vol.51 2008年5月30日
テーマ :耽読日記 読書術

著者と対話しながら読む

読書をする際、もう一つお薦めなのが、著者に共感したり、質問したり、反論したりしながら読むことです。あたかも目の前に著者がいるかのように、イメージしながら読むことがお薦めです。

書いてあることに共感したり、納得したり、感動したりしたら、思いを大いに味わうことです。場合によっては「こんなことが書いてあった」と、家族や友人に話すことです。

誰かに話すことを前提に読むと、頭が整理され、より内容が定着しやすくなるはずです。また、「話す」という行為は、アウトプットですから、実際に話すことで、より定着度が高まるはずです。

反対に、書いてあることに「おかしいぞ」と思った場合も、頭を働かせるチャンスです。著者の主張の、どこが、どうおかしいのか、著者に反論するつもりで考えてみます。

この場合も、考えた結果を周囲の人に話してみることです。そして、自分の意見の成否を判定してもらうことも有効です。

一番良くないのは、著者の言うことを鵜呑みにしてしまうことです。著者の意見は、著者の頭というフィルターを通した、一つの考え方に過ぎません。

ビジネス書の多くは、著者が個人的な体験の中で経験したことや、その中で感じたこと、閃いたこと、学んだことからまとめた、主観的な内容のものがほとんどです。

書いてあることは、あくまでも一つの考え方であり、一般論として受け取るべきではありません。著者の意見に納得した場合でも、自分の頭で考えたり、妥当性を検証したり、他の本を読んで意見を比べてみたりといったことが大事です。

場合によっては、本当に間違いが含まれていることもあり得ます。一般に活字になってしまうと、我々は書かれている内容を信じてしまいがちです。

「活字になるまでに多くの人のチェックを通っているはずだ。だから大丈夫だ」と勝手に安心してしまうのです。確かに多くの人のチェックは通っているでしょう。

しかし、書籍であっても、文脈の矛盾や誤字脱字くらいはチェックされますが、真偽を確認したり、裏を取ったりまではしないのが普通です。そこは、あくまでも書き手に委ねられています。

最近のようにビジネス書が乱発されると、残念ながら著者も玉石混淆です。勘違いもあるでしょうし、意図的に誇張や、あきらかな嘘を書く著者もいます。その場合でも訂正されずに活字になる可能性は十分ありえます。

誤りとまでいかなくても、識者のコメントも、統計も、著者の主張を裏付けるのに都合のいいように、ある程度のバイアスをかけて加工されていることは十分に考えられます。

あまり疑ってばかりでは、読書そのものが楽しめませが、かと言って、内容を鵜呑みにするのも危険です。また、そのような受け身な読書は、学びの姿勢としても問題があります。


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