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インタビュー

著者に訊けビジネス選書家 藤井孝一の直撃インタビュー

ビジネス書のベストセラー著者に、著者インタビューで定評のある藤井が直撃体当たりインタビューをしてきます。本に書けなかったメイキングから、執筆の苦労話、読者への熱いメッセージまで、著者から引き出します。

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2007/12/07
たった2分で人の心をつかむ話し方 ‐ 木下通之さん

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今回は『たった2分で人の心をつかむ話し方(フォレスト出版)』の著者、木下通之氏にお話を伺います。本書では、話し方指導35年のプロである著者が人の心をつかむ話し方を紹介。ビジネスでもプライベートでも役立つ1冊です。
木下通之(きのした・みちゆき) さん

1931年生まれ。大阪府出身。1953年大阪市立大学商学部卒業。1977年ブリヂストンスポーツ関西販売株式会社(現・株式会社ブリヂストンスポーツ西日本)の社長に就任。一方、1972年、デール・カーネギー・コースのインストラクターとしての資格を取得し、二十数年にわたり、「話し方」や「より良い人間関係の構築」など、講師として指導育成にあたる。現在ではその経験を生かし、独自に開発した「コトハナ・セミナー」を開き、「コトハナセミナー」主宰者・インストラクターとして指導を行なっている。

●現在の仕事に至るまでの経緯をお教え下さい。

木下:もともとはビジネスマンをしながら、デール・カーネギーのセミナーのインストラクターとして、話し方の指導を行っていました。その後、独自に話し方を開発し、「コトハナ・セミナー」という話し方のセミナーをスタートさせました。セミナーでは、好感を持たれる話し方、説得力のある話し方、よりよい人間関係の構築の仕方などを教えています。セミナーを開いてから11年もの間に、口コミだけで延べ1500人以上の方が「コトハナ・セミナー」を受講しました。受講生は起業の経営者、起業家、管理職、税理士、主婦、学生と幅広いですね。

●それだけみなさん、うまく話せるようになりたいと思っているんでしょうね。

木下:そうなんです。講演、結婚式のスピーチ、朝礼のスピーチ、新商品のプレゼンテーション、就職活動の面接など、意外と多くの人の前で話す機会は多いものなんです。実は、80%もの人がうまく話したいと望んでいるんですよ。

●初めての著書とのことですが、本書を書かれた経緯をお教え下さい。

木下:たまたま私のセミナーの受講生のなかに、出版社の編集者の方がいらして、それがきっかけで、このたび、本を出すことになりました。本書は、ほぼ「コトハナ・セミナー」の内容に沿った形になっています。
実は、本書やCDに収録した話し方のサンプルには、セミナーの受講生も協力してくれています。本の著者は私になっていますが、受講生みなさんのおかげで、本を作ることができたと感謝しています。

●そもそも、何をもって、話し方のうまい下手が決まるのでしょうか。

木下:話し手の印象は、態度・表情、声、話の内容で決まります。落着きがなく、聞きとりにくい声で、何を話しているのか、よくわからない内容では、相手の心をつかむことはできません。
態度・表情・声をよくするには、「あいうえおの法則」に従ってください。『「あ」はアイ・コンタクトの「あ」で、聞き手に目線を合せる。「い」は衣服・身だしなみを整える(第一印象)。「う」は動きをハツラツと。「え」は笑顔で明るく。「お」は大きな声でハキハキと』という意味です。
話の内容をよくする場合は、「かきくけこの法則」です。『「か」は簡単(短く)・明瞭に。「き」は起承転結をつける。「く」は具体的に。「け」は結論ははっきりと。「こ」は『言葉に気配りを』という意味です。
実は、自分は話し方がうまいと思っている人ほど、簡単に短く話すということができていないものなんです。話は短く。2分ぐらいがちょうどいいでしょう。

●どうして2分なのでしょうか。

木下:人が集中して話を聞ける時間は3分が限度なんです。5分続くと、たいていの人は集中力がなくなってしまいます。さらに、7、8分続くと、「もうやめてくれ」と心のなかで叫び出します。10分経過する頃には、それがもう頂点に達します。
10分以上、話したときに受ける拍手は、「いい話を聞かせてくれてありがとう」の拍手ではなくて、「終わってくれてありがとう」の拍手かもしれませんよ。

●なるほど。でも、2分で話しを終えるのは、難しいですよね。何かコツはありますか。

木下:無駄なことを省き、すぐに本題に入ることです。そもそもスピーチの長い人は、前置きが長いんです。たいていは「私は人前で話すのが苦手でして、なるべくならお断りしたいのですが」という言い訳から、入ります。言い訳から入ると、だらだらと長くなる上に、マイナスの印象を受けるので、避けたほうがいいです。
話しを簡潔にまとめるためには、あらかじめスピーチ原稿を書いて、内容を組み立てておくといいですね。目安は1分間で280文字です。

(続き)

●スピーチ原稿を書くうえで、気をつけることをお教えください。

木下:出だし、本論、結論を押えるようにしてください。順序を逆に考えるのもいいかもしれません。まずは結論、つまり何を伝えたいかを決め、次に本論として、その結論を導き出してくれそうな自分自身の体験談を探します。スピーチに、自分自身の体験談を使うのには理由があります。それは自分自身の体験なので、人前だからといって、あがることなく、自信を持って話すことができるからです。また、ほかの人と話がかぶる心配もありません。結論、本論が固まれば、最後に出だしを決めます。
また、原稿を書くときは、「である」ではなく、「でございます」という具合に、実際に話す言葉を使います。あとで訂正を入れやすいように、1行ずつ空けて書くとよいですね。
スピーチ原稿ができたら、次は練習です。

●どのような練習法が効果的ですか。

木下:スピーチ原稿を1字1句丸暗記してはいけません。というのも、どこかで話が途切れると、次の言葉が出てこなくなるからです。実際、スピーチの際、一番多いのが、丸暗記による失敗なんです。覚えておくのは、話すポイントだけでいいでしょう。
また、壁や鏡に向かって、つぶやくのではなく、誰かに話を聞いてもらうようにして下さい。反応が返ってくることで、勉強になります。
たとえば、「ちょうど子どものときにこんなことがあって・・・」という具合に普通の会話の中に、スピーチ内容を入れ込んで、練習するのもひとつの方法です。
実は、スピーチが詰まる箇所はだいたい決まっているものです。何回か読んで、話が詰まった箇所は流れが悪いと思って、何かつながる言葉を入れるようにしてください。

●実際にスピーチするときはどんなことに気をつければいいですか。

木下:スピーチは原稿を見ないで話すのが基本です。なぜかというと、原稿を読むと、下を向いてしまうので、聞き手とのアイ・コンタクトができないからです。
ただし、例外はあります。間違えてはいけないことなど、相手の経歴とか名前は、原稿を読んでもいいと思います。
それはもし緊張のあまり、経歴や名前を間違えてしまうと、相手に対して、失礼にあたるからです。原稿を見るときは堂々とすることです。こそこそ見ると、聞き手に悪い印象を与えてしまいます。
こうした基本を押さえた後は、できるだけ多くの場数を踏むことです。そうすることによって、スピーチはどんどんうまくなります。逆に、偉い人たちは多くの場数を踏んでいますが、基本を知らない人が多いんですよ。

●最後に、読者にメッセージをお願いします。

木下:コミュニケーションを上手にとるためには、言葉を知っているだけでは駄目なんです。話し方も知る必要があります。にも関わらず、学校で習うのは読み書きのみです。そのため、ほとんどの人が大人になるにつれ、どんどん話すことが苦手になってきます。でも、本来、話すことは楽しいものです。
うまく話すことができるようになると、人生が変わります。私のセミナーの受講生たちも、話力をモノにしたことで、明るく生き生きとした人生を手に入れました。ぜひ話力の向上にチャレンジしてみて下さい。

本日はありがとうございました。
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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

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