テーマ :耽読日記 読書術
売れている本は、良い本か?
「売れている本を読むべきでしょうか?」このように尋ねられることが少なくありません。
売れているかどうかは、少し大きな書店では「ランキング」と称して週単位の売れ筋ランキングをジャンルごとに貼りだしていますのですぐにわかります。
私は「一応、手には取ってみるが、買うかどうかは別問題」というスタンスです。まず、手に取る理由は、一定の条件はクリアしているはずだからです。
残念ながら、年間8万タイトルも発刊される本の中には「何でこんなものが本に!?」というひどい物もあります。
さすがに、そういうものは、どんなに優れたマーケッターでも、ベストセラーにはできません。売れている本を優先してチェックしていれば、駄本との出会いの確率を引き下げることができます。
また、仕事柄もあります。一応、ビジネス書を紹介していることを仕事の一部にしていますから、売れ行きくらいは知っておかないと、仕事に支障をきたします。
さらに、売れるには、必ず何か理由があるはずです。「こんな本が売れるのか。なぜだろう」と考えれば、時代の空気を読む手がかりを得ることができます。だから、手に取ってみるのです。
ただし、買うかどうかは別問題です。理由は、いろいろありますが、一番大きいのは、売れているのが、その書店だけの話なのか、それとも全国的な現象なのか判別がつかないからです。
ベストセラーは、書店によってかなり違います。理由は、いろいろ考えられます。客層とか、同じお客さんでも、生活シーンのどこに位置しているのかも影響してきます。
皆さんも、職場の側で買う本と、家の側で買う本、空港や駅、旅先で買う本は違ってくると思います。それが、本の売れ行きに影響しているはずです。
店によって違うため、売れている本が、本当に売れているのか、この店でだけの現象なのか判断が付かないのです。新聞や雑誌などのランキングも、都内の一書店の売れ筋を載せている場合は同じです。
また、信憑性も疑わしいです。「ベストセラーは作られる」という人もいます。実は、著者が、自らせっせと買っていたりします。実際、売れている本の中には、「何でこの本が?」というものもあります
特に、オンライン書店のランキングはあてになりません。1時間おきに更新されていますので、著者が一定時間に集中して「買い注文」を入れれば、瞬間風速的にランク入りさせることは簡単です。それで、「アマゾンでベストテン入り!」なんてやるのです。
もちろん、「売れているから」という理由だけで、読んでおくべきものもあります。100万部を超えるような大ベストセラーは、話題になることも多いので、読んでおかないとバカにされてしまいます。
部数はそれほどでなくても、話題の人、注目されている人などの本がそこそこ売れていれば、話題になる確率も高くなります。ですから、できるだけ読んでおくようにはしています。
ただ、それは、読書が仕事になってしまった私の事情です。一般の読者として、あくまで楽しむというスタンスなら、気にする必要はないでしょう。
そもそも、書店は売れ筋を平積みにしたり、目立つ位置に置いています。「売れるものをもっと売る」のが商売の鉄則ですから当然です。
よほど、書店の奥の方の、書棚に立てかけてあるような本を引っ張り出してくるのでない限り、売れ筋など気にせずとも、必然的に売れている本を手に取っているはずです。
というわけで、「ベストセラーは、手に取るかどうかの尺度にはするが、決め手にはならない。あくまでも自分の読書目的に照らして判断する」というのが、私の結論です。
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