。ここで、ぜひ役立てたいのが「目次」です。目次は、本の全体を俯瞰するのにピッタリだからです。
目次には、ふつう各章の「タイトル」、そして「見出し」が書いてあります。これに目を通せば、本の論旨と構成、おおまかな内容が大体分かります。しかも目を通すのに必要な時間は1分くらいです。
目次が、全体を俯瞰する上で優れているのには理由があります。目次は、著書に関する、著書の頭の中のロードマップ、地図になっているからです。
意外かも知れませんが、著書を書くとき、著者が最初に手がけるのが目次です。何か書きたいテーマ、アイデアが浮かんだとき、最初に、全体の構成をA4の紙、二枚くらいに箇条書きしてみます。
もちろん、あくまでもたたき台です。書籍になる際には、できあがった原稿を見て修正されていきますから、この段階ではあくまでも「目次案」です。
出版社の編集担当者との打合せも、最初はこの目次案をたたき台に行われます。編集会議に提出される企画書にも、目次案が添付されています。著者は、その目次を元に原稿を書き進めるのです。
著者にとって、目次は地図のようなものです。数百ページにも渡る原稿を、何日かにわたって書くのです。目次がなければ、書いているうちに訳がわからなくなり、道に迷ってしまいます。
そんな時、ちゃんとゴールに導いてくれるのが、この目次です。いわば、執筆作業とは、目次を骨組みに、そのまわりに原稿で肉付けをしていくような作業なのです。
このようなに、著者の頭の中の骨格、フレームワークを書きだしたものが目次ですから、全体をシンプルに、しかしながら雄弁に語ってくれます。読み手としては、使わない手はないでしょう。
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