vol.22 2007年9月14日
テーマ :耽読日記 読書術

著者の本音がにじみ出る「あとがき」も要チェック

「目次」「はじめに」、そして本文のうち「第一章?第二章」を、ざっとチェックしたら、最後に「あとがき」をさらっと読んでみましょう。

なぜなら、「あとがき」には、著者の本音が出やすいからです。この「あとがき」は、編集者も著者に一任している場合がほとんどです。

書くかどうかの判断も、著者の自由という場合が少なくありません。おそらく「あとがき」はあまり読まれないと思われているからでしょう。

また、「あとがき」が入稿されるのは、最後の最後です。そのころには、編集者は編集作業が大詰めで、てんやわんやになっています。正直「あとがき」にまで構ってられないのが本音でしょう。

そんな「あとがき」ですが、もし書いてある場合は、要チェックです。なぜなら、本文の出来具合を見抜く、重要なヒントが隠れている場合があるからです。

著者は、自由度と、執筆を終えた開放感とから、本音を出しやすいのです。ふつうは、執筆の苦労話を披露したり、周囲の人や家族に対する感謝の言葉を書き添える場所に使います。これはこれで、著
者の人となりが現れて、読む価値ありです。

中には、出版社の意向や、マーケティング上の理由などで「本文には、イイタイコトがほとんど書けなかった」という著者もいます。そういう人が「あとがき」で、憂さ晴らしする場合もあります。

また、この「あとがき」には、本文の意図や、執筆プロセスを見抜くヒントが潜んでいる場合もあります。

たとえば、著者の中には、執筆を他の人に委託する人もいます。自分がしゃべり、それをライターが口述筆記していくのです。そういう人でも「あとがき」くらいは自分で書くものです。

もし「あとがき」と「本文」のバランスが、いちじるしく悪い場合、執筆を下請けに出していることが考えられます。また「あとがき」に、家族や編集者以外の名前がある場合、ゴーストライターさんかも知れません。

もちろん、著述を下請けに出している本が、必ず悪い本というわけではなく、良い本もたくさんあります。文章のプロのライターさんが書いたほうが、よほど読みやすい場合もあります。

なお、自分の商品を売るために書かれた本は、たいてい、書き手の自由になる「あとがき」に商材の勧めを入てきます。ここに売り文句が並んでいる本は、本文の主張そのものが、自分の商品の売り込みありきであると考えて間違いないでしょう。


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